今週のアップデート - 福島事故、「その後」の拡大を止めよ(2014年11月4日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
1) 福島でのリスクコミュニケーションの重要性・上=放射能より恐怖が脅威
2) 福島でのリスクコミュニケーションの重要性・下=情報流通での科学者の責務
福島を訪問した、英国人の医師、医学者のジェラルディン・アン・トーマス博士に、福島の問題を寄稿いただきました。福島の問題は、放射能よりも恐怖が健康への脅威になっていること。そして情報流通で科学者の分析が知られず、また行政とのコミュニケーションが適切に行われていないなどの問題があると指摘しています。
3) 福島事故の悪影響はなぜ続くのか-情報汚染による混乱是正を
日本の技術者の投稿です。トーマス博士の医学的な分析に加えて、除染や避難基準などにも言及しています。健康被害の可能性はない事故であったにもかかわらず、初動でおかしな基準をつくったこと、政府が萎縮して広報しなかったことが問題だったと振り返ります。今からでも、政策を見直すべきと指摘しています。
4)映像【ダイジェスト】災害のリスク 東日本大震災に何を学ぶか
14年9月27日開催のアゴラシンポジウム。全編4時間を40分に縮小したものです。見やすいので、ぜひ参考にしてください。
5)映像 Is Fukushima Dangerous? — Distorted images of Japan(福島は危険か? おとしめられる日本の印象)
ジャーナリスト、作家、DJなど多彩な活動をするモーリー・ロバートソンさんと、アゴラ研究所の池田信夫所長が福島の現状について、海外でどのように受け止められているかをまとめました。(大半が英語)
今週のリンク
アン・トーマス博士が2013年、首相の諮問機関である原子力災害専門家グループに寄せた文章です。チェルノブイリとの比較の中で、福島のリスクの少なさを指摘しています。
池田信夫アゴラ研究所所長、ニューズウィーク日本版サイト記事。太陽光発電の見直しについて、この混乱と負担の始まりを振り返っています。政治の手抜きと、利益を得ようとする外資や孫正義さんの蠢動。結局、日本のためにはならなかった制度のように思えます。
経産省。同省に置かれた総合エネルギー調査会の新エネルギー小委員会は、系統ワーキンググループで、電力会社による再エネの接続の一時保留問題を検討しています。揚水発電の利用、接続ルール上で決められる30日の設置設備の保留拒否などを使って、再エネの接続を拡大ししようという案が浮上。しかし制度の抜本的見直しが進むかは現時点で不透明です。
西日本新聞10月30日記事。九州電力が玄海原発の1号炉の廃炉を検討という情報です。まもなく稼働40年になる原発の修繕を断念するとのことです。福島原発事故で老朽化原発が事故を起こしました。原子力規制委員会は40年廃炉ルールを設けています。今後、旧型炉の廃炉が全国の原発に広がる可能性があります。
5)理想どおりにはいかなかったサハラ砂漠の再生可能エネルギー計画
JBpress10月29日記事。ドイツ在住の作家川口マーン恵美さんのコラム。サハラ砂漠でドイツ企業が中心になって太陽光発電でEUに電力を供給するというプロジェクトが進行していました。しかし、計画だけでうまく進んでいないようでした。これは、現地への電力供給事業に縮小する見込みです。
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全国の高校生が福島の復興やエネルギー問題を考える「ハイスクール世界サミットin福島」が、8月8日までの3日間、福島県いわき市で開かれた。原子力や再生可能エネルギーの活用、復興を阻む風評被害への対策といった難しいテーマに対し、未来を担う世代が見識を深め、今後も継続して考えていくきっかけとなったようだ。
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1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原子力発電所原子炉の事故は、原子力発電産業においてこれまで起きた中でもっとも深刻な事故であった。原子炉は事故により破壊され、大気中に相当量の放射性物質が放出された。事故によって数週間のうちに、30名の作業員が死亡し、100人以上が放射線傷害による被害を受けた。事故を受けて当時のソ連政府は、1986年に原子炉近辺地域に住むおよそ11万5000人を、1986年以降にはベラルーシ、ロシア連邦、ウクライナの国民およそ22万人を避難させ、その後に移住させた。この事故は、人々の生活に深刻な社会的心理的混乱を与え、当該地域全体に非常に大きな経済的損失を与えた事故であった。上にあげた3カ国の広い範囲が放射性物質により汚染され、チェルノブイリから放出された放射性核種は北半球全ての国で観測された。
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筆者は1960年代後半に大学院(機械工学専攻)を卒業し、重工業メーカーで約30年間にわたり原子力発電所の設計、開発、保守に携わってきた。2004年に第一線を退いてから原子力技術者OBの団体であるエネルギー問題に発言する会(通称:エネルギー会)に入会し、次世代層への技術伝承・人材育成、政策提言、マスコミ報道へ意見、雑誌などへ投稿、シンポジウムの開催など行なってきた。
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GEPRを運営するアゴラ研究所は「ニコ生アゴラ」という番組をウェブテレビの「ニコニコ生放送」で月に1回提供している。4月10日の放送は「汚染がれきを受け入れろ!?放射能に怯える政治とメディア」だった。村井嘉浩宮城県知事(映像出演)、片山さつき自民党参議院議員、澤昭裕国際環境経済研究所長、高妻孝光茨城大学教授が出演し、司会はアゴラ研究所の池田信夫所長が務めた。
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