東京都が都民に隠す1000万分の2度しか下がらない事実

2024年03月10日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

taka4332/iStock

以前アゴラに寄稿した件を、上田令子議員が東京都議議会で一般質問してくれた(ノーカット動画はこちら)。

上田議員:来年度予算として2000億円もかけて、何トンCO2が減るのか、それで何度気温が下がるのか。なおIPCCによれば1兆トンで0.5度なので簡単に計算できます。

東京都職員:43万トンです。パリ協定では1.5℃を目標にしております。

上田:何度気温は下がるのですか。

東京都:繰り返しになりますが、43万トンです。

どうやら話が通じないというか、日本語が通じないふりをしている。繰り返していないで、きちんと質問に答えてくれ。

頑として、何度下がるかは答えないつもりのようだ。

かわりに答えてあげよう。

43万トンという数字の根拠は東京都資料のP60にあった。

これも中国でパネルを製造した時のCO2排出が勘定されていないので間違いだが、とりあえず本稿ではこの数字を使うことにする。

すると、1兆トンで0.5℃なので、

0.5℃×43=21.5℃の1億分の1、というのが気温低下である。(1兆÷1万=1億)

あえて少数で書けば(桁を間違えそうになるが)、

0.000000215℃

つまり

答え 2000億円かけて、気温低下が0.000000215℃。つまり、1千万分の2度(!!!)

東京都は、きちんとこれを議会と都民に説明して、実施の可否を仰ぐべきだ。

ちなみに東京都は50億円かけて、都庁舎でプロジェクションマッピングをやるそうだ。消費電力200キロワットは再生可能エネルギーだというが、夜中に太陽光発電などありはしない。「再エネ証書」を買うつもりらしいが、これまた都民の税金だ。プロジェクションマッピングなど、民間にやらせておけばよい。なぜこんなことを都がやるのだろうか。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • GEPRの運営母体であるアゴラ研究所は映像コンテンツである「アゴラチャンネル」を提供しています。4月12日、国際環境経済研究所(IEEI)理事・主席研究員の竹内純子(たけうち・すみこ)さんを招き、アゴラ研究所の池田信夫所長との対談「忘れてはいませんか?温暖化問題--何も決まらない現実」を放送しました。 現状の対策を整理し、何ができるかを語り合いました。議論で確認されたのは、温暖化問題では「地球を守れ」などの感情論が先行。もちろんそれは大切ですが、冷静な対策の検証と合意の集積が必要ではないかという結論になりました。そして温暖化問題に向き合う場合には、原子力は対策での選択肢の一つとして考えざるを得ない状況です。
  • アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
  • 世界は激変している。だが日本のエネルギー政策は変わることが出来ていない。本当にこれで大丈夫なのか? 脱炭素の前に脱ロシア? ウクライナでの戦争を受け、日本も「脱ロシア」をすることになったが、「脱炭素の前に脱ロシア」という
  • 米国海洋気象庁(NOAA、ノアと読む)の気温計測データについて最新の批判報告が出た。(報告書、ビデオクリップ) 気温計測する場合は、温度計を格納している通風筒を芝生の上に設置し、その周り100フィートには建物や木はあって
  • 3月30日、世界中で購読されるエコノミスト誌が地球温暖化問題についての衝撃的な事実を報じた。
  • アメリカでは「グリーン・ニューディール」をきっかけに、地球温暖化が次の大統領選挙の争点に浮上してきた。この問題には民主党が積極的で共和党が消極的だが、1月17日のWSJに掲載された炭素の配当についての経済学者の声明は、党
  • 昨年12月にドバイで開催されたCOP28であるが、筆者も産業界のミッションの一員として現地に入り、国際交渉の様子をフォローしながら、会場内で行われた多くのイベントに出席・登壇しつつ、様々な国の産業界の方々と意見交換する機
  • きのうのG1サミットの内容が関係者にいろいろな反響を呼んでいるので、少し補足説明をしておく。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑