石炭火力が問題であるとすれば中国の問題だ
![](https://agora-web.jp/cms/wp-content/uploads/2024/04/2024-04-iStock-1399886726_220532-660x440.jpg)
Andrzej Rostek/iStock
グローバル・エネルギー・モニターという団体が石炭火力発電動向に関する報告書を発表した。
分かり易い図がいくつかあるので紹介しよう。
まず2023年の1年間で、追加された石炭火力設備容量と(赤)、退役した石炭火力設備容量(緑)。世界の殆どは中国で、なんと47ギガワット(=4700万キロワット)追加。
これは日本の石炭火力発電設備の総容量55ギガワットに匹敵する! つまり中国は毎年日本1国分の石炭火力発電設備を建てている訳だ:
しかも、現在検討中(発表、認可前、認可後の合計)の石炭火力発電設備容量も、世界の殆どが中国にあって、なんと268ギガワット。日本の総設備容量の5倍もある:
現状の石炭火力発電の設備の総量で見ても、中国(1125ギガワット以上。この図は分かりにくいが説明は略)は日本(53ギガワット)の20倍以上もある:
つまり石炭火力発電が問題であるとするならば、それは何よりも中国の問題だということだ。
電気料金が高騰し、火力発電設備の不足で節電要請が年中行事のように繰り返される日本。それでもCO2を理由に石炭火力発電設備を減らすというのが日本政府の方針だが、愚かなことではないか。
■
![This page as PDF](https://www.gepr.org/wp-content/plugins/wp-mpdf/pdf.png)
関連記事
-
人形峠(鳥取県)の国内ウラン鉱山の跡地。日本はウランの産出もほとんどない 1・ウラン資源の特徴 ウラン鉱床は鉄鉱石やアルミ鉱石などの鉱床とは異なり、その規模がはるかに小さい。ウラン含有量が20万トンもあれば
-
昨年11月に発表されたIEA(国際エネルギー機関)のWorld Energy Outlookが、ちょっと話題を呼んでいる。このレポートの地球温暖化についての分析は、来年発表されるIPCCの第6次評価報告書に使われるデータ
-
神奈川県地球温暖化対策推進条例の中に「事業活動温暖化対策計画制度」というものがあります。 これは国の省エネ法と全く同じ中身で、国に提出する省エネ法の定期報告書から神奈川県内にある事業所を抜き出して報告書を作成し神奈川県に
-
IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 前回の論点⑳に続いて「政策決定者向け要約」の続き。前回と
-
はじめに 欧州の原子力発電政策は国ごとにまちまちである。昔は原子力発電に消極的だったスウェーデンが原子力発電を推進する政策を打ち出しているのもおどろきだが、ドイツの脱原発政策も異色である。 原子力発電政策が対照的なこの2
-
筆者は1960年代後半に大学院(機械工学専攻)を卒業し、重工業メーカーで約30年間にわたり原子力発電所の設計、開発、保守に携わってきた。2004年に第一線を退いてから原子力技術者OBの団体であるエネルギー問題に発言する会(通称:エネルギー会)に入会し、次世代層への技術伝承・人材育成、政策提言、マスコミ報道へ意見、雑誌などへ投稿、シンポジウムの開催など行なってきた。
-
米国の保守系シンクタンクであるハートランド研究所が「STOPPING ESG」という特集ページをつくっているので紹介します。同研究所トップページのバナーから誰でも入ることができます。 https://www.heartl
-
エジプトで開かれていたCOP27が終わった。今回は昨年のCOP26の合意事項を具体化する「行動」がテーマで新しい話題はなく、マスコミの扱いも小さかったが、意外な展開をみせた。発展途上国に対して損失と被害(loss and
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間