今週のアップデート — エネルギーの混乱、財界はどう見る?(2013年8月5日
今週のアップデート
1)「電力経営の悪化を懸念、原発再稼動が必要」— 葛西JR東海会長講演
葛西会長講演要旨「正しいことを貫くには?」
エネルギー、原発問題では、批判を怖れ、原子力の活用を主張する意見を述べることを自粛する状況にあります。特に、企業人、公職にある人はなおさらです。その中で、JR東海の葛西敬之会長はこの問題について、冷静な正論を機会あるごとに述べています。その姿勢に敬意を持ちます。今回は、エネルギー関係者のシンポジウムでの講演を記事化。自らが体験した国鉄改革との比較の中でエネルギーと原子力の未来を考えています。
元経産官僚の政策家、石川和男さんの論考の4回目。「電力の質」、つまり安定性が電力自由化の際に問題になる可能性を分析しています。電力自由化を主張する人の中には、発送電分離して競争を起こす制度設計をすれば、利用者の利便性が上がるという考えがあるようです。それへの疑問を示しています。
3)中国電力、隠岐営業所27人が見守る設備 — 電力供給を支える現場力
国際環境経済研究所(IEEI)の主席研究員竹内純子さんのルポ。電力自由化が検討されていますが、改革を主張する人が、こうした現場のエネルギー供給の使命感について、冷静に受け止めているのか疑問です。
今週のリンク
1)甘利再生相が新潟知事と会談 「安全審査と再稼働判断は別」と説明も納得得られず
産経新聞7月30日記事。東京電力柏崎刈羽原発の稼動を巡って、新潟県の泉田裕行知事が、再稼動の交渉入りを拒否しています。甘利明経済再生担当相は、直接面談し、状況を説明しました。再稼動に反対の人は多いものの、停止が続けば東電の経営が一段と悪化することは避けられません。泉田知事が拒否を続ければ、国と新潟県の対立という混乱が深まる可能性があります。
日本原子力発電、8月2日公開資料。原子力規制委員会は日本原電敦賀原子力発電所において、活断層が原子炉近くにあると公表。それについて日本原電側が日本以外の地震学者を含めた外部有識者を集めて反論しました。この問題についての論争は、決着がつきそうになく、不毛に思えます。規制委員会の対応の転換が求められるでしょう。
JBプレス8月1日記事。矢野義昭元陸将補の寄稿。中国の原子力産業の動向を、同国政府発表の資料から紹介。日本以外の米仏露、韓国との関係を進めています。注目すべき動きです。
4)GISを使った福島における長期被ばくの効果的な評価について(英語)
学術誌Chemosphereの7月31日掲載論文。日本の産業技術総合研究所などの研究チームの論考です。原題は「GIS-based evaluation of the effect of decontamination on effective doses due to long-term external exposures in Fukushima」除染特別区域を対象として、除染の効果に関して、GIS・土地利用・土地利用毎の除染効率を用いて、幾つかのシナリオで面的な予測を実施したものです。除染特別区域では、13—55%で30年間の被ばく量が総計100mSvを越えると推定されるとのことです。
読売新聞7月30日社説。これまで原子力委員会は、長期的な政策の立案、核燃料サイクルの担い手としての役割を担ってきました。民主党政権ではその廃止を含めた見直しが検討されました。その議論がまだ続いていますが、読売は首相直属の総合調整機能を持つ司令塔の役割を果たすべきと、提言しています。
関連記事
-
透明性が高くなったのは原子力規制委員会だけ 昨年(2016年)1月実施した国際原子力機関(IAEA)による総合規制評価サービス(IRRS)で、海外の専門家から褒められたのは組織の透明性と規制基準の迅速な整備の2つだけだ。
-
元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 最近流れたニュース「MITが核融合発電所に必要となる「超伝導電磁石の磁場強度」で世界記録を更新したと報告」を読んで、核融合の実現が近いと思った方も多いかと思うが、どっこい、そん
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
「再エネ発電の一部で規律に課題、停電に至ったケースも」と電気新聞が報じている: 送配電網協議会は6日、経済産業省などが開いた再生可能エネルギーの事業規律を強化するための有識者会合で、一部再エネ発電事業者の運用や工事面の問
-
全原発を止めて電力料金の高騰を招いた田中私案 電力料金は高騰し続けている。その一方でかつて9電力と言われた大手電力会社は軒並み大赤字である。 わが国のエネルギー安定供給の要は原子力発電所であることは、大規模停電と常に隣り
-
ドイツが徴兵制を停止したのは2011年。当時、メルケル政権のツー・グッテンベルクという国防相の下で、大した議論もなくあっという間に決まったのを覚えている。廃止ではなく停止というのがミソで、いつか必要になったら復活する可能
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
筆者は1960年代後半に大学院(機械工学専攻)を卒業し、重工業メーカーで約30年間にわたり原子力発電所の設計、開発、保守に携わってきた。2004年に第一線を退いてから原子力技術者OBの団体であるエネルギー問題に発言する会(通称:エネルギー会)に入会し、次世代層への技術伝承・人材育成、政策提言、マスコミ報道へ意見、雑誌などへ投稿、シンポジウムの開催など行なってきた。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間














