三井住友FGの脱炭素枠組み脱退が日本の潮目を変える決定打になる
三井住友フィナンシャルグループ(FG)が脱炭素をめざす金融機関の国際的な枠組みから脱退することが4日、わかった。野村ホールディングス(HD)も同様の検討を進めている。トランプ米政権下で脱炭素をめぐる業界横断的な活動への批判や法的リスクがくすぶっている。米主要銀の離脱が相次ぐなか、邦銀では初の事例となる。
脱退するのは2050年までに温暖化ガスの排出量を実質的にゼロとすることを目標にする「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」。4日時点で44カ国・地域の135金融機関が参加する。三井住友FGは枠組み脱退後も、脱炭素への投融資計画など気候変動への対応は個別に続ける構えだ。
トランプ大統領の就任前後の2024年末から25年初めにかけ、米銀の間ではNZBAからの脱退が相次いだ。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど主要6社がすでに離脱を表明。カナダでもロイヤル・バンク・オブ・カナダを含む複数行の脱退が1月末までに続いた。
トランプ氏は気候変動への対応に消極的で、米共和党の議員からはNZBAの活動が反トラスト法に違反するとの見方が出ている。米議会では金融機関による脱炭素を促す取り組みを「気候カルテル」として批判する声もある。
三井住友FGさん、英断です。
これは大きな潮目の変化になります。他の金融機関も続くはずです。先週公開された動画で話していた内容が早速日本にも波及してきました。
55分00秒~58分10秒あたり。杉山さんとの質疑の中で、日本の金融機関もこの流れに乗った方がよいと話していました。
三井住友FGは「気候変動への対応は強化する」(幹部)と強調する。30年に向けて掲げたサステナブルファイナンスの投融資目標を維持するほか、50年までに融資先の企業が排出する温暖化ガスを実質的にゼロとする目標も続ける。国内企業の脱炭素を見据えた投資の重要性は増しており、金融機関としての支援を一段と強める。
しかしこちらはおかしいですね。
自社ビルのCO2削減等はどうぞご自由に進めてください。でもネットゼロをめざすアライアンスやイニシアチブから自分たちは抜けるのですから、融資先の企業に温暖化ガスゼロを求めるのは明らかに矛盾しています。
よく金融機関から企業に対して「TCFDやSBTiに参加しなさい」「気候変動によるリスクを特定しなさい」などと言われますが、脱炭素アライアンスに入っていることがビジネスリスクだと自ら判断したのです。
トランプ大統領が反ESGだ気候カルテルだと言っても、いや違う、脱炭素は企業価値を向上させる、投資家のビジネスチャンスである、カルテルではない、という信念があれば国際枠組みから脱退しないはずです。
答えは簡単。
儲からないから。企業価値が向上しないから。ESGの終焉が明白だからです。
自分たちが将来のビジネスリスクを回避したのに、融資先の企業に同じリスクを負わせるのはおかしい。当然ながらESG評価や要請もやめなければなりませんよね。
これが決定打になります。日本では、政府ではなく民間から脱脱炭素が始まります。企業の脱炭素宣言撤回も続くはず。企業の皆さま、こちらの雛形をどうぞご自由にお使いください。
■

関連記事
-
COP28が11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される。そこで注目される政治的な国際合意の一つとして、化石燃料の使用(ならびに開発)をいつまでに禁止、ないしはどこまで制限するか(あるいはできないか)と
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク、GEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。 今週のアップデート 1)日本変革の希望、メタンハイドレートへの夢(上)-青山繁晴氏 2)
-
私は太陽光発電が好きだ。 もともと自然が大好きであり、昨年末まで勤めた東京電力でも長く尾瀬の保護活動に取り組んでいたこともあるだろう。太陽の恵みでエネルギーをまかなうことに憧れを持っていた。いわゆる「太陽信仰」だ。 そのため、一昨年自宅を新築した際には、迷うことなく太陽光発電を導入した。初期投資額の大きさ(工事費込み304万円)には少々尻込みしたが、東京都と区から合わせて約100万円の補助金を受けられると聞いたこと、そして何より「環境に良い」と思って決断した。正確に言えば、思考停止してしまった。
-
米国のウィリアム・ハッパー博士(プリンストン大学物理学名誉教授)とリチャード・リンゼン博士(MIT大気科学名誉教授)が、広範なデータを引用しながら、大気中のCO2は ”heavily saturated”だとして、米国環
-
英国保守党のケミ・ベーデノック党首が、脱・脱炭素宣言をした。保守党のホームページに、スピーチ全文が掲載されている。 Kemi Badenoch: Net zero by 2050 “is fantasy politics
-
先の国会の会期末で安倍晋三首相の問責決議可決などの政治の混乱により、政府が提出していた“電気事業法変更案”が廃案になった。報道によると、安倍首相は「秋の臨時国会で直ちに成立させたい」と述べたそうだ。
-
中国国家電網のロゴ問題をきっかけに強い批判を浴びていた内閣府の再エネタスクフォースの廃止が決まった。当然である。根拠法もなく河野太郎氏の集めた「私兵」が他の役所に殴り込み、大林ミカ氏のような活動家がエネルギー基本計画にま
-
難破寸前政権 大丈夫かあ? 政権発足前夜、早くもボロのオンパレード・・・ 自民党総裁就任から、石破の言動への評価は日をおうごとに厳しさを増している。 思いつき、認識不足、豹変、言行不一致、有限不実行、はては女性蔑視——昭
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間