東京都が都民に隠す1000万分の2度しか下がらない事実

taka4332/iStock
以前アゴラに寄稿した件を、上田令子議員が東京都議議会で一般質問してくれた(ノーカット動画はこちら)。
上田議員:来年度予算として2000億円もかけて、何トンCO2が減るのか、それで何度気温が下がるのか。なおIPCCによれば1兆トンで0.5度なので簡単に計算できます。
東京都職員:43万トンです。パリ協定では1.5℃を目標にしております。
上田:何度気温は下がるのですか。
東京都:繰り返しになりますが、43万トンです。
どうやら話が通じないというか、日本語が通じないふりをしている。繰り返していないで、きちんと質問に答えてくれ。
頑として、何度下がるかは答えないつもりのようだ。
かわりに答えてあげよう。
43万トンという数字の根拠は東京都資料のP60にあった。

これも中国でパネルを製造した時のCO2排出が勘定されていないので間違いだが、とりあえず本稿ではこの数字を使うことにする。
すると、1兆トンで0.5℃なので、
0.5℃×43=21.5℃の1億分の1、というのが気温低下である。(1兆÷1万=1億)
あえて少数で書けば(桁を間違えそうになるが)、
0.000000215℃
つまり
答え 2000億円かけて、気温低下が0.000000215℃。つまり、1千万分の2度(!!!)
東京都は、きちんとこれを議会と都民に説明して、実施の可否を仰ぐべきだ。
ちなみに東京都は50億円かけて、都庁舎でプロジェクションマッピングをやるそうだ。消費電力200キロワットは再生可能エネルギーだというが、夜中に太陽光発電などありはしない。「再エネ証書」を買うつもりらしいが、これまた都民の税金だ。プロジェクションマッピングなど、民間にやらせておけばよい。なぜこんなことを都がやるのだろうか。
■
関連記事
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 今回からIPCC報告の冒頭にある「政策決定者向け要約」を
-
原子力問題のアキレス腱は、バックエンド(使用済核燃料への対応)にあると言われて久しい。実際、高レベル放射性廃棄物の最終処分地は決まっておらず、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」はトラブル続きであり、六ヶ所再処理工場もガラス固化体製造工程の不具合等によって竣工が延期に延期を重ねてきている。
-
福島第一原発事故を受けて、日本のエネルギー政策は混乱を続けている。そして、原発が争点になりそうな衆議院の解散総選挙が迫る。読者の皆さまに役立てるため、現状と主要政党のエネルギー政策を整理する。
-
世界のエネルギーの変革を起こしているシェールガス革命。その中で重要なのがアメリカのガスとオイルの生産が増加し、アメリカのエネルギー輸入が減ると予想されている点です。GEPRもその情報を伝えてきました。「エネルギー独立」は米国の政治で繰り返された目標ですが、達成の期待が高まります。
-
(上より続く) 専門家として現場からの直言を続ける 問・行政にも、エネルギー産業にも、現場の実態を直視し、利害関係なく正論を述べようとする青山さんの姿を評価する人々がいる一方で、その行動を煙たがる人がいるようです。 青山
-
本年1月11日、外電で「トランプ大統領がパリ協定復帰の可能性を示唆した」との報道が流れた。例えばBBCは”Trump says US ‘could conceivably’ rejoin Pari
-
元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 日本では「ノーベル賞」は、格別に尊い存在と見なされている。毎年、ノーベル賞発表時期になるとマスコミは予想段階から大騒ぎで、日本人が受賞ともなると、さらに大変なお祭り騒ぎになる。
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 IPCC報告を見ると、不吉な予測が多くある。 その予測は
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間















