1980年代のテネシー川流域での原発運転停止による石炭火力発電および乳児の健康に対する影響
nature.com 4月3日公開。「Impacts of nuclear plant shutdown on coal-fired power generation and infant health in the Tennessee Valley in the 1980s」の要旨翻訳 。
2011年3月の福島原発事故は深刻な社会不安と原発の将来についての不確実性を引き起こした。しかしながら、化石燃料発電所と異なり、原子力発電所が発電中に生み出す温室効果ガスや大気汚染物質は事実上ゼロである。これから示すのは、1980年代のテネシー川流域開発公社 (TVA) による 原子力発電所の一時閉鎖という状況が大気汚染および乳児の健康にもたらした影響である。1979年のスリーマイル島原発事故ののち、アメリカ合衆国原子力規制委員会が全国での調査を強化したことでTVA地域の大型原子力発電所2基が停止される事態となった。この停止に応じて、TVA内の発電は1対1の関係で石炭火力発電へとシフトしたが、その所在地となる郡の中では粒子汚染が増加した。その結果、影響を受けた場所のほとんどで乳児の健康が損なわれた可能性があることから、公衆衛生に対する悪影響が示唆されている。

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