今週のアップデート — 「節電の夏」を考える(2014年7月22日)

2014年07月22日 17:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1) 「夏の電力は足りている」論の誤り【2014年電力危機】

東日本大震災と福島原発事故により、原発の停止などによるエネルギー政策の混乱が続いています。そして事故から4度目の夏になりました。今年も電力が不足する可能性があり、西日本を中心にして節電の必要性が出ています。毎年発生する「電力足りている論」の誤りを指摘した上で、ここ数年の節電経験から教訓を抽出します。

2) 無駄の「気づき」を継続させる 中上英俊氏【2014年電力危機】

エネルギーコンサルタントとして活躍し、民間における省エネ研究の第一人者である住環境計画研究所会長の中上英俊氏に、電力使用の現状の分析と今後の予想を聞きました。

3) 鋳造業は存亡の危機に【2014年電力危機】

電力危機では、供給不安、電力料金の高騰など、さまざまな問題が同時に起こっています。日本鋳造業協会に、電力多消費産業である鋳造業の現状を聞きました。

4) 映像「電力情報イノベーション~池田元英エナリス社長に聞く」

2014年7月3日放送。言論アリーナ。エネルギーの「見える化」のため、情報をさまざまな形で提供するユニークな企業エナリス。ディマンドリスポンス(必要なエネルギーの即時提供)、スマートグリッドが整備される中で注目されています。昨年10月には東証マザーズにも上場を果たしました。池田元英社長が出演。電力自由化をにらみ、企業の紹介に加え、どのように日本のエネルギー事情を変えたいのか。抱負を聞きました。

今週のリンク

1)川内原発は「基準に適合」と規制委、審査最終合格に前進

ロイター通信7月16日記事。原子力規制委員会が、九州電力川内原発について、13年に施行された原発の新安全基準について、基準に適合していると判定しました。ロイター通信の記事が網羅的であったために紹介します。指摘されているように、地元同意と政府の決断という法律にない課題を、再稼動までに九州電力は乗り越えなければなりません。今回のコラムで集めた、電力不足問題とも関係します。

2)川内原発:田中規制委員長「安全だとは私は言わない」

毎日新聞7月16日記事。原子力規制委員会の田中俊一委員長が会見を行いました。この発言が問題視されています。原子力科学者である田中氏は「絶対安全はない」という趣旨の発言を就任当初からしています。ある出来事を行うとき、リスクを分析し、受け入れ、その対応をした上で、利益を得るべきという事実を私たちは受け入れるべきでしょう。原子力の利用においても。

3)緊急節電(再掲載)

東京大学岩船由美子研究室ホームページ。現在は更新を停止中。2011年の節電の結果、そして家庭と会社での節電の方法について紹介しています。電力不足の夏に、参考となるでしょう。

4)電力需給に関する検討会合

首相官邸ホームページ。東日本大震災以来、4年間の政府の電力需給対策の資料がまとまって掲載されています。今年の夏は2011年の関東、東北が直面して以来の電力不足の危険があるのに、具体的な対策は行われない見込みです。大規模な停電が懸念されます。

5)成長のアキレスけんに 進むか原発再稼働

日本経済新聞7月21日記事。連続赤字の中で、各電力会社の資金調達が危険になりつつあることを紹介しています。そして国の方針が定まらない問題も指摘しています。

This page as PDF

関連記事

  • 小泉進次郎環境相が「プラスチックが石油からできていることが意外に知られていない」と話したことが話題になっているが、そのラジオの録音を聞いて驚いた。彼はレジ袋に続いてスプーンやストローを有料化する理由について、こう話してい
  • 学生たちが語り合う緊急シンポジウム「どうする日本!? 私たちの将来とエネルギー」(主催・日本エネルギー会議)が9月1日に東京工業大学(東京都目黒区)で開催された。学生たち10名が集い、立場の違いを超えて話し合った。柔らかな感性で未来を語り合う学生の姿から、社会でのエネルギーをめぐる合意形成のヒントを探る。
  • 田中 雄三 国際エネルギー機関(IEA)が公表した、世界のCO2排出量を実質ゼロとするIEAロードマップ(以下IEA-NZEと略)は高い関心を集めています。しかし、必要なのは世界のロードマップではなく、日本のロードマップ
  • ウクライナ戦争の帰趨は未だ予断を許さないが、世界がウクライナ戦争前の状態には戻らないという点は確実と思われる。中国、ロシア等の権威主義国家と欧米、日本等の自由民主主義国家の間の新冷戦ともいうべき状態が現出しつつあり、国際
  • アゴラ研究所はエネルギー情報を集めたバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)を運営している。12月に行われる総選挙を前に、NHNJapanの運営する言論サイトBLOGOS、またニコニコ生放送を運営するドワンゴ社と協力してシンポジウム「エネルギー政策・新政権への提言」を11月26、27日の2日に渡って行った。(ビデオは画面右部分に公開)
  • ドイツの地金 ロシアのウクライナ侵攻で、白日のもとに晒されたことがある。 それは、脱炭素政策に前のめりなドイツが実はロシアの天然ガスにドップリと浸かっているという事実である。ドイツのエネルギー政策の地金が出てきたとでも言
  • はじめに 国は、CO2排出削減を目的として、再生可能エネルギー(太陽光、風力、他)の普及促進のためFIT制度(固定価格買取制度(※))を導入し、その財源を確保するために2012年から電力料金に再エネ賦課金を組み込んで電力
  • 米国の商業用電力消費の動向 さる6月末に、米国のエネルギー情報局(EIA)が興味深いレポートを公表した※1)。米国で2019年から23年の4年間の商業用電力消費がどの州で拡大し、どの州で減少したかを分析したものである。ち

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑