今週のアップデート - 原発はなぜ動かないのか、規制委の頑迷(2015年1月26日)

2015年01月26日 10:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1) 原子力行政はどこで「脱線」したのか

アゴラ研究所の池田信夫所長の論考です。原発の再稼働が遅れていますし、このままでは全部の原発が再稼働するまで10年以上かかります。実は法律上の問題を明確にすれば、これまでのような横暴はできないという指摘。この方面からの思索はなかなかありません。現状打開策として。

2) 原子力規制委員会の活断層審査の混乱を批判する

原子力規制委員会の活断層審査が2年半も続いています。それを詳細に見ると、多くの点で問題があります。それを整理しました。

3)電力会社の原子力事業が再編される? -日本原電、東西分社化検討をめぐり

澤昭裕国際環境経済研究所(IEEI)所長の論考です。日本原電の再編、さらに各電力会社の原子力部門の再編の検討が始まっているようです。それがどのような形になるか。まだ見通せません。

4)ストップ「電気料金値上げ」-第2回原子力国民会議・東京中央集会報告

投稿原稿を紹介します。民間団体の原子力国民会議が東京中央集会を開催。その委員の石井正則さんの論考です。同会は原子力を巡る議論を深め、合意を得ようという取り組みをしています。

今週のリンク

1)原子力安全規制の最適化に向けて-炉規制法改正を視野に

21世紀政策研究所、政策提言。現在の対話のない原子力規制の状況をどのように変えるべきか。提案をしています。米国の例を参考に、独立性と円滑な規制の姿を考察しています。

2)日本原電、東西で分社検討 運転・廃炉請負で経営再建

日本原電の再編案が、おそらく経産省筋から浮上。ただ、原発を動かす努力をすればいいのに、これは筋違いの努力でしょう。

3)原油暴落で最も影響を受けた国:ベネズエラの打撃、イランとロシアの苦境

米紙ワシントンポスト(英語)の12月18日の編集者コラム。原油価格の低迷で、米国と対立してきたこれら3つの国の経済混乱の兆しが出ています。

4)2030年の電源構成、原子力15~25% 経産省検討

日本経済新聞1月25日記事。2030年の電源ごとの構成の議論が2011年以降、放置されました。しかし温暖化交渉の目標数値をつくるために、必要となります。経産省の動きの観測記事ですが、原発稼働の見通しが立たない以上、こうした議論は無意味でしょう。

5)電事連会長が「発送電分離」に懸念表明 電力の安定供給まで延期求める

産経新聞1月23日記事。八木誠電事連会長(関西電力社長)が今のように電力需給が混乱している中で、発送電分離を行うことに疑問を示しています。これは妥当な考えでしょう。エネルギー供給で、このままでは何が起こるか分かりません。

 

This page as PDF

関連記事

  • 石川・認可法人には第三者による運営委員会を設けます。電力会社の拠出金額を決めるなど重要な意思決定に関与する。ほかの認可法人を見ると、そういった委員会の委員には弁護士や公認会計士が就くことが多い。しかし、再処理事業を実施する認可法人では、核燃料サイクルの意義に理解があり、かつ客観的に事業を評価できる人が入るべきだと思います。
  • 日韓関係の悪化が、放射能の問題に波及してきた。 このところ立て続けに韓国政府が、日本の放射能について問題提起している。8月だけでも、次のようなものが挙げられる。 8月8日 韓国環境部が、ほぼ全量を日本から輸入する石炭灰の
  • ウィルファ原発(既存の原子炉、Wikipedia)
    はじめに 日立の英国原発凍結問題を機に原子力発電所の輸出問題が話題になることが多いので原発輸出問題を論考した。 原発輸出の歴史 原子力発電所の輸出国は図1の通りである。最初は英国のガス炉(GCR)が日本、イタリアに導入さ
  • けさの日経新聞の1面に「米、日本にプルトニウム削減要求 」という記事が出ている。内容は7月に期限が切れる日米原子力協定の「自動延長」に際して、アメリカが余剰プルトニウムを消費するよう求めてきたという話で、これ自体はニュー
  • 原子力規制委員会は本年(2016年)1月、国際原子力機関(IAEA)の総合的規制評価サービ ス(IRRS)を受けた。IRRSは各国の規制の質の向上を目指してIAEAがサービスとして実施しているもので、2006年から15年までに延べ70回実施されている。
  • 3月9日、大津地方裁判所は、福井県の高浜原発3・4号機の運転差し止めを求める仮処分決定を行なった。その決定には、これまでにない特徴がみられる。
  • 原発の稼動の遅れは、中部電力の経営に悪影響を与えている。同社は浜岡しか原発がない。足りない電源を代替するために火力発電を増やして、天然ガスなどの燃料費がかさんでいるのだ。
  • 今年の10月から消費税率8%を10%に上げると政府が言っている。しかし、原子力発電所(以下原発)を稼働させれば消費増税分の財源は十二分に賄える。原発再稼働の方が財政再建に役立つので、これを先に行うべきではないか。 財務省

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑