IPCC報告の論点㊴:大雨はむしろ減っているのではないか
IPCCの報告が昨年8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。

Mac99/iStock
大雨についてはこのシリーズでも何度か書いてきたが、今回は、大雨はむしろ減っているというデータ(論文、紹介記事)。
図は、陸地全体の平均の大雨日数(赤)および地球全体の平均の大雨日数(緑)である。ここで大雨の指標として縦軸には月あたりの日量20mm以上の降水日数をとっている。例えば縦軸が1ならば月に1回だけ20mm以上の雨が降ったという意味になる。データ出所は米国の気象庁(NOAA)のデータセット。
これを見ると、とくに21世紀に入ってから、大雨はむしろ減少傾向にある。
地球温暖化で大雨が増えるという説があるが、はて、このデータと整合性はあるのだろうか。
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1つの報告書が出たということは、議論の終わりではなく、始まりに過ぎない。次回以降も、あれこれ論点を取り上げてゆこう。
【関連記事】
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・IPCC報告の論点㉟:欧州の旱魃は自然変動の範囲内
・IPCC報告の論点㊱:自然吸収が増えてCO2濃度は上がらない
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・IPCC報告の論点㊳:ハリケーンと台風は逆・激甚化
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