コロナ234兆円で買えたはずの、日本の未来

2020年08月12日 06:00
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ブランドプロデューサー

先日まで連載した「コロナインフォデミックの戦犯たち」は多くの方に読んでいただき、賛同の声も少なからず心強かった。

しかしながら、世の中では相も変わらずメディア、一部専門家、ポピュリスト政治家が新型コロナウイルスを執念深くおもちゃにしており、一部知事にいたっては県独自の緊急事態宣言という暴挙に出る始末で目も当てられない。

写真AC:編集部

半年近く経っての死者1046名(全国8/9までの累計)、しかもその大半が基礎疾患のある高齢者であり、日本人にとって間違いなく新型コロナウイルスは冷静に対処すべき疾病であることが明らかになる中での、相かわらずのバカ騒ぎである。

参照:新型コロナ感染が再拡大 本当の脅威は何か? (日本総研調査部 チーフエコノミスト 枩村秀樹)

執拗過ぎるコロナ煽り第2弾の異常

それにしてもこの際とばかり第2波を煽り立てるメディア、政治家の執拗さを目の当たりにすると、どうしても動機が不可解で仕方ない。

リスクターゲットかつボリューム層である高齢者への人気取りでメディアも政治家も煽るのだという意見もあるが、私の周りには少なくとも日本を壊滅させ、自分たちの子供、孫世代に巨大な負債を背負わせてまで少しでも自分が長生きしたいという人物は存在しないのだが、世の中広いのでそんな人もいるのだろうか。

東京都YouTubeより

単純だがそれよりもっとあり得そうなのは、扇動家たちはただただ自分たちに注目が集まり世の中を動かせる高揚感に酔っているだけなのかもしれない。普段は日の当たらない地味な研究者や、ここぞとばかり気色ばむ知事の顔色を見ているとそんな軽薄さを感じなくもない。ただしそんな軽い動機と不勉強が引き起こす事態が国家転覆級であることを考えると、その罪万死に値すると言う他ない。

まして、コロナインフォデミックの主犯格と衆目が一致するワイドショーのテレビ局にいたっては、錚々たるクライアントの事業を殲滅させあげく自社の業績も大打撃を受ける事態となっているのだからまったく理解不能である。

 

「安全より安心」の「御祈祷代」に234兆円のぶっ飛び感

それにしても、気がつけば、積み積んだりコロナ補正予算の規模233.9兆円。真水でも61.6兆円。日本の年間国家予算102兆円の半額以上を真水で積んでしまった。しかも原資は国債発行。

参照:事業規模 233.9 兆円・新型コロナ対策予算の解剖(第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 星野 卓也)

それにしてもこのコロナ予算の大判振る舞い、コロナの死者一人当たりで割って約2000億円。真水だけ考えても約600億円。もはや新型コロナは日本人にとって経済合理性をはるかに超えた何モノかになってしまったようだ。

写真AC:編集部

ツタンカーメンかはたまた始皇帝か、これほど死者一人当たりに大枚はたいて”お祓い”もしくは”祈祷”した例は、日本の歴史上は見当たらず、ついに現代日本人は古代人を超える迷信家の誉(ほまれ)を手にしたようだ。

何にしても日本人の大多数が大のお人よしであることだけは間違いない。犯罪的に軽薄な朝のワイドショー、もしくは日本国弱体化の意図をもった外国勢力、あるいはここぞとばかりに国家予算を利権化する政治家やそれと通じる外国企業、業界団体。普段ではこの万分の一の予算策定でも喧々諤々の公費が火事場泥棒さながら、ここぞとばかりに掴み銭を奪い合われている構図が目に痛い。

そんなから騒ぎに乗せられて、巨額のツケを払うことになるのは間違いなく、日本国民一人一人だ。やれ日本は家計部門の貯蓄が大きいから家族内で借金するようなものだとか、そもそも国の資産がそれ以上に大きいとか、あげくMMTなる怪しげな理論に飛びつく人間まで出る始末で困ったものではあるが、所詮は何らか帳尻合わせが必要になる。

恐らくメインシナリオは、アベノミクス以来、政府、日銀が企むインフレ化施策によって実質的に家計部門の貯蓄の価値を半減もしくは紙くずにしてでも、相対的な日本国政府の債務額をチャラにしようというものだろう。そういう意味では確かに233兆円投入は誠に日本政府・日銀の日本経済インフレ化の企図に整合的だし、コロナ対策という言い訳も立つので都合の良いことこの上ない。

貯えを失うのがイヤな人は、金、不動産などの現物資産か、外貨に資産を移すべきだろうが、きっと多くの日本人は怒りもせず、従容としてそのままそんなインフレかハイパーインフレを受け入れるだろう。私のような現世志向の人間にはとても理解できないが、もはやそれが日本人というものなのだと悟らざるを得ない。

234兆円で買えた日本の未来

そういう意味ではもはや後日談の類で、“返せも戻せも”通じぬ類の話ではあるが、話のタネに234兆円、真水にしても61兆円。それだけあれば何ができたかちょっと考えてみたい。土台、乱暴な234兆円を前提にした小考察だから、粗さ上等でお付き合い願いたい。

<人の命にこだわるならば>

1)日本人の死因圧倒的ナンバーワン、癌への研究・対策 3.5兆円

平成30年の関連予算358億円

10倍にして10年分も楽に予算化。

ファーストリテイリングの柳井さんが100億円寄付して大変注目されたが、10兆円かければコロナの死者より桁違い、かつ現在の若い世代にまで末永く恩恵ある成果を期待できたのではないだろうか。

2)治水・堤防 10兆円

現在の年間予算が概ね1兆円

近年日本中に甚大な被害を与えている豪雨水害。今年の熊本豪雨でも対策不足は明らか。主要河川でも堤防整備率(必要とされた部分に対する整備済み割合)は70%以下のお寒い状況。10兆円あれば10年間倍増できる。

(筆者個人サイト参考記事:「コロナ安心料で治水対策も放棄確定。日本の終わり方を考える。」)

3)交通事故対策 0.25兆円

平成30年度の関連予算約25億円

10倍にして10年分も軽く実現可能。

高度成長期の交通戦争時代から大幅に減ったとはいえ、まだ年間3000人以上が亡くなる交通事故。危険な道路もまだまだ多い。200人x10年減らすだけでもコロナの倍の命を救える。

<国防>

国防 10兆円

令和2年の国防予算が5.3兆円

コロナに連動するように尖閣、沖ノ鳥島周辺への圧力を強める中国。日本の恵まれた海を守るのにはお金がかかるはず。1兆円x10年の増強。

とここまで書いて紙幅が尽きた。とても使い切れるものでないことだけは間違いなさそうだ。それにしても、本来国の未来を明るくする夢のある大型予算が、今や死んだ子の年を数える虚しい作業になってしまった。

とにもかくにも悔しいとすれば、日本人は諸外国と違い、コロナで死ににくいという「蜘蛛の糸」を手にしながら、いたずらにパニックに陥り自ら奈落に堕ちたことだろうが、少なくとも冷静だったならばもっとマシなカネの使い方があったとだけは言えるのではないだろうか。

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