CO2データ非開示の「脱炭素ナイター」=グリーンウォッシュナイターです

MasaoTaira/iStock
筆者は先日の記事「セ・リーグが「脱炭素ナイター」開催=グリーンウォッシュナイターです」の中で以下の指摘をしました。
炭素クレジット・カーボンオフセットはすべてグリーンウォッシュです。大気中のCO2を1グラムも減らさないため「実質」などと言って誤魔化す必要があります。
(中略)
プロ野球のナイトゲームであればその瞬間に発電された電気(主に火力発電)を使用しています。それでもナイターを脱炭素と称するのであれば、過去に遡って当該太陽光発電所、またはその電気を利用したはずの家庭や工場において、オフセット分と同量のCO2排出量を計上しなければなりません。
この続報を目にしたのですが、仰天しました。
「脱炭素ナイター」始めたセ・リーグとJERA…次の目標はCO2「見える化」
今回の取り組みは、まず球場で消費する電力から排出される二酸化炭素を実質的にゼロにしようというものだ。排出量を削減する方法は、太陽光などの再生可能エネルギーで作った電力を直接、消費する方法と、火力発電などから作られる電力を消費しながら、別の地域で再生可能エネルギーから産出した電力の「環境価値」を証書として買い取り、実質的に削減したとみなす方法がある。
(中略)
プロジェクトで掲げる「脱炭素ナイター」は、太陽光が発電しない時間帯に通常の系統電力を利用しているが、証書購入によって「再生エネ」とすることができる仕組みだ。
(中略)
JERAは今シーズン、各球場の排出量を開示しないと説明している。ドーム球場や屋外球場など形式によって排出量が大きく異なり、削減の困難さにも差があるためだ。だが、JERAは、セ・リーグとの協賛を続けることが社会変革につながることを掲げており、今後のロードマップとして、排出量の開示、さらには削減計画の策定まで視野に入れている。
各球場のCO2排出量を開示しない???
これではグリーンウォッシュにウォッシュを重ねてしまいませんかJERAさん。。
■
去る3月31日、環境省が13年ぶりの改定となる「環境表示ガイドライン【令和8年3月版】」を公開しました。環境表示ガイドラインの最大の目的はグリーンウォッシュの防止です。
出所:「環境表示ガイドライン」の改定について | 報道発表資料 | 環境省
ガイドラインの柱となる【5つの基本項目】はこちら。
①あいまいな表現や環境主張は行わないこと
②環境主張の内容に説明文を付けること
③製品のライフサイクル全体を考慮すること
④環境主張の検証に必要なデータ及び評価方法が提供可能で、情報にアクセスが可能であること
⑤製品または工程における比較主張はLCA評価、数値等により適切になされていること
また、本文中の解説を抜粋します。
②カーボン・オフセットに関する主張
(中略)
1. カーボン・オフセットの対象となる活動に伴う排出量を一定の精度で算定する必要があること
2. カーボン・オフセットが、自ら排出削減を行わないことの正当化に利用されるべきではないこと
(中略)
5. カーボン・オフセットの取組について適切な情報提供を行う必要があること
②環境主張の内容に説明文を付けること
(中略)
a) 正確で、誤解を与えないものでなければならない。
(中略)
g) 誤解を生じるおそれがあってはならない。
(中略)
k) 表現上は真実である主張であっても、関係する事実を省略することによって、購入者が誤解するか又は誤解しやすいものであれば、これを行ってはならない。
そもそもカーボン・オフセットで「脱炭素ナイター」と称することがグリーンウォッシュでありプロ野球ファンに誤解を与える可能性があります。加えてCO2排出量データを開示しないのであれば「環境表示ガイドライン」にも反します。罰則のないガイドラインは順守しなくてもよいのでしょうか。
なお、JERAグループコンプライアンス行動基準では以下のとおり宣言されています。
私たちは、グローバルにビジネスを展開する一員としての使命を自覚し、国内外の法令の遵守を徹底するとともに、グローバル企業にふさわしい崇高な倫理観のもとで誠実に行動します。
(中略)
国内外の法令・国際ルール・社会規範・社内規則を遵守して行動し、個人の利益を図る目的ではなく会社のためであったとしても違法行為・規則違反は許しません。
(中略)
社会から信頼されるグローバル企業を目指して、お取引先、各国・各地域の社会の皆様など全てのステークホルダーに対する的確かつ迅速な企業情報の開示や双方向コミュニケーションを積極的に行い、経営の透明性を確保します。
JERAさん、「脱炭素ナイター」が自ら定めた行動基準に準拠しているのか、虚心坦懐に見直されてはいかがでしょうか。
■
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