今週のアップデート - 福島モミの木の異変を考える(2015年8月31日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
放射線医学総合研究所は、東京電力福島第一原子力発電所近くの放射線量が比較的高い地域に生えているモミの木を調べたところ、幹の先端が欠けるなどの異常が通常より高い割合で現れていたと発表しました。その調査を紹介し、意味を考えます。
川内原発が再稼動しましたが、原子力規制の強化で、対策は機材をつけるだけ。安全性を高めていると、専門家は分析しています。「想定外」について考えました。いずれもGEPR編集者のジャーナリスト石井孝明の寄稿です。
米国が8月にクリーンパワープランを発表しました。シェール革命を背景にして、発電の石炭から天然ガスへの転換をうながしています。
今週のリンク
放射線医学総合研究所、8月28日公表。東電福島原発の影響が、高放射線量の場所でモミの木を調査したところ異常が見つかりました。生物への影響が出たという科学的調査は初めてです。上記記事化しています。
朝日新聞8月29日記事。核燃料サイクル問題で、六ケ所村の日本原燃の施設の負担と責任をどうするという問題が出ていました。電力自由化で現行制度は変えなければいけなくなるためです。経産省は国の関与を拡大することを検討しています。
3)再生エネルギー「神話」の崩壊! 脱原発で頭を抱えるドイツの現状
評論家の川口マーン恵美さんの記事。現代ビジネス8月21日掲載。毎回、ドイツのエネルギー事情を丁寧に解説しています。再エネ振興と脱原発の矛盾が一段と広がっているという内容です。
4)福島原子力事故の後における放射線、その他の問題と健康影響
ランセット2015年8月1日号。英国の著名医学雑誌。原題は「Health effects of radiation and other health problems in the aftermath of nuclear accidents, with an emphasis on Fukushima」福島県立医科大学の長谷川有史氏らが事故による健康面・社会面への影響を寄稿。特に被ばくと関係のない健康被害の広がりを説明しています。
5)米国の元原子力規制委員会委員長:米国の原発「40年」ルールに科学的根拠はない
石川和男氏(政策家)によるハフィントンポスト8月28日記事。米国の元原子力規制委員会委員長デール・クライン氏へのインタビューです。日本が参考にした米国の規制「40年廃炉ルール」は根拠がないことを述べています。また日本の規制委員会の政策を批判していませんが、全原発の停止には疑問を示しています。

関連記事
-
原子力規制委員会が原発の新安全設置基準を設けるなど制度の再構築を行っています。福島原発事故が起こってしまった日本で原発の安全性を高める活動は評価されるものの、活断層だけを注視する規制の強化が検討されています。こうした部分だけに注目する取り組みは妥当なのでしょうか。
-
米国シェールガス革命に対する欧州と日本の反応の違いが興味深い。日本では、米国シェールガス革命によって日本が安価に安定的に燃料を調達できるようになるか否かに人々の関心が集中している。原子力発電所の停止に伴い急増した燃料費負担に苦しむ電力会社が行った値上げ申請に対し、電気料金審査専門委員会では、将来米国から安いシェールガスが調達できることを前提に値上げ幅の抑制を図られたが、事ほど左様に米国のシェールガス革命に期待する向きは大きい。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
-
国際環境経済研究所の澤昭裕所長に「核燃料サイクル対策へのアプローチ」を寄稿いただきました。
-
原子力の論点、使用済核燃料問題についてのコラムを紹介します。
-
GEPRの運営母体であるアゴラ研究所は映像コンテンツである「アゴラチャンネル」を提供しています。4月12日、国際環境経済研究所(IEEI)理事・主席研究員の竹内純子(たけうち・すみこ)さんを招き、アゴラ研究所の池田信夫所長との対談「忘れてはいませんか?温暖化問題--何も決まらない現実」を放送しました。 現状の対策を整理し、何ができるかを語り合いました。議論で確認されたのは、温暖化問題では「地球を守れ」などの感情論が先行。もちろんそれは大切ですが、冷静な対策の検証と合意の集積が必要ではないかという結論になりました。そして温暖化問題に向き合う場合には、原子力は対策での選択肢の一つとして考えざるを得ない状況です。
-
札幌医科大学教授(放射線防護学)の高田純博士は、福島復興のためび、その専門知識を提供し、計測や防護のために活動しています。その取り組みに、GEPRは深い敬意を持ちます。その高田教授に、福島の現状、また復興をめぐる取り組みを紹介いただきました。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間