CO2ゼロのための禁止リスト!あなたは耐えられますか?
イギリスも日本と同様に2050年にCO2をゼロにすると言っている。それでいろいろなシナリオも発表されているけれども、現実的には出来る分けが無いのも、日本と同じだ。

katerina_Simonova/iStock
けれども全く懲りることなく、シナリオが1つまた発表されたが、これはもはや爆笑モノだ。
レポートを読むと、まず現時点では夢物語の技術が並んでいる。なんでも電化するとかリサイクルするとか。ここまではもうあちこちで見飽きたので細かくは紹介しない。
傑作なのは「ライフスタイルの変更」だ。
曰く、技術だけではなく、ライフスタイルを変えなければ、CO2ゼロは達成できないそうだ。
それで、並んでいるリストを見ると:
- 飛行機禁止
- 船舶禁止
いずれも化石燃料を使うから、まずは禁止しないとダメなんだそうだ。下図の「ロードマップ」で、上から3行目と4行目のところに「進入禁止マーク」があるが、2050年までに飛行機と船舶を禁止するそうだ。
ちなみに電車は許されていて、ユーロトンネルを使って大陸と行き来はできる。
これだけでも恐ろしいが、なんと
- 肉食禁止
たしかに、いま温室効果ガス排出の3分の1は食料に関するものだといわれ、肉食はとくに温室効果ガスの排出が多い。飼料穀物を大量に必要とするからだ。
トラクター、トラック、食品加工、冷蔵、冷凍など、エネルギーを多く使ってCO2が出る。肥料も農薬も製造時にエネルギーを大量に使う。牛や羊はゲップやオナラをしてメタンガス(これも温室効果ガスの1つ)を出すし、肥料は分解されて亜酸化窒素ガス(これも温室効果ガスの1つ)を出す。
しかしだからと言って、イギリスの国民食である牛肉も羊肉も禁止とは!2050年にはベジタリアンになったイギリス人が、海外旅行も物資輸入もユーロトンネルだけに頼ってほそぼそと暮らすらしい。穴に住むピーターラビットじゃあるまいし。
これを政策にしたら、さすがに暴動が起きるだろうね、きっと。

関連記事
-
「地球温暖化で海面が上昇すると、日本の砂浜が大きく失われる」という話は、昔はよく報道されてけれど、最近はさすがに少なくなってきた。後述するように、単なる誤情報だからだ。 それでもまだ、以下のような記事の見出しがあった。
-
前回に続いて、環境影響(impact)を取り扱っている第2部会報告を読む。 今回のテーマは食料生産。以前、要約において1つだけ観測の統計があったことを書いた。 だが、本文をいくら読み進めても、ナマの観測の統計がとにかく示
-
福島第一原発の事故は我国だけでなく世界を震撼させた。電力会社に在籍したものとして、この事故の意味を重く受け止めている。
-
前2回(「ごあいさつがわりに、今感じていることを」「曲解だらけの電源コスト図made by コスト等検証委員会」)にわたって、コスト等検証委員会の試算やプレゼンの図について、いろいろ問題点を指摘したが、最後に再生可能エネルギーに関連して、残る疑問を列挙しておこう。
-
エネルギー関係者の間で、原子力規制委員会の活動への疑問が高まっています。原子力の事業者や学会と対話せず、機材の購入などを命じ、原発の稼動が止まっています。そして「安全性」の名の下に、活断層を認定して、原発プラントの破棄を求めるような状況です。
-
はじめに 世界的な生成AIの普及やデータセンターの拡大により半導体需要が急速に高まって、日本国内でも供給の安定化を目指して大規模半導体工場の建設ラッシュが起こっている。 なかでも注目されるのが、世界的半導体製造会社TSM
-
プーチンにウクライナ侵攻の力を与えたのは、高止まりする石油価格だった。 理由は2つ。まず、ロシアは巨大な産油国であり、経済も財政も石油の輸出に頼っている。石油価格が高いことで、戦争をする経済的余裕が生まれた。 のみならず
-
15日の報道、既視感があります。 エムケイ、EVハイヤー「CO2ゼロ」に 100円追加で排出枠 タクシー大手のエムケイ(京都市)は12月から、電気自動車(EV)を使い、温暖化ガス排出が実質ゼロのハイヤーの運行を始める。利
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間