反原発運動の終わりの始まり
(写真)九州電力川内原発九州電力の川内原発の運転差し止めを求めた仮処分申請で、原告は最高裁への抗告をあきらめた。先日の記事でも書いたように、最高裁でも原告が敗訴することは確実だからである。これは確定判決と同じ重みをもつので、関西電力の高浜原発の訴訟も必敗だ。
高浜では実際に毎日5億円の損害が発生しているので、3月9日の差し止め決定から1ヶ月で、すでに150億円の債務を原告は負っている。29人で分担しても1人5億円だ。今まで東電を食い物にしてもうけた河合弁護士などの反原発派が払ってくれるかもしれないが、これで彼らは壊滅するだろう。
今回の敗北で、反原発運動の流れは変わった。今まで「命は金に代えられない」などと言っていたフリーライダーも、自分の金は命より大事らしい。それも2基で1日5億円、全国の48基で約100億円の損害が毎日、発生しているという具体的な金額が法廷で示されたことは重要だ。
原発を止めることで救われる命は、歴史上の原発事故の死者60人を50年で割ると全世界で毎年1.2人だが、そのコストは日本だけで年間3兆円以上だ。つまり原発事故の命の値段は1人2.5兆円以上ということになる。これは交通事故で年収400万円のサラリーマンが死んだ場合の賠償額5000万円の5万倍である。
命の価格は無限大ではない。現代社会では、人々は命を金で買っているのだ。原発だけに莫大なコストをかける理由はない。命を救うコストが最小なのは、毎年11万人を殺しているタバコの禁止である。原発で敗北した河合一派は、タバコの製造差し止め訴訟をやるべきだ。
(2016年4月11日掲載)
関連記事
-
企業で環境・CSR業務を担当している筆者は、様々な識者や専門家から「これからは若者たちがつくりあげるSDGs時代だ!」「脱炭素・カーボンニュートラルは未来を生きる次世代のためだ!」といった主張を見聞きしています。また、脱
-
長期停止により批判に直面してきた日本原子力研究開発機構(JAEA)の高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」が、事業の存続か断念かの瀬戸際に立っている。原子力規制委員会は11月13日、JAEAが、「実施主体として不適当」として、今後半年をめどに、所管官庁である文部科学省が代わりの運営主体を決めるよう勧告した。
-
2024年6月に米国下院司法委員会がGFANZ、NZBAなど金融機関による脱炭素連合を「気候カルテル」「独禁法違反」と指摘して以来、わずか1年ちょっとでほとんどの組織が瓦解してしまいました。日本でも2025年3月に三井住
-
今回はテッド・ノードハウス(ブレークスルー研究所所長 兼 キヤノングローバル戦略研究所International Research Fellow)が公開した記事を紹介する(The Economist 記事、そのブログによ
-
世界は激変している。だが日本のエネルギー政策は変わることが出来ていない。本当にこれで大丈夫なのか? 脱炭素の前に脱ロシア? ウクライナでの戦争を受け、日本も「脱ロシア」をすることになったが、「脱炭素の前に脱ロシア」という
-
はじめに 本記事は、エネルギー問題に発言する会有志4人(針山 日出夫、大野 崇、小川 修夫、金氏 顯)の共同作成による緊急提言を要旨として解説するものである。 緊急提言:エネルギー安定供給体制の構築を急げ!~欧州発エネル
-
不正のデパート・関電 6月28日、今年の関西電力の株主総会は、予想された通り大荒れ模様となった。 その理由は、電力商売の競争相手である新電力の顧客情報ののぞき見(不正閲覧)や、同業他社3社とのカルテルを結んでいたことにあ
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク「GEPR」(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















