CO2は削減すべきか? 気候モデルには科学的な裏付けがあるのか

2024年04月13日 06:35
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技術士事務所代表

Jian Fan/iStock

1.ネットゼロ/カーボンニュートラル

東京工業大学先導原子力研究所助教の澤田哲生氏が、ネットゼロ/カーボンニュートラルの意味について説明している。

ゼロカーボンはいばらの道:新たなる難題

引用すると、

ネットゼロ/カーボンニュートラル:そもそもの発祥である欧州を中心に広く流布しているのはネットゼロ(Net zero)である。Netは正味あるいは実質という意味である。ゼロカーボンはネットゼロとほぼ同意である。

カーボンニュートラルは、カーボンつまり二酸化炭素(CO2がニュートラル(neutral)つまり中立であるという意味。ここでいう中立とは、二酸化炭素の排出量と吸収量がどちらにも偏らずにバランスが取れていることを意味する。

ネットゼロ、カーボンニュートラル、ゼロカーボンも主たるターゲットは炭素つまりCO2なのだが、広義には他の温暖化ガス、例えばメタンガス(CH4)なども含む場合もある。

2.化学工学とは

筆者は、化学工学に携わってきたので、その視点から述べさせていただく。

化学工学とは、自然法則や原理を基本とし、人々のQOL(Quality of Life)向上のために、技術や工学(エンジニアリング)を駆使して有用な製品やサービスを生産、供給していくという仕事である。

そのために、原料を扱い、特有の設備やプラントを稼働させ、物理的な処理を施したり化学反応を起こさせたりして目的物や製品を生産して、市場や顧客に届けるということを行う。

原料には無機と有機物質とがあり、有機物質は水素、炭素、酸素の元素が中心となって構成されているため、化学反応の過程で水、一酸化炭素や二酸化炭素、メタン、窒素酸化物などが生成される。

現在、気候変動で問題と言われている二酸化炭素(CO2)は、有機物質を利用する上では避けては通れない物質、利用する過程で必ず生産・排出される物質である。私たちの生活の基本、「食-住-衣」を振り返ってみても、有機物質のない生活は考えられず、CO2は日々の生活、大きくは文明の発展に大きく寄与してきたともいえる。

3.そもそも、CO2は削減すべき対象なのか?

ネットゼロ、カーボンニュートラルの意味するところは、澤田先生のご指摘のごとく、CO2の排出量と吸収量を同じにして大気への正味排出量をゼロにすることである。また、CO2を回収して地下深く/深海に貯留する炭素捕獲貯留(CCS)というものがある。我が国ではそれを一歩発展させ、排出されたCO2を回収して原料とし、合成天然ガスやメタノール、尿素肥料などを生産するというカーボンリサイクルも検討されている。

現在、CO2は温暖化の第一原因だとして削減すべき対象として見られている。米国のアル・ゴア氏も共和党の公聴会で、「CO2は大気汚染物質だ」と語っていた。

そもそも論であるが、CO2はその成り立ちからして、世界が「しゃかりき」になって削減すべき対象なのであろうか?米国では、「現在の大気はCO2の飢餓状態にあり数千ppmあっても良いくらいだ」と言う先生方もいるくらいだ。

筆者は化学物質と長く付き合い、化学物質の有害性や危険性にも注意を払ってきた。CO2の危険性について思いつくのは酸素欠乏くらいである。CO2は分子量が44と空気の29より50%ほど重く、密閉空間にCO2(消火剤、ドライアイスなど)が充満した場合、部屋の下部にCO2が滞留して酸素不足になって事故を起こすことがある。

CO2を「しゃかりき」になって削減しようという姿は、「天に唾する」ことにつながるのかもしれない。

4.気候モデルのいいかげんさ

温暖化の議論は、当初AGW(Anthropogenic Global Warming:人為的地球温暖化)『仮説』の下 に進められていた。気候が、太陽活動、公転軌道や地軸の傾き、雲や水蒸気の存在、大気や海流の動き、火山活動、測定点や方法等、多くのパラメータが複雑に絡み合ったものであることを認めた上での自然や科学に対する謙虚さであったように感じる。実際は、まったく違っていたようではあるが…

そして2009年頃には Climategateが起き、データを捏造したり自分たちのナラティブにそぐわないレポートを廃棄したりしていることが報じられた。IPCCの存在意義やその背後にある意図が問題視されるようになった。結局は有耶無耶な状態で進み、パリ協定以降、世界の潮流が低炭素から脱炭素へと変わってしまった。

もうひとつ合点がいかない点は、科学的な裏付けがあるという国連やIPCCの言動である。彼らは、温暖化の第一原因はCO2だと主張している。その根拠は気候モデル、シミュレーション、その結果の解釈と適用であり、それが科学的だと断言している。

科学的プロセスか否かの判断基準は、モデル化→計算→結果の検証→やり直しという一連の試行錯誤のプロセスが正しく行われているのかということである。実測値との整合性が取れない計算結果など、絵に描いた餅で使いものにならない。

コンピューターの気候モデルによれば、過去半世紀にわたってCO2 の増加が気温上昇をもたらしたという話になっている。しかし複数の衛星と気球測定から、実際に起こったことは次のとおりだ。

これまで数十億ドル、数百億ドルが投資され、数十の気候モデルが作られた。事実上すべての気候モデルが、1979年から現在に至るまでの期間、過剰な温暖化を示している。しかし、衛星データからわかったことは、地球の大気は気候モデルがいうほど速く温暖化していないということだ。

観察事実とは違っており、計算機を走らせても暑すぎる結果を打ち出すだけのようだ。すべての気候モデルは、CO2 が温度変化を引き起こすという想定に基づいて作られているのであろうし、モデルを個別にあるいは集合的に平均したとしても、正確な結果は得られない。

5.おわりに

ビジネスチャンスだと、ほくそ笑む財界人がいるのはその通りだが、気候変動運動を支えている巨大なコンピューター モデルは妖しいものであり、それを根拠とする脱炭素、ネットゼロ、カーボンニュートラルなどの動きも、厳密な議論と検証の下、見直しが必要な時期に差し掛かっている。

最近、『Unsettled』の著者でカリフォルニア工科大学の元学長兼副学長であるクーニン教授、MITのリンゼン教授、プリンストン大のハッパー教授、2022年ノーベル物理学賞受賞者のクラウザー博士などが出演した動画が配信されている。気候科学、気候モデル、社会政治的な動きについて、日本では聞くことのあまりない発言をされている。気候変動運動の実態、今後を知るためにも絶好の教材である。

 

 

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