今週のアップデート — 核燃料サイクル、今見直しの時(2013年9月2日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
1)【解説】核燃料サイクル政策の現状 — 全量再処理方策の再検討が始まる
原発は「トイレなきマンション」か — 核廃棄物を考える【言論アリーナ】
原子力発電の中で政策が動かず、また議論がまとまらないのは、核燃料サイクルと核廃棄物の問題です。アゴラ研究所の運営するインターネット放送「言論アリーナ」で取り上げました。解説を読み、言論アリーナの記事を読まれることを勧めます。
「言論アリーナ」出演は原子力委員会の委員長代理である鈴木達治郎氏、元経産官僚で政策家の石川和男氏、モデレーターはアゴラ研究所の池田信夫所長でした。
また福島原発事故の汚染水問題の最新情報も提供しています。
2)「ドイツのエネルギー体制はすばらしい」のか? — 再エネ振興、問題点の再整理
提携する国際環境経済研究所(IEEI)の竹内純子さんの論考。ドイツの現状についてとても分かりやすく整理されています。原子力の安全神話に代わる、「再エネ神話」、「ドイツ神話」を作り上げることを懸念しています。
今週のリンク
1)福島第一原発事故の「真犯人」は霞が関にいた–東電に責任を押しつける無責任体制は解体すべきだ
アゴラ研究所所長、池田信夫氏のJBPRESSのコラム。8月29日記事。池田氏が東電処理スキームの成立までの状況を整理しています。経産省の松永和夫事務次官が保安院院長の時につくった規制で、津波対策を行わなかったことが福島原発事故の一因になりました。その人が処理スキームの作成に関与。官僚機構のモラルについて疑問を投げかけています。
2)ドイツ・再生可能エネルギー法の失敗と、日本が模索すべき最良の道
現代ビジネス8月2日記事。竹内純子さんのコラムに引用。ドイツ在住の作家、川口マーンさんによる、ドイツの再生可能エネルギーをめぐる政策の失敗についての解説です。
広島赤十字・原爆病院小児科資料。福島原発事故の影響で甲状腺がんの診断が増えています。懸念する人がいますが、これは調査を詳細にしたためで、他の調査と比べて特異に大きなものではありません。そのことが示されています。もちろん引き続き、調査が必要です。
原子力規制委員会資料。福島第一原発の汚染水問題について、8月27日時点での東電の説明、政府対策です。
5)政府:福島第一原発の汚染水問題、あす(3日)にも対策方針発表
米経済通信社ブルームバーグ9月2日記事。汚染水問題で、東電ではなく政府が全面に出て対応をする方向です。

関連記事
-
田中 雄三 国際エネルギー機関(IEA)が公表した、世界のCO2排出量を実質ゼロとするIEAロードマップ(以下IEA-NZEと略)は高い関心を集めています。しかし、必要なのは世界のロードマップではなく、日本のロードマップ
-
アゴラ研究所の運営するエネルギー研究機関GEPRはサイトを更新しました。
-
エネルギー基本計画の主要な目的はエネルギーの安定供給のはずだが、3.11以降は脱炭素化が最優先の目的になったようだ。第7次エネ基の事務局資料にもそういうバイアスがあるので、脱炭素化の費用対効果を明確にしておこう。 「20
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 地球温暖化が起きると、海水が熱膨張し、また氷河や南極・グ
-
連日、「化石燃料はもうお仕舞いだ、脱炭素だ、これからは太陽光発電と風力発電だ」、という報道に晒されていて、洗脳されかかっている人も多いかもしれない。 けれども実態は全く違う。 NGOであるREN21の報告書に分かり易い図
-
このごろ世の中は「脱炭素」や「カーボンニュートラル」でにぎわい、再生可能エネルギーとか水素とかアンモニアとか、いろんな話が毎日のようにマスコミに出ています。それを後押ししているのがESG投資ですが、その意味がわからない人
-
日本の原子力規制委員会(NRA)は、アメリカの原子力規制委員会(NRC)と同じ名前を使っています。残念ながら、その中身は大きく違います。
-
1997年に開催された国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)で採択された京都議定書は、我が国の誇る古都の名前を冠していることもあり、強い思い入れを持っている方もいるだろう。先進国に拘束力ある排出削減義務を負わせた仕組みは、温暖化対策の第一歩としては非常に大きな意義があったと言える。しかし、採択から15年が経って世界経済の牽引役は先進国から新興国に代わり、国際政治の構造も様変わりした。今後世界全体での温室効果ガス排出削減はどのような枠組を志向していくべきなのか。京都議定書第1約束期間を振り返りつつ、今後の展望を考える。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間