太陽光パネルを義務付けて東京都は責任を取るのか

2024年02月12日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

Alberto Masnovo/iStock

東京都が2023年春に条例で定めた新築住宅への太陽光発電パネルの義務付けの施行予定は来年2025年の4月となり、あと1年に迫ってきた。

この条例について、筆者は問題点を条例可決以前から筆者が指摘し、都に請願を提出してきた。

もう怒った…環境問題の研究者が小池都知事に「太陽光パネル義務化反対」請願を提出した理由

だがこれまでのところ、何一つ誠意ある回答を得られていない。

改めて公開質問として、東京都には以下の問いに回答を求める。

  1. 太陽光パネルの設置後に、そのパネルの製造過程において新疆ウイグル自治区における強制労働などジェノサイドの関与が判明した場合、都は責任を負うのか。あるいは責任を負わないのか?
  2. 前項で責任を負うとする場合、どのように負うのか?
  3. 太陽光パネルの設置後に、大震災や水害などで太陽光パネルが破損、墜落、水没した場合、避難、救助、復興の作業において二次災害が発生し、死傷者が出た場合、あるいは、二次災害の恐れから作業が遅れた場合、都は責任を負うのか。あるいは責任を負わないのか?
  4. 前項で責任を負うとする場合、どのように負うのか?
  5. 都による太陽光パネルの設置義務付けで、何トンのCO2の削減を見込んでいるのか?
  6. そのCO2削減による気温低下は何度か? なお、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、累積で1兆トンのCO2削減によって0.5℃の気温低下が見込めるとされているので、前項から比例計算で簡単に算出できる。
  7. 東京都の令和6年度予算案では再生可能エネルギー等の拡充に1970億円もの予算が計上されている。これは前項の気温低減の効果に見合うものとお考えか。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 2025年6月15〜17日、カナダのカナナスキスでG7サミットが開催される。トランプ第2期政権が発足して最初のG7サミットである。 本年1月の発足以来、トランプ第2期政権はウクライナ停戦、トランプ関税等で世界を振り回して
  • まえがき エネルギーは食料と同じで、我々の生活に必須である。日本のエネルギー自給率は今10%にも届かないので、需要の90%以上を海外から買っている。一方食料の自給率は40%程度だが、やはり残り60%を海外に依存している。
  • 昨年夏からこの春にかけて、IPCCの第6次報告が出そろった(第1部会:気候の科学、第2部会:環境影響、第3部会:排出削減)。 何度かに分けて、気になった論点をまとめていこう。 今回は、環境影響(impact)を取り扱って
  • 7月22日、インドのゴアでG20エネルギー移行大臣会合が開催されたが、脱炭素社会の実現に向けた化石燃料の低減等に関し、合意が得られずに閉幕した。2022年にインドネシアのバリ島で開催された大臣会合においても共同声明の採択
  • 毎日新聞
    7月14日記事。双葉町長・伊沢史朗さんと福島大准教授(社会福祉論)・丹波史紀さんが、少しずつはじまった帰還準備を解説している。話し合いを建前でなく、本格的に行う取り組みを行っているという。
  • IPCCの報告が昨年8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 米国オバマ政権の科学次官を務めたスティーブ・クーニンの講
  • 先日、和歌山県海南市にある関西電力海南発電所を見学させていただいた。原発再稼働がままならない中で、火力発電所の重要性が高まっている。しかし、一旦長期計画停止運用とした火力発電ユニットは、設備の劣化が激しいため、再度戦列に復帰させることは非常に難しい。
  • 先月政府のDX推進会議で経産省は革新的新型炉の開発・建設を打ち出したが、早くもそれを受けた形で民間からかなり現実味を帯びた具体的計画が公表された。 やはり関電か 先に私は本コラムで、経産省主導で開発・建設が謳われる革新的

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑