「1ミリシーベルトの神話」が風評被害を生む

2017年12月31日 17:00
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アゴラ研究所所長

きのう「福島県沖の魚介類の放射性セシウム濃度が2年連続で基準値超えゼロだった」という福島県の発表があった。これ自体はローカルニュースにしかならなかったのだが、驚いたのはYahoo!ニュースのコメント欄だ。1000以上のコメントがつき、その上位は「信用できない」というコメントで埋め尽くされ、しかも2000以上の「いいね」がついている。

最上位のコメントは「セシウムだけ調べても意味がないし、100ベクレルの基準もおかしい。原発事故前の厳しい基準で判断すべき」などと書いているが、これは誤りである。セシウムだけ調べているのは、食品中の残存量が最大で測定が容易だからで、セシウムが基準値以上検出されない魚から他の放射性物質が検出されることはありえない。

100ベクレル/kgの基準は2012年6月に民主党政権が決めたもので、当初の暫定規制値500ベクレルから5倍きびしくなった。「原発事故前の厳しい基準」というのも誤りで、事故前には食品中の放射性物質の基準は存在しなかった。こんな単純な事実誤認はマスコミではもう出てこないが、ネットでこういう匿名アカウントに多くの支持がいまだに集まる状況は考えさせられる。

100ベクレル/kgという基準値は、科学的にも法的にも根拠のない年間1ミリシーベルトの被曝量から計算した値だが、これは自然放射線の範囲である。図のように干し昆布は2000ベクレル/kgの放射性物質を含んでおり、福島県の基準を適用すると全国で販売禁止しなければならない。

民主党政権がドタバタで決めた1ミリシーベルト基準が今も風評被害を生み、福島の人々を苦しめている。政権が盤石になった安倍政権は、来年は勇気をもってこの問題に取り組んでほしい。

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