今週のアップデート — 福島の除染、原発汚染水問題の解決を目指して(2013年10月15日)

2013年10月15日 11:30

アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクであるGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)は、サイトを更新しました

今週のアップデート

1) 原発事故、避難者の帰還実現のために — 1mSv基準見直しをするには?

福島ではなお14万人の方が避難生活を送り、災害関連死も1539人と他の東日本大震災の被災県と比べて多くなっています。これは1mSv除染を帰還の条件としたことが、悪しき影響を与えています。原子力の立地・環境問題にかつてかかわった河田東海夫さんに寄稿をいただきました。「呪縛」とも言える、この政策を住民参加で変えていこうという提言です。

2)福島原発の汚染水、健康に影響なし — 心配なのは国民負担

アゴラ研究所のフェローで、ジャーナリストの石井孝明の論考です。注目を集める汚染水問題について現状を説明しています。海洋汚染による日本に住む人の健康に影響は出ない問題と、統計から指摘。そしてコストと効果を冷静に見極める必要があると主張しています。

3)エネルギー政策の混迷をもたらしている地球温暖化対策(中)— 石炭、再エネは決め手ではない

提携する国際環境経済研究所(IEEI)の論考を転載しました。温暖化対策として、再エネ、そして石炭の意味を転載しています。

今週のリンク

1) 汚染水って何?

アゴラ研究所の池田信夫所長のコラムです。福島原発の汚染水問題を他のリスクとの比較で解説しています。例えば、水銀、それが蓄積されたマグロなどの危険です。もちろん、この問題への注視は必要であるものの、その危険を過度に騒ぐ必要はないでしょう。

2)「社会心理リハビリセンター」原子力委員会メールマガジン

1986年にチェルノブイリ原発事故が起こったウクライナでは、心理的被害を受けた子供たちを中心に、地域の方々に放射線に対する正確な知識を伝え、心理的なストレスを軽減することを目的にした「社会心理リハビリセンター」が活動しています。それを福島でつくろうという動きを秋庭悦子委員が紹介しています。

3)「原子力大綱」廃止へ 有識者会議が了承

これまで内閣府に置かれた原子力委員会は、国の原子力をめぐる計画と利用を担ってきました。これまで「原子力政策大綱」を5年ごとに、発表してきました。しかし、それを見直し、他の計画と一元化しようという考えが出ています。同委員会については存続も含めて今、国による検討が行われています。朝日新聞10月10日記事。

4)世界最大出力の原子力発電機完成、単体で1750MW 広東省台山原発に設置―中国

中国のニュースサイト新華経済の記事。このほど、世界最大級の原子炉が、中国広東省台山原発 で完成しました。フランスの技術を導入しています。経済成長によるエネルギー不足と大気汚染に悩む中国は原子力、そして再生可能エネルギーの導入を加速しています。

5)原子力防災訓練始まる 初の実践型に3300人参加 九州・川内原発

これまで「安全神話」に隠れ、原子力事故の対策でいいかげんな面が、日本の政府、自治体、そして電力会社にありました。それが今に続く福島原発事故後の混乱を生んでいます。今回、大規模な過酷事故の対策を、国主導で行いました。こうした備えが、原子力への信頼を回復させます。産経新聞10月11日記事。

 

This page as PDF

関連記事

  • 都知事選では、原発を争点にすべきではないとの批判がある。まさにそうだ。都知事がエネルギー政策全体に責任を持てないし、立地自治体の首長でもないから、電力会社との安全協定上の意見も言えない。東電の株主だと言っても、原発は他の電力会社もやっている。
  • 福島第一原発事故による放射線被害はなく、被災者は帰宅を始めている。史上最大級の地震に直撃された事故が大惨事にならなかったのは幸いだが、この結果を喜んでいない人々がいる。事故の直後に「何万人も死ぬ」とか「3000万人が避難しろ」などと騒いだマスコミだ。
  • 元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 「地球温暖化が想定を上回るスピードで進んでいる。」と言った前振りが、何の断りもなく書かれることが多くなった。筆者などの感覚では、一体何を見てそんなことが言えるのだろうと不思議に
  • 以前、中国製メガソーラーは製造時に発生したCO2の回収に10年かかると書いた。製造時に発生するCO2を、メガソーラーの発電によるCO2削減で相殺するのに、10年かかるという意味だ(なおこれは2030年のCO2原単位を想定
  • 停電の原因になった火災現場と東電の点検(同社ホームページより) ケーブル火災の概要 東京電力の管内で10月12日の午後3時ごろ停電が発生した。東京都の豊島区、練馬区を中心に約58万6000戸が停電。また停電は、中央官庁の
  • このごろ世の中は「脱炭素」や「カーボンニュートラル」でにぎわい、再生可能エネルギーとか水素とかアンモニアとか、いろんな話が毎日のようにマスコミに出ています。それを後押ししているのがESG投資ですが、その意味がわからない人
  • 原子力発電所事故で放出された放射性物質で汚染された食品について不安を感じている方が多いと思います。「発がん物質はどんなにわずかでも許容できない」という主張もあり、子どものためにどこまで注意すればいいのかと途方に暮れているお母さん方も多いことでしょう。特に飲食による「内部被ばく」をことさら強調する主張があるために、飲食と健康リスクについて、このコラムで説明します。
  • アメリカ人は暑いのがお好きなようだ。 元NASAの研究者ロイ・スペンサーが面白いグラフを作ったので紹介しよう。 青い曲線は米国本土48州の面積加重平均での気温、オレンジの曲線は48州の人口加重平均の気温。面積平均気温は過

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑