今週のアップデート — 原発事故とテールリスク(2014年1月20日)

2014年01月20日 12:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを更新しました。

今週のアップデート

1)テールリスクとしての原発事故

池田信夫アゴラ研究所所長のコラムです。「テールリスク」とは、あまり起こらないリスクのこと。こうした事象に対する対応策が、経済学的に考察されるようになっています。その議論を、原発事故にあてはめました。これまでない視点からの論考です。

2)原発ゼロ、オリンピック返上を明言 — 都知事候補・細川氏の主張する原発政策

東京都知事選が23日に告示されます。都知事候補の元首相の細川護煕氏は「原発ゼロ」を打ち出し、彼の正式な公約は20日午前時点で明らかになっていません。しかし、これまでの発言を、経済ジャーナリストの石井孝明氏がまとめました。

3)東電、新・総合特別事業計画について — 本格再生に進むべし

東京電力が、再建策となる新しい「総合特別事業計画」を策定しました。賠償総額は明示されておらず、原発の再稼動が不透明など、未定の部分の多い再建策です。しかし事故処理と賠償支払いの責任を明言しました。これに政策家の石川和男氏がコメントしています。

今週のリンク

1)東電、特別事業計画の変更

経済産業省。1月15日公表。東京電力の新しい事業再建計画を、経産省が認定しました。その一覧です。事業計画21ページに、一覧が掲載されています。

2)6原発審査「山を越えた」 原子力規制委・田中俊一委員長

朝日新聞1月18日記事。(一部有料会員限定)田中氏は審査終了を明言しなかったものの、ある程度進んでいることを認めました。

3)原発再稼働、軒並み停滞 審査半年で合格ゼロ

日本経済新聞1月17日記事。6原発の稼動審査が行われましたが、それが停滞している現状が示されています。

4)イラン核問題、縮小への新段階

ニューヨーク・タイムズ1月14日社説。原題は「Another Step Toward Nuclear Sanity in Iran」。米国のリベラル派を代表する新聞ですが、イランの段階的縮小を肯定的に表明しています。一方で、同国でも本当に緊張緩和が続くのか、疑問視する声が根強くあります。核の利用、そして中東に石油とLNGを依存する日本にとっても重要な問題です。

5)小泉の「原発ゼロ」一点突破選挙は無理

元大手メディアの政治記者だった杉浦正章氏のコラム。細川護煕元首相を、原発ゼロの点で支援する小泉純一郎首相の選挙手法「一点突破」には限界があることを指摘しています。

This page as PDF

関連記事

  • ・本稿では先月に続いて2020年度に迫ったFIT法の抜本改正をめぐる議論の現状を紹介したい。具体的には、5月30日、6月10日にそれぞれ開かれた第14回・第15回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会
  • アゴラ研究所の行うシンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」 の出席者を紹介します。この内容は、ニコニコ生放送、BLOGOSで生放送します。
  • はじめに 発電用原子炉の歴史はこれまでは大型化だった。日本で初めて発電した原子炉JPDRの電気出力は1.25万キロワットだったが今や100万キロワットはおろか、大きなものでは170万キロワットに達している。目的は経済性向
  • これは環境省の広域処理情報サイトのトップページにあるメッセージ。宮城県と岩手県のがれきの総量は、環境省の推計量で2045万トン。政府は2014年3月末までに、がれき処理を終わらせる目標を掲げている。
  • 英国のエネルギー政策をめぐる政府部内の対立が激化している。11月11日の英紙フィナンシャル・タイムズでは Ministers clash over energy bill という記事が出ていた。今月、議会に提出予定のエネルギー法案をめぐって財務省とエネルギー気候変動省の間で厳しい交渉が続いている。議論の焦点は原子力、再生可能エネルギー等の低炭素電源に対してどの程度のインセンティブを許容するかだ。
  • 米国では発送電分離による電力自由化が進展している上に、スマートメーターやデマンドレスポンスの技術が普及するなどスマートグリッド化が進展しており、それに比べると日本の電力システムは立ち遅れている、あるいは日本では電力会社がガラバゴス的な電力システムを作りあげているなどの報道をよく耳にする。しかし米国内の事情通に聞くと、必ずしもそうではないようだ。実際のところはどうなのだろうか。今回は米国在住の若手電気系エンジニアからの報告を掲載する。
  • 前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。 今回は人間の健康への気候変動の影響。 ナマの観測の統計として図示されていたのはこの図Box 7.2.1だけで、(気候に関連する)全要因、デング熱
  • 山火事が地球温暖化のせいではないことは、筆者は以前にも「地球温暖化ファクトシート」に書いたが、今回は、分かり易いデータを入手したので、手短かに紹介しよう。(詳しくは英語の原典を参照されたい) まずカリフォルニアの山火事が

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑