牛のゲップは地球温暖化の脅威である
小泉進次郎環境相は国連温暖化サミットの前夜に、ニューヨークのステーキハウスに行ったらしい。彼は牛のゲップが地球温暖化の大きな原因だということを知っているだろうか。
世界の温室効果ガスのうち、メタンは15.8%(CO2換算)を占める。これはメタンの温室効果が、CO2の28倍と高いためだ。
メタンのうち最大の24%を占めるのが、消化管内発酵つまりゲップやオナラである。これは「牛、水牛、めん羊、山羊などの反芻動物は複胃を持っており、第一胃でセルロース等を分解するために嫌気的発酵を行い、その際にメタンが発生する」 からだ(国立環境研究所)。
メタンが温室効果の15.8%をもたらし、そのメタンの24%が腸内発酵だとすると、地球上の温室効果ガスの3.8%が家畜のゲップとオナラから発生することになる。これはちょっと信じられないかもしれないが、IPCCも警告している重要な問題である。
だから厳密にいうと、温室効果ガスを減らす方法は化石燃料を減らすだけではない。牛肉を食べる量を減らして家畜を減らせば、メタンの発生量は減るのだ。植物でつくった人工肉を開発するベンチャー企業もたくさん出ている。
これはBeyond Meatの牛肉なしハンバーガーだ。ニューヨークのハンバーガー屋にも売っているらしいから、スタンドプレーの好きな小泉氏は一度食べてみてはどうだろうか。

関連記事
-
我が国の2030年度の温室効果ガスの削減目標について、2050年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、2013年度から46%削減を目指すこと、さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていきます。トップレベルの
-
政府が「2030年温室効果ガス46%削減」という目標を発表したことで、責任を感じた?小泉環境相が、「2030年までに太陽光発電の規模を2000万kW積み増して、1億800万kW以上にする」という方針を提示した。 太陽光発
-
かつて省エネ政策を取材したとき、経産省の担当官僚からこんなぼやきを聞いたことがある。「メディアの人は日本の政策の悪い話を伝えても、素晴らしい話を取材しない。この仕事についてから日本にある各国の大使館の経済担当者や、いろんな政府や国際機関から、毎月問い合わせの電話やメールが来るのに」。
-
調達価格算定委員会で平成30年度以降の固定価格買取制度(FIT)の見直しに関する議論が始まった。今年は特に輸入材を利用したバイオマス発電に関する制度見直しが主要なテーマとなりそうだ。 議論のはじめにエネルギーミックスにお
-
5月13日に放送した言論アリーナでも話したように、日本では「原子力=軽水炉=福島」と短絡して、今度の事故で原子力はすべてだめになったと思われているが、技術的には軽水炉は本命ではなかった。1950年代から「トリウム原子炉の道?世界の現況と開発秘史」のテーマとするトリウム溶融塩炉が開発され、1965年には発電を行なった。理論的には溶融塩炉のほうが有利だったが、軽水炉に勝てなかった。
-
G7エルマウサミット開幕 岸田総理がドイツ・エルマウで開催されるG7サミットに出発した。ウクライナ問題、エネルギー・食糧品価格高騰等が主要なアジェンダになる。エネルギー・温暖化問題については5月26〜27日のG7気候・エ
-
エネルギー危機が世界を襲い、諸国の庶民が生活の危機に瀕している。無謀な脱炭素政策に邁進し、エネルギー安定供給をないがしろにした報いだ。 この年初に、英国の国会議員20名が連名で、大衆紙「サンデー・テレグラフ」に提出した意
-
新ローマ教皇選挙(コンクラーベ)のニュースが盛り上がる中、4月30日付の「現代ビジネス」に川口マーン恵美さんが寄稿された記事「ローマ教皇死去のウラで~いまドイツで起きている『キリスト教の崩壊』と『西洋の敗北』」を読んでい
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間