「石野前連合」という悪夢:劣化政党の末に来る最悪の無責任体制

石野前連合とは、石破ー野田ー前原連合のことである。
ここのところ自由民主党だけでなく、立憲民主党も日本維新の会もなんだか〝溶けはじめて〟いるようである。
いずれの場合も党としての体をなしていない。自民党は裏金問題から解脱できないまま無間地獄を彷徨っているようである。
こないだの都議選は惨憺たる結果であったが、自業自得だ。それに輪をかけて毛叱らないというかハシタナイのは、無所属と銘打ちながら当選するやいなやさっさと自民党に入党した輩が結構いたことである。
私の住まいは目黒選挙区であったが、投票したいと思う候補者がいなかった。しかも、無所属ポスターの世襲議員が当選後即座に自民に入党していた。選挙民も随分とバカにされたもんだ。
石野前連合
国会末期のなんちゃって党首討論——とりわけ野田 vs 石破、および前原 vs 石破の討論は空疎な空論であった。
私はすでにこの三人がどうしようもない〝お友達〟であることを説いた。
野田と石破はガブ飲み友達でともにキャンディーズのみきちゃんの大ファン、前原と石破は鉄道マニア、政界テッチャン仲間である。
石破首相とトランプ大統領:『ブウ・ドン』関係の幕開けか、それとも迷走か?
https://agora-web.jp/archives/250119074114.html
このお友達3人は〝いつか一緒に政権をつくりたい〟と思うお仲間であることを忘れてはならない。
年収の壁引き上げを潰した2人の重罪人
維新の共同代表・前原氏は、自民党にすり寄り、維新が喧伝する教育無償化と引き換えに補正予算への賛成を打診した。つまり、これによって「年収の壁」引き上げの要求を反故にしようとしているわけである。教育無償化に必要な予算は約6,000億円にすぎず、「年収の壁」を178万円に引き上げた場合の税収減に比べれば、そのコストは約10分の1に抑えられる。財務省にとっては、破格に安い“取引”と言えるだろう。
もう一人の「重罪人」は、立憲民主党の野田佳彦元首相である。立憲民主党は、困窮する庶民の味方と思われていたが、今回の「年収の壁」引き上げ問題には一切言及せず、静観を決め込んだ。庶民、とりわけ若者の間では、強い不信感や苛立ちが広がっており、立憲はその支持層を急速に失い、凋落しつつある。仮にこの件に立憲民主党が真剣に取り組んでいれば、大型減税はとうの昔に実現していたはずである。
国会終盤の党首討論を見ても、野田氏と前原氏の姿勢は実に腑抜けで、選挙民を愚弄しているとしか思えない。
最大野党である立憲民主党が、「不信任」という伝家の宝刀を抜かないなどという所作は、本来あり得ないはずである。
国防の劣化
三者三様にかなりの右派であり、国防意識は高いと見る。野田氏も前原氏ももともとは自民党入りを望んでいたが、いずれの選挙区も世襲議員などの自民伝統の悪癖に阻まれ公認はえられなかった。
国防のことでいえば石破は自称軍事オタクらしいし、それこそ総裁選の頃は、〝アジア版NATOの創設〟や〝日米地位協定の見直し〟に意欲をみせる風を装っていた。あれらの主張はどこにいったのか、最近ではトント耳にしない。ライフワークじゃなかったのか?
議論好きなんだろう——だったらトランプ大統領に論戦をいどめば良かったじゃないか。
そして、石破は今回のNATO総会への出席と言う絶好の機会を逃した。逃したというよりサボった。絶好の論戦の機会を目前にして、不戦敗、まるで敵前逃亡のような無様なありさまだ。
こんな輩に、国防、ましてやアジア版NATO、地位協定見直しなんてちゃんちゃら可笑しい。
国防の意思の具現化は、構成的な軍事力をいかにして国家システムに実装するかじゃないのか。
トランプ大統領が日本の防衛費をGDP比3.5%に引き上げよとか、「米国は日本を守らない」とかプレッシャーをかけてきている——NATO総会こそ関税の問題のみならず、防衛問題をトランプと腹を割って論じる絶好の機会だった。
日本はロシア、中国、そして北朝鮮という厄介な国々のみならず、今やならず者国家然としてきた米国と隣接している。防衛費はイスラエル並みのGDP比5%越えでもいいのではないか。いざ有事となって制空権を掌握されてからでは遅い。中国の最新鋭戦闘機(J-20A)は西側のそれを凌駕する性能を有しているらしいぞ・・・
NATO総会をサボったのは国家存亡の根幹に関わることから逃げた訳で、一国の総理として無責任極まりないと私は深く憂慮する。
今街中には来たる参議院選のポスター用看板が立ち並んでいる。7月3日告示である。
自民党の支持率はどんどん下がってきている。進次郎米の軽佻浮薄パフォーマンスが、大手メディアの後押しもあって自民党を浮揚させるかに見えたが、儚い夢であった。むしろ、進次郎の馬鹿さ加減が随所に露呈してきて、総理大臣不適格の烙印を押されつつある。選挙対策委員長の木原誠二氏は焦りに焦りまくっているようである。
自民党の凋落の先には、政界のガラガラポンから石野前連合政権さえ誕生の芽があるのではないかと思う。よしんばそのようなことが起こったとして、その先には今の自公政権よりも酷い無責任体制が私たちを待ち構えているように見える。
関連記事
-
JBpressの記事は、今のところ入手可能な資料でざっとEV(電気自動車)の見通しを整理したものだが、バランスの取れているのはEconomistの予想だと思う。タイトルは「内燃機関の死」だが、中身はそれほど断定的ではない
-
東京電力に寄せられたスマートメーターの仕様に関する意見がウェブ上でオープンにされている。また、この話題については、ネット上でもITに明るい有識者を中心に様々な指摘・批判がやり取りされている。そのような中の一つに、現在予定されている、電気料金決済に必要な30分ごとの電力消費量の計測だけでは、機能として不十分であり、もっと粒度の高い(例えば5分ごと)計測が必要だという批判があった。電力関係者とIT関係者の視点や動機の違いが、最も端的に現れているのが、この点だ。今回はこれについて少し考察してみたい。
-
ドイツ東部の都市、ライプツィヒに引っ越して、すでに4年半が過ぎた。それまで38年間も暮らしたシュトゥットガルトは典型的な西ドイツの都市で、戦後、メルセデスやポルシェなど自動車産業のおかげで急速に発展し、裕福になった。 一
-
COP27が終わった。筆者も後半1週間、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された国連「気候変動枠組条約」締約国会合であるCOPの場に参加してきたが、いろいろな意味でCOPの役割が変貌していることを痛感するとともに、
-
各社のカーボンニュートラル宣言のリリース文を見ていると、2030年時点で電力由来のCO2排出量が46%近く減ることを見込んでいる企業が散見されます。 先日のアゴラで、国の2030年目標は絶望的なのでこれに頼る中期計画が経
-
低CO2だとされるLNGの方が石炭よりもCO2排出量が多い、と言う論文がコーネル大学のハワースらのチームから報告されて話題になっている(図1)。ここではCO2排出量は燃料の採掘から利用までの「ライフサイクル」で計算されて
-
茨城大学理学部の高妻孝光教授は、福島第1原発事故以来、放射線量の測定を各地で行い、市民への講演活動を行っています。その回数は110回。その取り組みに、GEPRは深い敬意を抱きます
-
気候変動対策を巡る議論は、IPCC報告書や各種の「気候モデル」が示す将来予測を前提として展開されている。しかし、その根拠となる気候モデルは、科学的厳密性を装いながらも、実は数々の構造的な問題点と限界を抱えている。 本稿で
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間















