米国は石油とガスで繁栄し日本はCO2ゼロで産業壊滅の愚行

2024年12月04日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

Lari Bat/iStock

米国のトランプ次期大統領が閣僚候補者を次々に指名している。エネルギーと環境に関して、その方向性ははっきりしている

以下の、バーガム、ライト、ゼルディンの3氏は全員、石油・ガス・石炭などの化石燃料の開発・利用に関する規制を撤廃し、経済活動を繁栄させるべきだ、と公言している。

内務長官:ダグ・バーガム
バーガム氏は、石油生産州の中で3番目に大きなノースダコタ州の現知事である。同州のバッケン地域におけるシェール石油・シェールガスの開発を主導してきた。 ザ・ヒルは11月15日付の記事で、トランプ氏が繰り返し述べていた「アメリカのエネルギードミナンス(優勢)を解き放つ」という言葉を引用し、バーグム氏が同じことを述べたと伝えている。 バーガム氏が内務長官に就任すれば、バイデン政権下で開発が停止されていた、連邦所有地における石油・ガス開発を推進する権限を持つことになる。

エネルギー長官:クリス・ライト
ライト氏は明白な化石燃料推進派だ。ライト氏の現在の役職は、シェールオイル・シェールガス開発の大手企業、リバティ・エナジーのCEOである。ポリティコのE&Eニュースでライト氏は「化石燃料の伝道師」として紹介された。また11月18日同コラムの記事では、ライト氏の「気候危機は存在しない」という発言や、CO2排出ゼロという目標は「達成不可能であり、人道にも反する」という発言が紹介された。

環境保護庁(EPA)長官:リー・ゼルディン
ニューズウィーク誌は11月11日号で、同氏が「長年にわたって気候変動規制に反対してきた」こと、2022年の知事選(落選)では、民主党のアンドリュー・クオモ知事によって課されたニューヨーク州のシェールガス採掘禁止を解除すると公約していたことを指摘している。

エネルギー以外の分野においても、イーロン・マスク率いる政府効率化省の設立など、エネルギー開発を妨げる環境規制を緩和する方向性がはっきりしている

トランプ大統領の公約については以前にも紹介した。選挙運動中にも「ドリル・ベイビー・ドリル」(掘って、掘って、掘りまくれ)と繰り返し言っていたように、トランプ政権においては、米国は気候危機説に惑わされることなく、石油・ガス・石炭を採掘し、利用する。パリ気候協定からはトランプ大統領就任初日の1月20日に離脱する。

トランプの公約「エネルギードミナンス」とは何か

これに対して日本政府はといえば、2050年CO2ゼロを達成するためとして、2035年にはCO2排出を60%削減するという数値目標をエネルギー基本計画に書きこみ、2025年に2月10日にはパリ協定に提出しようとしている。

気候変動の賠償が年間48兆円で日本は何兆円払うのか?

このままでは米国のエネルギーはますます安くなり、日本のエネルギーはますます高くなる。企業は米国に工場を建て、日本からは逃げ出す(そうでなければ追い出されるか、潰れる)。

日本は愚かな数値目標を掲げるのを止め、パリ協定から離脱すべきだ。

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 前回お知らせした「非政府エネルギー基本計画」の11項目の提言について、3回にわたって掲載する。まずは第1回目。 (前回:強く豊かな日本のためのエネルギー基本計画案を提言する) なお報告書の正式名称は「エネルギードミナンス
  • トランプ大統領は就任初日に発表した大統領令「Unleashing American Energy – The White House」において、環境保護庁(EPA)に対し、2009年のEndangerment Findi
  • エネルギー、原発問題では、批判を怖れ、原子力の活用を主張する意見を述べることを自粛する状況にあります。特に、企業人、公職にある人はなおさらです。その中で、JR東海の葛西敬之会長はこの問題について、冷静な正論を機会あるごとに述べています。その姿勢に敬意を持ちます。今回は、エネルギー関係者のシンポジウムでの講演を記事化。自らが体験した国鉄改革との比較の中でエネルギーと原子力の未来を考えています。
  • 2025年7月15日の日本経済新聞によると、経済産業省は温泉地以外でも発電できる次世代型の地熱発電を巡り、経済波及効果が最大46兆円になるとの試算を発表した。 次世代地熱発電、経済効果は最大46兆円 経産省が実用化に向け
  • 国際環境経済研究所のサイトに杉山大志氏が「開発途上国から化石燃料を奪うのは不正義の極みだ」という論考を、山本隆三氏がWedge Onlineに「途上国を停電と飢えに追いやる先進国の脱化石燃料」という論考を相次いで発表され
  • アゴラチャンネルで池田信夫のVlog、「炭素税がやってくる」を公開しました。 ☆★☆★ You Tube「アゴラチャンネル」のチャンネル登録をお願いします。 チャンネル登録すると、最新のアゴラチャンネルの投稿をいち早くチ
  • 8月に入り再エネ業界がざわついている。 その背景にあるのは、経産省が導入の方針を示した「発電側基本料金」制度だ。今回は、この「発電側基本料金」について、政府においてどのような議論がなされているのか、例によって再生可能エネ
  • 大阪市の松井市長が「福島の原発処理水を大阪に運んで流してもいい」と提案した。首長がこういう提案するのはいいが、福島第一原発にあるトリチウム(と結合した水)は57ミリリットル。それを海に流すために100万トンの水を大阪湾ま

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑