暴力的な世界の到来:ギングリッチの不吉な予測

sharply_done/iStock
米国の元下院議長であった保守党の大物ギングリッチ議員が身の毛がよだつ不吉な予言をしている。
ロシアがウクライナへの侵略を強めているのは「第二次世界大戦後の体制の終わり」を意味し、我々はさらに「暴力的な世界」に住むことになる、というのだ。以下に要点を記す。
- プーチンはギャンブラーのようなもので、相手の反応を見て動く。もし西側が今と同じくらい弱ければ、彼は更に、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国に対して、あるいはポーランドに対して、圧力をかけるだろう。彼は本当にNATOを破壊し、米国をヨーロッパから追い出したいと思っている。それを自分の仕事だと考えている。
- ドイツにとって、今や中国が最大の輸出市場だ。中国にはBMWやメルセデス、フォルクスワーゲンが多く売れる。そしてロシアは安価なエネルギーの供給源だ。つまり、2つの巨大な独裁国家は、どちらもドイツ経済の重要な部分を握っている。そしてドイツ人は、ウクライナの独立のような、ドイツ人が気にも留めないようなことで、リスクを冒すつもりはない。
- 今、非常に危険なのは、中国の習近平が西側諸国の弱体ぶりを見て、台湾を奪取する時が来たと判断することだ。我々がウクライナのことで頭を悩ませている間に、中国にとっては19番目の省と考える地域を取り返す絶好の機会なのだ。
- これらのことは、77年間にわたり世界の平和を維持してきた第二次世界大戦後の体制の終焉を意味する。そして今、私たちはより暴力的な世界とより大きな危険を目の当たりにし、独裁者たちがより攻撃的になるのを見ることになる。
- バイデンは環境問題を理由に米国の石油・ガス企業を罰してきた。この結果、石油・ガスの世界価格が高くなり、プーチンに莫大な利益を与えた。これほど自滅的な政策はおよそ思いつかない。
■

関連記事
-
9月14日、政府のエネルギー・環境会議は「2030年代に原発ゼロ」を目指す革新的エネルギー環境戦略を決定した。迫りくる選挙の足音を前に、エネルギー安全保障という国家の大事に目をつぶり、炎上する反原発風に気圧された、大衆迎合そのものといえる決定である。産業界からの一斉の反発で閣議決定にまでは至らなかったことは、将来の国民にとって不幸中の幸いであった。報道などによれば、米国政府筋などから伝えられた強い懸念もブレーキの一因と いう。
-
福島原子力事故について、「健康被害が起こるのか」という問いに日本国民の関心が集まっています。私たちGEPRのスタッフは、現在の医学的知見と放射線量を考え、日本と福島で大規模な健康被害が起こる可能性はとても少ないと考えています。GEPRは日本と世界の市民のために、今後も正しい情報を提供していきます。
-
先日まで連載した「コロナインフォデミックの戦犯たち」は多くの方に読んでいただき、賛同の声も少なからず心強かった。 しかしながら、世の中では相も変わらずメディア、一部専門家、ポピュリスト政治家が新型コロナウイルスを執念深く
-
去る4月16日に日本経済団体連合会、いわゆる経団連から「日本を支える電力システムを再構築する」と題する提言が発表された。 本稿では同提言の内容を簡単に紹介しつつ、「再エネ業界としてこの提言をどう受け止めるべきか」というこ
-
鈴木達治郎 猿田佐世 [編] 岩波ブックレット 岩波書店/520円(本体) 「なぜ日本は使いもしないプルトニウムをため続けるのか」。 米国のエネルギー政策、原子力関係者に話を聞くと、この質問を筆者らは頻繁に受けるという。
-
経済学者は、気候変動の問題に冷淡だ。環境経済学の専門家ノードハウス(書評『気候変動カジノ』)も、温室効果ガス抑制の費用と便益をよく考えようというだけで、あまり具体的な政策には踏み込まない。
-
田中 雄三 国際エネルギー機関(IEA)が公表した、世界のCO2排出量を実質ゼロとするIEAロードマップ(以下IEA-NZEと略)は高い関心を集めています。しかし、必要なのは世界のロードマップではなく、日本のロードマップ
-
原子力発電施設など大規模な地域社会の変容(これを変容特性と呼ぶ)は、施設の投資規模、内容にまず依存するが(これを投資特性と呼ぶ)、その具体的な現れ方は、地域の地理的条件や開発の意欲、主体的な働きかけなど(これを地域特性と呼ぶ)によって多様な態様を示す。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間