今週のアップデート - 復興進む福島(2015年9月24日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。今週は福島の復興問題を取り上げています。
今週のアップデート
1) 帰還される方々に知っていただきたい5つのこと【復興進む福島1】
医師の越智小枝さん(相馬中央病院)に寄稿いただきました。越智さんは、東京電力福島第1原発事故によってさまざまな影響を受けた福島の現状について、冷静かつ専門家の視点で、分析、発信を続けています。今回は、帰還をテーマにした論考です。これは、浜通りだけではなく、事故と放射線防護をめぐる市民生活で役立つ意見でしょう。
2) 「子どもの声が聞きたい」楢葉町、帰還と課題【復興進む福島2】
原発事故で避難指示の出ていた福島県楢葉町の避難指示が9月解除されました。その現状をGEPR編集者の石井孝明がリポートしました。復興を前向きに誰もが考えていますが、問題もあります。また以下の福島の記事2から5まではエネルギーフォーラム社に展開を許諾いただきました。関係者に感謝を申し上げます。
楢葉町長の松本幸英さんに話を聞きました。新しい一歩を積極的に受け止めています。
楢葉町議会議長の青木基(もとい)さんに話を聞きました。つながりがこわれたショック、その再建の難しさを語っています。
楢葉町商工会会長の渡辺清さんに話をききました。経済再建は厳しい状況。除染関係の発注から自律的な復興が必要と話します。
今週のリンク
1)福島原発事故「4年半」の現実(下)「除染ゴールド・ラッシュ」の果てに
フォーサイト9月18日記事。無駄な除染が問題を引き起こしている面があります。ただ、否定的な情報の多いこの記事は一面の描写にしかすぎないでしょう。
ニューヨーク・タイムス9月21日記事。原題はWhen Radiation Isn’t the Real Risk。米国のがん専門医やIAEAのリポートから、科学コラムニストのジョージ・ジョンソン氏がまとめています。放射線のリスクはないのに、過剰避難でストレスなど健康の問題が出たという繰り返された指摘です。
モハン・ドス。米フィラデルフィアのがん専門医で、フォックス・チェイスがんセンター准教授の東京で今年3月に行った講演のパワーポイント(英語)。上記NYタイムスの報告と同様の主張が書いてあります。
福島民報9月22日記事。福島浜通り地区にあった348の民俗芸能団体のうち122と連絡がとれないとのことです。原発事故でこうした人々のつながりが壊れてしまった事実があります。
中央日報(韓国)9月22日記事。日本では安全保障法制の論議が盛んです。しかし冷静に安全保障の議論がされていません。北朝鮮では核兵器の配備を最近、対外的に強調。脅威は以前、継続しています。

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著名なエネルギーアナリストで、電力システム改革専門委員会の委員である伊藤敏憲氏の論考です。電力自由化をめぐる議論が広がっています。その中で、ほとんど語られていないのが、電力会社に対する金融のかかわりです。これまで国の保証の下で金融の支援がうながされ、原子力、電力の設備建設が行われてきました。ところが、その優遇措置の行方が電力自由化の議論で、曖昧になっています。
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