小泉進次郎氏への公開質問状:小石河連合から四人組へ

小泉進次郎オフィシャルブログより
公開質問状の背景
先週末の朝、私のところに標記の文書(小泉 進次郎氏への公開質問状)が舞い込んできた。発信者は、自民党自民党総合エネルギー戦略調査会会長代理で衆議院議員の山本 拓氏である。曰く、小泉環境大臣は9月17日、閣議後の会見という公式の場において、国民に対し、高市総裁候補を名指しして非難した。そのことは到底看過できないというのである。
小泉氏の高市氏非難の背景には、再エネへの無謀ともいえるシフトを謳う『第6次エネルギー基本計画』が未だに閣議決定できず混迷していることへの苛立ちが露骨に見て取れる。とりわけ、計画素案の策定終盤における審議委員と「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(再エネTF)」とのチャンバラ劇注1)はそのような混迷を象徴している。
再エネTFは高木学校出身でIRENAの事務局をつとめ今自然エネルギー財団の事務局長である大林ミカ氏のほか、高橋 洋氏(都留文科大学教授 )、原 英史氏(元経産官僚)、川本 明氏(慶応義塾大学 経済学部特任教授)からなる。いずれも再エネ100%を信奉する歴戦の兵(つわもの)である。
なかでも、原 英史氏は反経産省の急先鋒である古賀 茂明氏と関係が深い。古賀氏は、TFと河野氏の関係を、『河野太郎を総理へ導く「4人の侍」と「1人の忍者」』注2)という一文で詳説している。「1人の忍者」とは、“19兆円の請求書”の元経産官僚であり、昨年河野氏に一本釣りされて、今では内閣府参事官として河野氏を支えている山田 正人氏である注3)。
質問状のポイント
さて、高市氏は、自身が総裁に選出されれば、第6次エネルギー基本計画素案を一旦撤回し、衆院選後に見直すことを明言している。
山本氏の質問のポイントは2つある。
- 現在の化石燃料発電量を全て太陽光発電で賄うのに必要な設備面積は東京ドーム約13万個分になる。
- 2050年のIT関連だけでもその電力消費量が、176,200 TWh/年になるという予測値がある注4)。これを全て太陽光発電で賄おうとすると、東京ドーム約2,940万個分の設置面積が必要になる。
(尚、2016年の日本のIT関連消費電力は41TWhなので、想像を絶する増大量である。年間の国内消費電力は約1,000TWhである。)
この2点に関して、小泉環境大臣に、2050年カーボンニュートラル及びエネルギー政策に関する考えを質したのだが、回答がないとのことであった。
山本氏が公開質問を2度にわたって行ったのは、河野・小泉両氏が “KKコンビ”と言われるように自然エネルギー爆進路線で軌を一にしているからである。
KKコンビの特徴は、人気取りのパフォーマンスについつい走ってしまうこと。またそれが国家の安泰の根幹に関わるようなことも平気でやってしまうことにある。今次の総裁選の論争にあっても、政策の細部に論点が移ると曖昧な回答でお茶を濁す傾向が著しい。
小石河連合
9月16日、石破 茂元幹事長は、河野氏を支持する派閥横断のグループ「必勝を期す会」の設立総会で、小泉環境大臣らと壇上にあがり、「古い自民党、派閥が横行する自民党を変えよう」と呼びかけた。ここにいわゆる『小石河連合』が成ったのである。
そもそもこの石破氏は、いわゆる変節漢そのものである。自民党への裏切りを繰り返してきた。自民党に力が無くなれば出ていき、自民党が党勢を回復したら出戻ってくるーーーこれでは信用されない。
ではなぜ地方の党員に人気があるのか? その謎の一端を解く鍵となるエピソードを、私はとある原発立地地域の地方議員から聞いたことがある。
その議員は、石破氏が地方行脚で経巡ってきた折に懇談し、再稼働が一向に進まず街は活気を失い疲弊する一方である−−−なんとかしてほしいと窮状を訴えたのである。石破氏はあのいつもの脂ぎった笑顔で分かった分かったと言ったという。この御仁はずっと以前から、少なくとも3.11以降は『本心は原発ゼロ』なのだが、そのことをごまかしてばかりいる。
本心に逆らうような安請け合いも平気の平左。変節漢の本領発揮である。

©️JIJI.COM
片や、KKコンビが自然エネルギー利権に冒されていることが明らかになってきた。一人目のK・小泉 進次郎氏は父純一郎氏と兄孝太郎氏が、太陽光発電をビジネスにする詐欺事件で社長が逮捕されたテクノシステム社と深い関係にあることが明らかになった注5)。
もう一人のK・河野 太郎氏は、弟二郎氏が社長で父洋平氏が大株主である親族企業・日本端子株式会社が中国の北京市や崑山などに複数の関連会社を所有していることに懸念の声が上がっている注6)。
問題は二つある。一つ目は、中国当局からこれら中国内の関連会社が優遇措置を受けているのではないかという疑念。そもそも中国に関連会社があること自体がすでに問題だとする論調もある。
そこで思い起こされるのが、太郎氏が防衛大臣時に突如として決定されたイージス・アショアの配備計画の破棄であった。
日本へのイージス・アショアの配備を最も懸念していたのは中国である。中国の核ミサイルの相当数は日本をターゲットとしている。そんな折、太郎氏が外務大臣の頃に撮影された中国外交部の女性報道官とのツーショット写真も拡散している。この写真は、太郎氏が自らのTwitterで嬉しげに拡散していたものである。なんとも開いた口が塞がらない。これをして「媚中派」と言わずしてなんと言おうか。
二つ目の問題は、太郎氏がこの同族企業の株を保有していると同時に、長年に渡って政治献金を受け取っていたことである。この金は中国で展開しているビジネスと無縁ではないから問題ありとされているのである。この同族企業が生産する電子端子は、太陽光発電やオール電化、そしてEVでの需要が著しい。太陽光発電やEVを増やせば増やすほどこの同族企業にカネが入ってくる。つまり金のなる木なのである。中国マネーへの依存はやがて売国奴への道へと繋がって行く。
第4の男
小石河連合の3人組に加担する第4の男が名乗りを上げた。
森山 裕国対委員長である。自民党総裁選の告示の前日である9月16日に、森山氏は河野太郎氏と会談した。会談後、森山氏は総裁選の対応について「河野氏をしっかり応援したい」と取材陣を前にして表明した。
これをもって、河野太郎“総裁”実現へ向けての『4人組』体制が整った格好である注7)。
ジャーナリストの門田 隆将氏は、森山氏を自民党内の“媚中派3人組”の一人と斬って捨てている注8)。
変節漢・石破 茂氏は、2020年7月3日に日経新聞主催のイベントで講演と質疑応答を行った。そのなかで“日本は米国と中国のいずれか二者択一の立場は取らない”と述べた注9)。
中国の核は確実に日本に向けられ、日本国の存続の脅威となっている。片や、日米安保のもと米国の核は日本の安全保障を担保している形である。軍事オタクであり元防衛大臣の石破氏がわが国の安全保障における、そのようなイロハのイを知らないはずはなかろう。とすれば、この中国におもねった発言の裏に一体何があるのであろうか。
ここまで見てきたように、今次の総裁選において、万が一にも小石河連合あるいはそこに森山氏を加えた『4人組』が勝利することがあれば、それは中国の哄笑を呼び起こすこと間違いなしである。
視点の定まらない変節漢、媚中派ましてや売国奴と揶揄される輩注10)に日本の命運を委ねてはならない。
注1) https://energy-forum.co.jp/online-content/6260/
注2) https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2021/01/08/112790/
注3) https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210202/se1/00m/020/049000c
注4) https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2018-pp-15.pdf
注5) https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/290580
注6) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87597
注7) https://www.sankei.com/article/20210916-YIJHAFGH2VKY3OKZBA3ZM576YM/
注8) https://web.archive.org/web/20210623061411/https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/3305544/
注9) https://jp.reuters.com/article/ishiba-china-usa-idJPKBN24407H
注10) https://search.yahoo.co.jp/realtime/search?p=%23河野太郎は売国奴

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