英国与党の国会議員団、エネルギー価格の高騰と脱炭素を批判

2022年01月07日 07:00
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

da-kuk/iStock

エネルギー危機が世界を襲い、諸国の庶民が生活の危機に瀕している。無謀な脱炭素政策に邁進し、エネルギー安定供給をないがしろにした報いだ。

この年初に、英国の国会議員20名が連名で、大衆紙「サンデー・テレグラフ」に提出した意見を紹介しよう。

日本もこれに倣って、国会議員の連名で声明を出してほしいものだ。

2022年、英国はインフレに直面し、それに伴って有権者の生活費が圧迫されることが明らかになっている。

この問題を、「あらゆる国の経済が直面している国際的なコスト圧力のせいだ」と片付けるのは簡単なやり方だ。だが英国は、環境のためと称する税金や賦課金によって、他の国よりもエネルギー価格をいっそう上昇させてしまった。エネルギー価格の高騰は、国内の暖房や輸送のコスト上昇という形で、最も賃金の低い人々にとって、特に痛手になっている。

これ以上エネルギー価格が上がると、多くの人々は生活の危機に直面する。そして貧しくて暖房のための燃料費すら払えないという「エネルギー貧困」と呼ばれる状態に追い込まれる。

私たちは、ボリス・ジョンソン首相に、エネルギーの価格上昇を少しでも抑えることを訴える。

まずは、国内のエネルギーに課されている5%の付加価値税を撤廃すべきだ。

また、企業のエネルギー消費への「気候変動税」は、英国企業の競争力を低下させている。これは事実上、すべての消費者の負担を増加させている。

政府は、消費者や企業に課税しておいて、それを原資に補助金として消費者や市場に還元しているが、これには意味がない。

エネルギー危機が拡大する中で、エネルギー企業がそのような要求をするのも無理はない。しかしそれでは、課税と補助の無駄だらけの循環に陥ってしまう。

英国政府の「ネットゼロ戦略」の実現の道筋においても、なお、天然ガスと石油は、今後数十年において我々のエネルギー利用の中で重要な役割を果たすことになる。

だが現在、国際市場では、天然ガスの需要が高く、他方で供給が限られているために、エネルギーの卸売価格は歴史的な高値になっている。

エネルギー需要を他国、特に(ロシアのような)敵対的な国に依存することのリスクは、今さら指摘するまでもない。

いま英国が直面しているエネルギー危機は、エネルギー安全保障に対する新しいアプローチの必要性を示唆している。

必要なことは、北海油田・ガス田の探査を拡大すること、そして、(米国では活用されているが英国では水質汚染などの環境問題を理由に事実上禁止されている)シェールガスの採掘を支援することだ。

米国の消費者が支払うガス代が、英国の10分の1で済むのは偶然ではない。

天然ガスを(ロシアから)輸入することで、エネルギー安全保障を脆弱にして、天然ガス価格変動のリスクを徒らに高め、また英国の国際収支に悪影響を与えて、しかも雇用を英国から海外に移転することは、どのような環境問題に配慮するにしても、まったく意味がないことだ。

クレイグ・マッケンレイ議員 (保守党)
エスター・マクベイ議員 (保守党)
ロバート・ハルフォン議員 (保守党)
スティーブ・ベイカー議員 (保守党)
ジュリアン・ナイト議員 (保守党)
アン・マリー・モリス議員 (保守党)
アンドリュー・ブリッゲン議員 (保守党)
デビッド・ジョーンズ議員 (保守党)
スコット・ベントン議員 (保守党)
ダミアン・ムーア議員 (保守党)
マーク・ジェンキンソン議員 (保守党)
アンドリュー・ルーア議員 (保守党)
カール・マッカートニー議員 (保守党)
マーカス・ファイシュ議員 (保守党)
リー・アンダーソン議員 (保守党)
フィリップ・デイヴィス議員 (保守党)
グレッグ・スミス議員 (保守党)
オファのリリー卿
アダム・ホロウェイ議員 (保守党)
クレイグ・トレーシー議員 (保守党)

クリックするとリンクに飛びます。

「脱炭素」は嘘だらけ

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 私は東京23区の西側、稲城市という所に住んでいる。この土地は震災前から現在に到るまで空間線量率に目立った変化は無いので、現在の科学的知見に照らし合わせる限りにおいて、この土地での育児において福島原発事故に由来するリスクは、子供たちを取り巻く様々なリスクの中ではごく小さなものと私は考えている。
  • エネルギーは、国、都市、そして私たちの生活と社会の形を決めていく重要な要素です。さらに国の安全保障にも関わります。日本の皆さんは第二次世界大戦のきっかけが、アメリカと連合国による石油の禁輸がきっかけであったことを思い出すでしょう。
  • 外部電源喪失 チェルノブイリ原子力発電所はロシアのウクライナ侵攻で早々にロシア軍に制圧されたが、3月9日、当地の電力会社ウクルエネルゴは同発電所が停電していると発表した。 いわゆる外部電源喪失といって、これは重大な事故に
  • 漢気(おとこぎ)か? 最期っ屁か? 一連の報道を見て思う。フジテレビの経営首脳陣は、本当に「真の髄から腐っている」と言わざるを得ない。 顔ぶれを見れば、ほとんどが高齢の男性ばかり。ダイバーシティの欠片もなく、女性は不在。
  • Trusted Flaggersとは何か? EUでは、「安全で予測可能で信頼できるオンライン環境」を確保するために、加盟国各国がTrusted Flaggersを導入しなければならないと定めた法律が、すでに2024年2月
  • 有馬純 東京大学公共政策大学院教授 今回のCOP25でも化石賞が日本の紙面をにぎわした。その一例が12月12日の共同通信の記事である。 【マドリード=共同】世界の環境団体でつくる「気候行動ネットワーク」は11日、地球温暖
  • 杉山大志氏の2023年2月4日付アゴラ記事で、電力会社別の原子力比率と電気料金の相関が出ていました。原子力比率の高い九州電力、関西電力の電気料金が相対的に抑えられているとのことです。 この記事を読みながら、その一週間前に
  • 1.広域での“最大”と局所的な“最大”とは違う 2012年8月(第一次報告)及び2013年8月(第二次報告)に公表された国の南海トラフ巨大地震の被害想定や、それを受けて行われた各県での被害想定においては、東日本大震災の経験を踏まえ、広域対応を含めた巨大地震に対する対策を検討するために、「発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波を想定する」という考え方に基づき、「最大クラス」の被害をもたらす巨大地震の被害想定がなされている。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑