フロリダ州がCDPとSBTiを気候カルテルと指摘し召喚

2025年08月06日 06:45

Iván Jesús Cruz Civieta/iStock

企業のサステナビリティ部門の担当者の皆さん、日々の業務お疲れさまです。7月末に省エネ法定期報告書の届出が終わったところだと思います。息つく間もなく、今度は9月中旬の登録期限に向けてCDPのシステムへ膨大なデータ入力作業を行っているご担当者もたくさんおられるはずです。

おそらく、CDPに登録する企業であれば多くの場合SBT認証も取得済み、または取得を検討されているものと推察します。

この2つの環境イニシアチブが「気候カルテル」だとしてフロリダ州司法長官から召喚されるそうです。

Attorney General James Uthmeier Launches Investigation into Climate Cartel for Potential Consumer Protection and Antitrust Violations

(フロリダ州司法長官事務所2025年7月28日ニュースリリース)

ジェームズ・ウスマイヤー司法長官、消費者保護と独占禁止法違反の可能性について気候カルテルの調査を開始

ジェームズ・ウスマイヤー司法長官は本日、CDP(旧カーボンディスクロージャープロジェクト)と科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)が、環境の透明性を装って企業に機密データの開示とアクセス料金の支払いを強要することで、州の消費者保護法または独占禁止法に違反したかどうかを調査するための召喚状を発行したと発表した。

「過激な気候活動家はコーポレートガバナンスを乗っ取り、自由市場に対して武器化した」とジェームズ・ウスマイヤー司法長官は述べた。「フロリダ州は、国際的な圧力団体が米国企業を揺るがしてESG詐欺に資金を提供するのを黙ってはいないだろう。私たちは、気候カルテルが企業を搾取し、消費者を誤解させるのを阻止するために、法律のあらゆる手段を使用する。」

CDPは、英国のESG活動家によって「経済成長の非物質化」と「危険な気候変動の防止」を目的として設立された。世界最大の環境開示システムを運営しており、企業にデータの報告、修正、宣伝を請求する一方で、スコアを向上させ、CDP幹部から有利な見積もりを有料で提供するサービスを販売している。彼らのスコアリングシステムは、ブルームバーグ、ISS、S&Pグローバル、サンタンデールなどの投資大手が財務上の意思決定をCDPデータに依存していると伝えられている企業の資本へのアクセスと結びついている。

CDPと国連グローバル・コンパクトが共同設立したSBTiは、企業に気候目標の検証を売り込み、CDPに戻って進捗状況を報告するように指示し、利益追求フィードバックループを生み出している。

ウスマイヤー司法長官の調査では、次のような欺瞞的な取引慣行が調査される。

  • より良いスコアと公的承認を得るためにサービスを販売する。
  • 企業が有利な待遇と引き換えに支払うインセンティブを作成する。
  • 投資家や消費者が使用する環境データの客観性を偽る。

調査では、次のような潜在的な独占禁止法違反も調査される。

  • CDP、金融機関、投資サービス間の調整が違法な市場操作を構成するかどうか。
  • 参加していない企業に圧力をかけたり罰したりするCDPの取り組みが、反競争的効果をもたらすかどうか。

フロリダ州は今後も自由企業を擁護し、科学を装った不正なESGスキームから消費者を守っていく。

「利益追求フィードバックループ(profit-driven feedback loop)」。

まさに言い得て妙です!

CDPは数万社の企業から高額な登録料と膨大な環境情報を取得し、A、B、C、Dなどの評価を行います。設問の中で、SBT認証、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、RE100、Climate Action 100+、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)、JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)などの外部イニシアチブに参加しているかを問う項目があります。

まさに利益の互恵関係=フィードバックループであり、共謀、カルテルと指摘されても仕方のない構図になっています。

さて、筆者は3年半前にアゴラでこんな指摘をしていました。

カーボンプライシングは企業の内部管理に使えない

また、同ガイドラインでさらに厄介だと筆者が考えるのがこちらです。

CDP、RE100、TCFD、SBTとつながっています。様々なイニシアチブや認定制度等が推奨することで、企業側により大きな旨味を与えているのです。「企業価値向上」という漠然とした空気がつくられ、金融機関等はSDGs、ESG、スコープ3、カーボンプライシング、…と手を変え品を変え企業へ対応を要求し、企業に教えるためのコンサルビジネスが生まれます。

当時は「気候カルテル」という言葉を知らなかったので冗長に述べていますが、今ならひとことで説明ができます。

冒頭で紹介した通り、フロリダ州司法長官はCDP、SBTiを気候カルテルだと明言しました。また、リリースではCDPのスコアリングシステムがブルームバーグ、ISS、S&Pグローバル、サンタンデールなどの投資大手とも結びついていると指摘しています。まさに企業を食い物にする共謀、カルテルです。

今回のレターは召喚状です。つまり、CDP、SBTiは当局から裁判所への出頭命令を受けたということになります。司法長官のニュースリリースは7月28日ですが、7月30日時点でメディアからの取材に対しSBTiはコメントを拒否、CDPは返事がないようです。サプライヤーであれば取引停止になるはず。まじめで勤勉で誠実な日本企業がありがたがって評価や認証をお願いするような組織なのか、再考する時期にきているのではないでしょうか。

なお、気候カルテルに関しては以下もご覧ください。米国下院司法委員会から独禁法違反、結託、談合、共謀などと指弾されています。

これまでは左翼環境活動家と大手金融機関が中心でしたが、ここにCDP、SBTiも加わったと言えます。昨年6月に米下院司法委員会が「ESG投資における脱炭素化の共謀を暴く」と題するレポートを公開して以降、この1年でCA100+、GFANZ、NZBA、NZIAといった多くの組織が縮小・解散するなど気候カルテルは崩壊中です。

SDGsエコバブルの終焉

 

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