東京都は太陽光発電が人権侵害しないことを規定せよ

blew_i/iStock
新設住宅への太陽光発電設置義務付けを検討中の東京都がQ&Aとして「太陽光発電設置 解体新書」を8月1日に出した。
Q&Aと言っても筆者がこれまで指摘した、一般国民の巨額の負担や、江戸川区等の洪水時の感電による二次災害等については全く触れていない。
他にもツッコミどころは満載だが、今回は、筆者が最も重要と考える人権問題に絞る。
東京都は住宅用であれば国内企業シェアが多い、としているが、国内企業だからといって日本製のパネルとは限らない。中国製のパネルはどの程度あるのか?
それから、メーカーにヒヤリングをしたら新疆ウイグル自治区の製品は使っていないとのことだったそうだ。人権問題に関する調査をしたことは評価したい。何しろ、これまで国が見て見ぬふりをしてきた点だからだ:
だが、いったいどうやって証明するのか? 中国から輸入する際に、シリコンの採掘・精錬、パネル製造、モジュール製造の全ての工程に渡って新疆ウイグルの工場を使っていない証明を輸出者にさせたのだろうか? そもそも中国政府が人権問題自体を否定している中、そのような証明は可能なのか? 新疆ウイグル自治区のシェアは、いま世界の40%もある。
なお、国際エネルギー機関(IEA)の最新の報告によれば、これから太陽光発電における中国産のシェアは更に上がり、世界の95%に達する見込みだという:
このような中で太陽光発電を義務化するということは、事実上、中国製品の使用の義務化になりはしないのか?
東京都は、太陽光発電を義務化するよりも、むしろ、東京都民が人権侵害に加担しないようにするために、「設置事業者は、製品が人権侵害に加担していないことを証明すること」を規定すべきだ。
ただしそうすると、太陽光発電の経済性は現状よりも更に悪化して、ますます正当化できなくなる。
やはりこの義務化は止めるべきだ。
■

関連記事
-
ロイターが「世界の海面上昇は史上最高になり、海面が毎年4.5センチ上がる」というニュースを世界に配信した。これが本当なら大変だ。この調子で海面が上がると、2100年には3.6メートルも上がり、多くの都市が水没するだろう。
-
日本では原発の再稼動が遅れているために、夏の電力不足の懸念が広がっています。菅直人前首相が、政治主導でストレステストと呼ばれるコンピュータシュミレーションを稼動の条件としました。それに加えて全国の原発立地県の知事が、地方自治体の主張が難色を示していることが影響しています。
-
NSのタイムラインに流れてきたので何気なく開いてみたら、たまたま先日指摘した日経エネルギーNextさんの特集の第2回でした。 こちらも残念かつ大変分かりにくい内容でしたので、読者諸兄が分かりやすいよう僭越ながら補足いたし
-
捕鯨やイルカ漁をめぐる騒動が続いている。和歌山県太地町のイルカ漁を批判的に描写した「ザ・コーヴ」(The Cove)が第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したのは、記憶に新しい。
-
地球温暖化によってサンゴ礁が失われるとする御用科学の腐敗ぶりを以前に書いたが、今度は別のスキャンダルが発覚した。 「CO2濃度が上昇すると魚が重大な悪影響を受ける」とする22本の論文が、じつは捏造だったというのだ。 報じ
-
ロシアのウクライナ侵攻という暴挙の影響で、エネルギー危機が世界を覆っている。エネルギー自給率11%の我が国も、足元だけではなく、中・長期にわたる危機が従前にまして高まっている。 今回のウクライナ侵攻をどう見るか 今回のロ
-
G7では態度表明せず トランプ政権はイタリアのG7サミットまでにはパリ協定に対する態度を決めると言われていたが、結論はG7後に持ち越されることになった。5月26-27日のG7タオルミーナサミットのコミュニケでは「米国は気
-
エネルギー政策について、原発事故以来、「原発を続ける、やめる」という単純な話が、政治家、民間の議論で語られる。しかし発電の一手段である原発の是非は、膨大にあるエネルギーの論点の一つにすぎない。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間