今週のアップデート - 原油価格下落とアベノミクスの矛盾(2014年12月29日)

2014年12月29日 16:00

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。

今週のアップデート

1) 原油安は日本経済復活のチャンス

アゴラ研究所、池田信夫所長の論考です。原油安が、悪化した交易条件、貿易収支、コスト増に、一服させる効果があると指摘。インフレを金融緩和で誘発しようとする「アベノミクス」の危険を指摘し、この好機の利用を訴えています。

2) 原油価格の急落、なぜ? これからは?

オイルアナリストの藤沢治さんに寄稿いただきました。オイル業界で50年活躍し、日本の原油業界でその分析が常に注目される方です。原油の緩やかな価格上昇などの見通しを示しています。

3)原油価格急落、アベノミクスはどうなる【言論アリーナリポート】
4)映像「原油価格急落、アベノミクスはどうなる?-プロが分析する2015年のエネルギー」

12月25日に、オイルアナリストの藤沢治さん、常葉大学教授の山本隆三さんを招き、原油価格の先行きと影響を分析する放送を行いました。その報告です。急落の原油を専門家はどのように見ているのでしょうか。

今週のリンク

1)原子力に関する中間整理

経産省・資源エネルギー庁、総合資源エネルギー調査会原子力小委員会。12月25日公開。原子力の問題を分析していますが、そこで重要性は強調するものの、依存度を低減という姿勢を打ち出しました。相変わらず、主張の明確性を欠いた文章です。

2)「長期エネルギー需給見通し小委員会」を設置します

経産省・資源エネルギー庁、12月26日広報文。政府は原発の利用の状況を含めたエネルギーの需給計画の検討をすることを表明。ただし2015年には温室効果ガスの規制枠組みが、国連の交渉で決まります。急いでとりまとめを行う必要があります。しかし、これまでなかなか先に進みませんでした。この議論がどうなるかは不透明です。

3)がたがたのプーチン

ニューヨークタイムズ、12月15日コラム。経済学者のポール・クルーグマン氏のコラムの日本語訳。サイト「経済学101」から。ロシアの現政権が資源国なのに、貿易・金融の制裁を受ける政治的失敗を行ったことを指摘しています。(英文「Putin on the Fritz」

4)「何で俺が来たと思っているのだ」原発作業員に向けた激高−菅直人氏

産経新聞12月28日記事。25日に、政府事故調が、追加で聞き取り調査を公表。吉田調書を読み直す作業を産経が行っていますが、その中で原発事故対応の民主党政権、また当時の菅直人首相の混乱ぶりを改めて伝えています。作業員を前に、菅直人氏は怒鳴っていたと、池田元久経産副大臣(当時)の証言です。

5)津波対策「関わるとクビ」 10年 保安院内部で圧力

東京新聞12月26日記事。政府事故調の聞き取り調査で、当時の原子力安全・保安院で上記のような発言をする幹部がいたとの報告。これは事実としたら事故の遠因になったでしょうし、その組織の行政官が原子力規制庁に移ったことは大変な問題です。

 

This page as PDF

関連記事

  • 映画好きのAさんは最近、自宅に大画面テレビとホームシアターの設備を備えつけた。「大型テレビは電気の消費が増えるからエコじゃないね」と友人に揶揄されたAさん、「我が家の大画面テレビの電気は、北海道の稚内にある風力発電所から届いたものなんだよ」と得意気だ。
  • 石油輸出国機構(OPEC)が6月5日に開催した総会では、市場の予想通り、生産目標が日量3000万バレルで据え置かれた。これにより、サウジなど生産調整による原油価格の下支えを放棄する「減産否定派」の声が今回も通ったことになる。
  • 石炭火力発電の建設計画が次々に浮上している。電力自由化をにらみ、経済性にすぐれるこの発電に注目が集まる。一方で、大気汚染や温室効果ガスの排出という問題があり、環境省は抑制を目指す。政府の政策が整合的ではない。このままでは「建設バブルの発生と破裂」という、よくあるトラブルが発生しかねない。政策の明確化と事業者側の慎重な行動が必要になっている。
  • 自民党河野太郎衆議院議員は、エネルギー・環境政策に大変精通されておられ、党内の会議のみならずメディアを通じても積極的にご意見を発信されている。自民党内でのエネルギー・環境政策の強力な論客であり、私自身もいつも啓発されることが多い。個人的にもいくつかの機会で討論させていただいたり、意見交換させていただいたりしており、そのたびに知的刺激や新しい見方に触れさせていただき感謝している。
  • 東電は叩かれてきた。昨年の福島第一原発事故以降、東電は「悪の権化」であるかのように叩かれてきた。旧来のメディアはもちろん、ネット上や地域地域の現場でも、叩かれてきた。
  • 青山繁晴氏は安全保障問題の専門家であり、日本の自立と覚醒を訴える現実に根ざした評論活動で知られていた。本人によれば「人生を一度壊す選択」をして今夏の参議院選挙に自民党から出馬、当選した。  政治家への転身の理由は「やらね
  • どの分野であれ投資案件には常にリスクがつきまとう。特に本年4月から自由化された電力市場における新たな発電案件には様々な不確実性がつきまとい、その投資判断は極めて難しい。自由化された電力市場における最大の課題は、高い不確実性の中でともすれば不足しがちな投資をいかに確保するかという問題である。
  • 関西電力をめぐる事件の最大の謎は、問題の森山栄治元助役に関電の経営陣が頭が上がらなかったのはなぜかということだ。彼が高浜町役場を定年退職したのは1987年。それから30年たっても、金品を拒否できないというのは異常である。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑