kWとkWhはどう違うの?
エネルギー(再エネ)のフェイクニュースが(-_-;)
kW(設備容量)とkWh(発電量)という別モノを並べて紙面解説😱
kWとkWhの違いは下記URL『「太陽光発電は原子力発電の27基ぶん」って本当?』をクリック❗️😭https://t.co/BHKjxDZzqs小泉元首相インタビュー(東京新聞)https://t.co/QjQNsPljGA pic.twitter.com/3Yt0dHZCgD
— あ!かんでん坊や【公式】 (@a_kanden_boya) 2018年5月14日
東京新聞が「全電源、自然エネにできる」という小泉元首相のインタビューを掲載し、それに関西電力の公式サイトが突っ込んでいます。2040年に再エネが66.3%になるという予想は常識で考えてもおかしいと気づくはずですが、東京新聞は気づかなかったんでしょうか。

脱原発へ“意気軒昂”(昨年11月、山口の講演で:YouTubeから編集部)
この左側の数字はkW(キロワット)ベース、つまり最大限どれだけ発電できるかという能力です。再エネは電力のデコボコが多く、たとえば太陽光発電所は夜はまったく発電できないので、実際の発電量はこの1割ぐらいです。それが右側の発電量の実績の数字、つまりkWh(キロワット時)です。
kWhというとよい子のみなさんにはむずかしいでしょうが、電力×時間です。たとえば100万kWの原発を3時間うごかしたら、300万kWhになるわけです。最大発電量1万kWのメガソーラーが100基あっても、その1割しか動かないと、1万×100×0.1=10万kWhだから、3時間で30万kWhにしかなりません。この違いがわからないで「1万キロワットのメガソーラー100基で原発1基分」などと報道するマスコミがいまだに多いのは困ったものです。
では実績ベースのkWhで、再エネはどうなるでしょうか。次の図はEIAの予想した世界の電力消費量ですが、2040年で再エネは発電量の約3割、石炭や天然ガスとほぼ同じです。それでも今の2倍近いですが、アメリカのように広い土地のない日本ではそこまで行かないでしょう。

きょう出た新しいエネルギー基本計画の素案では「再エネを主力にする」としていますが、再エネ比率を2030年に22~24%にするというこれまでの目標は変わっていません。これが最初の図の右側ですが、実現できるかどうかはわかりません。今の固定価格買い取り制度(FIT)をやめると、再エネへの投資は大きく減るでしょう。
再エネが増えるのはけっこうなことですが、小泉さんのいうようにそれで100%まかなうことはできません。電力は蓄積できないので、蓄電池が必要だからです。蓄電コストは発電よりはるかに高いので、再エネ+蓄電池ですべての電力をまかなうには、蓄電コストが今の1/28にならないといけない、というのがエネルギー情勢懇談会の計算です。
電気代は、貧乏人も払わないといけない「税金」です。問題は「原発ゼロ」にするかどうかではなく、経済性とともに地球温暖化も含めた環境リスクを考えて、社会的コストを最小にすることです。元首相がこんな簡単なかけ算もわからないのは困ったものですが、わかった上で彼を利用している人々が悪いと思います。
関連記事
-
ウクライナの戦争を招いたのは、ロシアのガスへの依存を招いたEUの自滅的な脱炭素・反原発政策だったことを糾弾し、欧州は、域内に莫大な埋蔵量があるガスの採掘拡大を急ぐべきだ、とする大合唱が起きている。 「エネルギーマゾヒズム
-
福島第1原発事故から間もなく1年が経過しようとしています。しかしそれだけの時間が経過しているにもかかわらず、放射能をめぐる不正確な情報が流通し、福島県と東日本での放射性物質に対する健康被害への懸念が今でも社会に根強く残っています。
-
2026年にウクライナが敗戦すると、英独仏も無傷ではいられない。以下では、そのようなシナリオを展開してみよう。 ウクライナが敗戦する。すなわちロシアは東部四州とクリミア、さらにオデッサを含む黒海沿岸を領土とする。内陸国と
-
言論アリーナ「どうなる福島原発、汚染水問題・東電常務に田原総一朗が迫る」で姉川尚史東電常務が公表した図表21枚を公開する。
-
東京電力福島第一原子力発電所の1号機から4号機においては東日本大震災により、①外部電源および非常用電源が全て失われたこと、②炉心の燃料の冷却および除熱ができなくなったことが大きな要因となり、燃料が損傷し、その結果として放射性物質が外部に放出され、周辺に甚大な影響を与える事態に至った。
-
「トンデモ本」というのを、ご存じだろうか。著者の思い込み、無知などによる、とんでもない話を書いた本の呼び方だ。「日本トンデモ本大賞」というものもあり、20年前の第1回は、「ノストラダムス本」が受賞している。当時、かなりの人が1999年7月に人類は滅亡するという、このトンデモないこじつけの予言を信じていた。2011年は大川隆法氏の『宇宙人との対話』が選定されている。
-
3月10日から久しぶりに米国ニューヨーク・ワシントンを訪れてきた。トランプ政権2.0が起動してから50日余りがたち、次々と繰り出される関税を含む極端な大統領令に沸く(翻弄される)米国の様子について、訪問先の企業関係者や政
-
EUの気象情報機関コペルニクス気候変動サービスは、2023年の世界の平均気温が過去最高を記録し、産業革命前より1.48℃高くなったと発表した。 これは気温上昇を1.5℃以内に抑えるというパリ協定の努力目標まであと0.02
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間















