今週のアップデート — シェールガス革命の衝撃(2013年5月20日)
今週のアップデート
1)エネルギー安保を忘れていないか?=シェールガス革命の衝撃【アゴラチャンネル報告】
2)エネルギー安保を忘れていないか?=シェールガス革命の衝撃・田中伸男氏の発言要旨
GEPRを運営するアゴラ研究所は映像コンテンツ「アゴラチャンネル」を放送しています。5月17日には国際エネルギー機関(IEA)の前事務局長であった田中伸男氏を招き、池田信夫所長と「エネルギー政策、転換を今こそ–シェール革命が日本を救う?」をテーマにした対談を放送しました。
対談のポイントは、シェールガス革命の進行によって、世界のエネルギーを取り巻く環境が現在大きく動いているということでした。そして田中氏は、原発が停止して火力発電にエネルギー供給を依存する日本の現状を「供給面でのリスクが高まっている」と分析。「シェールガス革命のインパクトを考えながら、日本はエネルギー供給の多様化を検討するべきだ」と、世界を広く俯瞰(ふかん)してエネルギー問題を考えることの大切さを訴えています。
GEPRでは、メディアのエネルギー・放射能報道について、これまで紹介をしてきました。読者の皆様の関心も高く、それをまとめる記事を今後配信していきます。今回は、エネルギーフォーラム5月号に掲載された、科学ジャーナリストの中村政雄氏の解説を紹介します。
原子力規制委員会の活断層認定問題でその科学的な妥当性に疑問があること、放射能安全基準について過度に厳しい現状に適切な批判が行われていないことを指摘しています。
今週のリンク
1) 原子力規制委員会の敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合への厳重抗議の提出について(5月15日)
日本原電の敦賀原発2号機について、原子力規制委員会の有識者委員会は5月15日に地下に活断層があると認定しました。これに対して日本原電は違うという反論を出しました。
原子力規制委員会ホームページ。活断層の決定に至る議事録が公開されています。原電側の主張を退けたものになっています。ここに事業者との対話はありません。
どちらが妥当か評価は不明ながら、活断層への過剰規制はおかしいという点について、GEPRは識者の見解を紹介してきました。(「原子力規制委員会は「活断層」判断の再考を」)
国際エネルギー機関(IEA)のリポート。2011年公開。今回取り上げた田中伸男氏の放送で紹介されました。今のシェールガス革命の変化を先駆的に取り上げ、世界に影響を与えました。原題は「Are we entering a golden age of gas? :World Energy Outlook 2011 – special report」
日本経済新聞5月19日記事。(電子版では会員限定)米国が「シェールガス」の増産で価格が低下している液化天然ガス(LNG)の対日輸出を解禁しました。これまでエネルギー輸出は制限されてきました。ただし輸出開始は17年になります。
5)(安倍政治を問う 2013参院選:下)原発回帰、前のめり
朝日新聞5月19日記事(電子版では会員限定)。原発再稼動をめぐり、参院選後をにらんで、電力関係者、行政OBが停止の状況を変えようと動いていることを、批判的に伝えています。

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現在の日本のエネルギー政策では、エネルギー基本計画(2014年4月)により「原発依存度は、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」こととなり、電力事業者は今後、原発の新増設が難しくなりました。原発の再稼動反対と廃止を訴える人も増えました。このままでは2030年以降にベースロード電源の設備容量が僅少になり、電力の供給が不安定になることが懸念されます。
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まえがき エネルギーは食料と同じで、我々の生活に必須である。日本のエネルギー自給率は今10%にも届かないので、需要の90%以上を海外から買っている。一方食料の自給率は40%程度だが、やはり残り60%を海外に依存している。
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