温暖化予測は捏造だ オバマ政権の科学次官が喝破
スティーブン・クーニン著の「Unsettled」がアマゾンの総合ランキングで23位とベストセラーになっている。
Unsettledとは、(温暖化の科学は)決着していない、という意味だ。
本の見解は
- 気候は自然変動が大きい
- ハリケーンなどの災害の激甚化・頻発化などは起きていない
- 数値モデルによる温暖化の将来予測は不確かだ
といったもので、これまで小生が書いてきたこととほぼ同じである。
誰がこの本を書いたか、ということが重要だ。クーニンはコンピューターモデルによる数値計算の権威である。オバマ政権では米国エネルギー省の科学次官に任命されていて、気候研究プログラムも担当した。クーニンに対して、非専門家だとか、政治的な動機による温暖化否定論者だとかする批判は出来ようが無い。
クーニンの動機ははっきりしている。科学が歪められ、政治利用されていることに我慢がならないのだ。温暖化の科学は決着しており唯一の「ザ・科学」が存在するという見解は間違っている。「気候危機だ」と煽り立てるのは政治が科学を用いる方法として間違っている。
クーニンは物理学者ファインマンに憧れてカルフォルニア工科大学に入学した。物理学出身者には、同大学の故フリーマン・ダイソンを含め、温暖化の「ザ・科学」に批判的な研究者が多い。私事ながら小生も物理学出身で、クーニンと全く同じ動機を持ち、同じ見解に達した。
温暖化予測に用いる数値モデルは、雲に関するパラメーター等の設定に任意性があり、観測で決めることが出来ない。このパラメーターをいじって地球の気温上昇の大きさを操作する「チューニング」という慣行がある。クーニンはこれを解説した上で「捏造である(cooking the books)」と喝破している。
なぜ温暖化の科学は歪められ、政治利用されるのか。クーニンは、メディア、研究者、研究機関、NGO、政治家などが、それぞれの動機で動いた結果、意図せざる共謀が起きていると指摘し、是正手段を提案している。
中でも興味深いのは、既往の報告に対して批判的な立場から検討する研究者集団である「レッド・チーム」を結成し報告させることだ。日本でもやってみたらよい。
■
関連記事
-
苦しむドイツ ウクライナ紛争に伴ったロシア制裁と、その報復とみられるロシアによる欧州への天然ガス供給の縮小により、欧州の天然ガス価格は今年に入って高騰を続け、8月半ばには1メガワットあたり250ユーロと、3月の水準から約
-
私は42円については、当初はこの程度の支援は必要であると思います。「高すぎる」とする批判がありますが、日本ではこれから普及が始まるので、より多くの事業者の参入を誘うために、少なくとも魅力ある適正利益が確保されればなりません。最初に高めの価格を設定し、次第に切り下げていくというのはEUで行われた政策です。
-
北海道寿都町が高レベル放射性廃棄物最終処分場選定の文献調査に応募したことを巡って、北海道の鈴木知事が4日、梶山経済産業大臣と会談し、「文献調査」は『高レベル放射性廃棄物は受け入れがたい』とする道の条例の制定の趣旨に反する
-
東京都は保有する水力発電所からの電力を平成21年度(2009年)から10年間の長期契約で東京電力に販売しているが、この電力を来年度から入札により販売することにした。3月15日にその入札結果が発表された。(産経新聞3月15日記事「東京都の水力発電、売却先をエフパワーに決定」)
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
国内の原発54基のうち、唯一稼働している北海道電力泊原発3号機が5月5日深夜に発電を停止し、日本は42年ぶりに稼動原発ゼロの状態になりました。これは原発の再稼動が困難になっているためです。
-
政府のエネルギー・環境会議による「革新的エネルギー・環境戦略」(以下では「戦略」)が決定された。通常はこれに従って関連法案が国会に提出され、新しい政策ができるのだが、今回は民主党政権が残り少なくなっているため、これがどの程度、法案として実現するのかはわからない。2030年代までのエネルギー政策という長期の問題を1年足らずの議論で、政権末期に駆け込みで決めるのも不可解だ。
-
2015年10月1日放送。出演は、有馬純(東京大学公共政策大学院教授)、池田信夫(アゴラ研究所所長)、司会は石井孝明(ジャーナリスト・GEPR編集者)の各氏。有馬氏は、経産省で、地球温暖化問題の首席交渉官。年末のCOP21に向け、これまでの交渉を振り返り、今後何をすべきかを議論。環境だけではなく、国益をかけた経済交渉の側面があることで、参加者は一致した。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間