今週のアップデート — 福島原発事故の波紋(2014年5月29日)
アゴラ研究所の運営するエネルギー調査期間のGEPRはサイトを更新しました。
今週のアップデート
1)危機対応から平常作業へ — 福島第一原発、事故現場を見る
東京電力福島第一原発をアゴラ・GEPR関係者で取材する機会がありました。メディアは恐怖と、「うまくいっていない」伝えられますが、実際のこの地は巨大工事現場。整理され、そして粛)々と工事が進んでいました。その状況をリポートします。
福井地裁は、5月21日、福井や大阪など22都道府県の189人が関電を相手に大飯原発(福井県)の運転再開の差し止めを求めた訴訟で、差し止めを命じる判決を言い渡しました。原子炉の危険を裁判所が認定したのです。それについて、北海道大学工学院の原子力研究者である奈良林直教授に寄稿をいただきました。事実認定で、かなり問題のある判決です。
一般投稿で、NPO「日本の将来を考える会」の理事から、提言をいただきました。原子力規制委員会の取り組みの問題点について、順序立てて整理しています。
今週のリンク
池田信夫アゴラ研究所所長のコラムです。戦略のない消耗戦に事故処理が陥っていることを「ガダルカナル」(日本軍が大敗北した太平洋戦争の戦場)とアゴラ研究所が視察した福島第一原発のルポは近日中に公開します。
日本経済新聞5月23日記事。電力システム改革で域独占規制がなくなることをにらみ、東電が全国で電力販売をすることを表明しました。これは自由化を促す半面、東電が国営状態になっている現状では、電力産業の姿をおかしくする可能性があります。
3)エネルギーで考える「風が吹けば桶屋が儲かる」高井裕之・住友商事グローバルリサーチ社長に聞く
日経BP5月26日記事。エネルギー問題についての概観用の記事。日本の原子力政策からウクライナ危機まで、エネルギーをめぐる話題が相互に関連していることが分かります。
ロイター、22日記事。ロシア系英国人の経済アナリスト、アナトール・カレツキー氏のコラム。ロシアが中国にガスの供給で、4000億ドル、30年の長期契約を結びました。この中ロ提携が、米欧に対抗する経済同盟に発展する契機になる懸念を述べています。
朝日新聞特設サイト。朝日新聞が原発事故後に、政府事故調で28時間におよぶインタビューを受けました。それを同紙が入手して公開しています。ただ記事には、吉田氏が正確に述べたか、疑問があることも示されています。内閣府は公開は、吉田氏の意思ではないと、吉田氏の上申書を発表しています。
ニューヨークタイムズ5月1日社説。米国の原子力利用に懐疑的なメディアの代表格である同紙も最近、原子力の利用に肯定的です。「この問題で必要なことは「分別だ」」と指摘しています。GEPRは近日翻訳を紹介します。

関連記事
-
難破寸前政権 大丈夫かあ? 政権発足前夜、早くもボロのオンパレード・・・ 自民党総裁就任から、石破の言動への評価は日をおうごとに厳しさを増している。 思いつき、認識不足、豹変、言行不一致、有限不実行、はては女性蔑視——昭
-
田中 雄三 国際エネルギー機関(IEA)が公表した、世界のCO2排出量を実質ゼロとするIEAロードマップ(以下IEA-NZEと略)は高い関心を集めています。しかし、必要なのは世界のロードマップではなく、日本のロードマップ
-
東洋経済オンラインに掲載された細野豪志氏の「電力危機に陥る日本「原発再稼働」の議論が必要だ」という記事は正論だが、肝心のところで間違っている。彼はこう書く。 原発の再稼働の是非を判断する権限は原子力規制委員会にある。原子
-
昨年の地球の平均気温は、観測史上最高だった。これについて「その原因は気候変動だ」という話がマスコミには多い。 気候変動の話をすると、「地球の歴史からするとこの程度は昔もあった」というコメントがつくのだが、現生人類も文明も
-
元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 これまで筆者は日本の水素政策を散々こき下ろし、そのついでに「水素を燃やすのが勿体ないならば、その水素を原料に大量のエネルギーを使って合成するアンモニアを燃やすのは更に勿体ない、
-
福島原発事故以来、環境の汚染に関してメディアには夥しい数の情報が乱れ飛んでいる。内容と言えば、環境はとてつもなく汚されたというものから、そんなのはとるに足らぬ汚染だとするものまで多様を極め、一般の方々に取っては、どれが正しいやら混乱するばかりである。
-
電気が足りません。 電力緊急事態 理由その1 寒波による電力需要増大 理由は二つ。 まず寒波で電力需要が伸びていること。この寒さですし、日本海側は雪が積もり、太陽光の多くが何日間も(何週間も)“戦力外”です。 こうしたk
-
ロシアへのエネルギー依存を脱却すべく、欧州が世界中からエネルギーを買い漁っている。この影響で世界のエネルギー価格は暴騰した。これに耐えかねて、開発途上国では石炭の増産と石炭火力発電の利用計画が次々と発表されている。 ニュ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間