今週のアップデート - 適切なエネルギーミックスとは?(2015年5月25日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
アゴラ研究所の池田信夫所長の論考です。最近の日本のエネルギー政策をめぐる2つのトピック、エネルギーミックス案の決定、温室効果ガス削減目標の決定について批判的に考察しました。指摘通り、数字だけが膨らみ、実現可能性を冷静に検証しているか疑問です。原子力政策の混乱を放置しているからと根本原因を指摘しています。
2) 再エネ急拡大のエネルギーベストミックス案、実現可能か?
GEPRフェローのジャーナリストの石井孝明の論考。池田氏の原稿の関連として、ベストミックス案のポイントをまとめました。
川合将義高エネルギー加速器研究機構名誉教授の寄稿です。川合氏は福島原発事故対策で、原子力関係者による支援の中心人物の一人です。日本の規制が不必要に厳しすぎることが、各国の疑心暗鬼を生んでいるという指摘は、一理あります。
今週のリンク
1)エネルギー長期需給見通し(エネルギーミックス)小委員会第8回会合
経産省・資源エネルギー庁4月28日発表(再掲)。今回取り上げたエネルギー見通しをまとめた会議です。「報告案」に概要が掲載。
2)これでいいのか高校教科書 「原子力」記述間違いだらけ、まかり通る“誤解”と“不正確”
産経新聞5月21日記事。原子力事故以降、教育に原子力を取り上げる動きが出ているものの、間違いが教科書に多いようです。特に文系科目の教科書で目立ちます。原子力学会が、改善の要望を出す予定です。デマの多さを考えれば、こうしたことから直したいものです。
朝日新聞5月22日記事。政府は同日、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の処分地について、従来の公募方式から、政府主導の処分地の選定に変更することを閣議決定しました。この問題が原子力の反対派の関心を集めており、候補地の選定が期待されます。
FUTURUS(フトゥールス)5月13日記事。環境技術ウェブです。170メートルの巨大な輪状の建物で、風車を使わず、風や日照で発電する取り組み。オランダでの建築計画ですが、実現したら大変面白い建物になるでしょう。
WIRED5月13日記事。ITのトップ企業のアップルが、データセンター、自社オフィスなどを再エネ100%にする計画を建て、現時点で85%まで達成したという記事です。もちろん、外注の製造工程は含まれず、ずるいという点もありますが、評判はかなり上昇中です。エネルギーの使い方は企業ブランディングの有効な道具になります。
朝日新聞5月23日記事。核不拡散条約の再検討会議が国連で行われていましたが、「中東非核地帯構想」や核軍縮を勧告するための最終文書を決めることができませんでした。核兵器の管理は、保有米国など5大国と、秘密裏に開発したイスラエルの思惑が重なり、なかなか進展しません。

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シンポジウムのパンフレットを作成しました。当日のプログラムにもなります。自由にお使いください。(PDFはこちら)
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東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所を5月24日に取材した。危機的な状況との印象が社会に広がったままだ。ところが今では現地は片付けられ放射線量も低下して、平日は6000人が粛々と安全に働く巨大な工事現場となっていた。「危機対応」という修羅場から、計画を立ててそれを実行する「平常作業」の場に移りつつある。そして放射性物質がさらに拡散する可能性は減っている。大きな危機は去ったのだ。
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13年1月記事。米国の電力自由化と、復旧の遅れの問題を取り上げている。日本のエネルギー産業も、システム改革・自由化の中でこの問題に直面するかもしれない。
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