石炭火力が問題であるとすれば中国の問題だ

2024年04月23日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

Andrzej Rostek/iStock

グローバル・エネルギー・モニターという団体が石炭火力発電動向に関する報告書を発表した。

分かり易い図がいくつかあるので紹介しよう。

まず2023年の1年間で、追加された石炭火力設備容量と(赤)、退役した石炭火力設備容量(緑)。世界の殆どは中国で、なんと47ギガワット(=4700万キロワット)追加。

これは日本の石炭火力発電設備の総容量55ギガワットに匹敵する! つまり中国は毎年日本1国分の石炭火力発電設備を建てている訳だ:

しかも、現在検討中(発表、認可前、認可後の合計)の石炭火力発電設備容量も、世界の殆どが中国にあって、なんと268ギガワット。日本の総設備容量の5倍もある:

現状の石炭火力発電の設備の総量で見ても、中国(1125ギガワット以上。この図は分かりにくいが説明は略)は日本(53ギガワット)の20倍以上もある:

つまり石炭火力発電が問題であるとするならば、それは何よりも中国の問題だということだ。

電気料金が高騰し、火力発電設備の不足で節電要請が年中行事のように繰り返される日本。それでもCO2を理由に石炭火力発電設備を減らすというのが日本政府の方針だが、愚かなことではないか。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 2050年にCO2をゼロにすると宣言する自治体が増えている。これが不真面目かつ罪作りであることを前に述べた。 本稿では仮に、日本全体で2050年にCO2をゼロにすると、気温は何度下がり、豪雨は何ミリ減るか計算しよう。 す
  • 知人で在野の研究者である阿藤大氏の論文が、あれこれ紆余曲折の末、遂に公表された。 紆余曲折と言うのは、論文が学術誌に掲載されるまでに、拒否されたり変な言いがかりを付けられたりで、ずいぶん時間がかかったからだ。これは彼に限
  • 米国が最近のシェールガス、シェールオイルの生産ブームによって将来エネルギー(石油・ガス)の輸入国でなくなり、これまで国の目標であるエネルギー独立(Energy Independence)が達成できるという報道がなされ、多くの人々がそれを信じている。本当に生産は増え続けるのであろうか?
  • 英国国営放送(BBC)で内部監視の役目を受け持つEditorial Complaints Unit (ECU)は、地球温暖化に関するBBCのドキュメンタリー番組が、気候変動について誤った報道をしたと判定した。 番組「ワイ
  • 2015年6月2日放送。出演は澤昭裕氏(国際環境経済研究所所長、21世紀政策研究所研究主幹)、池田信夫氏(アゴラ研究所所長)、司会はGEPR編集者であるジャーナリストの石井孝明が務めた。5月にエネルギーミックス案、そして温室効果ガス削減目標案が政府から示された。その妥当性を分析した。
  • IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 今回のIPCC報告では、新機軸として、古気候のシミュレー
  • BBCが世界各国の超過死亡(平年を上回る死者)を国際比較している。イギリスでは(3ヶ月で)新型コロナの死者が約5.2万人に対して、その他の超過死亡数が約1.3万人。圧倒的にコロナの被害が大きかったことがわかる。 ところが
  • 現在の日本のエネルギー政策では、エネルギー基本計画(2014年4月)により「原発依存度は、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」こととなり、電力事業者は今後、原発の新増設が難しくなりました。原発の再稼動反対と廃止を訴える人も増えました。このままでは2030年以降にベースロード電源の設備容量が僅少になり、電力の供給が不安定になることが懸念されます。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑