今週のアップデート — 東日本大震災から1年、原発再考(2012年3月12日)
東日本大震災から、3月11日で1年が経過しました。復興は次第に進んでいます。しかし原発事故が社会に悪影響を与え続けています。
GEPRはエネルギー問題で、どのような立場の意見も、適切で社会に意味があれば紹介していきます。原発をめぐっても、賛成反対の双方の意見を募集します。
今週のコラム
1)横浜国立大学教授の伊藤公紀教授に「原発再考-リスクやコスト、温暖化問題の視点から」を寄稿いただきました。伊藤教授は、リスクの過小評価、原発は安いという試算に疑問を示しています。また伊藤教授らが学際的に検討している温暖化と太陽活動の関係が実は大きい可能性について、紹介しています。
原発は二酸化炭素を排出しないために、温暖化を抑えるための切札とされてきました。それについての学者からの異論です。
2)米紙ワシントンポストの元東京特派員のポール・ブルスタイン氏から、「立ち上がれ日本、東北の瓦礫処理で、あなたと地域の協力が必要だ」(RISE UP, JAPAN, AND DEMAND YOUR AREA’S SHARE OF TOHOKU DEBRIS 英語のみ、日本語は間もなく公開)を寄稿いただきました。東北のがれき問題について、早急な解決のために日本の市民が行動しなければならないと訴えています。
3)GEPR編集部は「一見、科学的に見える誤った情報に騙されないために—放射能をめぐる社会混乱に向き合う」を提供します。GEPRに協力する科学者による論考です。
「科学的知見の出典を確認すること」「自分でもデータを検証してみること」「結論や意見がデータからどのように導かれたのかについて検証すること」で、誤った情報に騙されなくなるとの意見を示しました。
今週の論文、リポート
1)「アメリカのエネルギーの未来」。米国エネルギー技術革新協議会によるリポートです。英語、日本語要旨。米国で、技術革新を起こすことによる期待を述べています。5章からなる長文リポートです。米国のエネルギー政策と技術革新の問題点が分かります。
2)オックスフォード大学名誉教授のウェイド・アリソン氏が論考「原子力エネルギーへの公的な信頼について」(Public Trust in Nuclear Energy:PDF、日本語要旨は近日)という論文を公表しています。アリソン教授は、GEPRに「放射線の事実に向き合う−本当にそれほど危険なのか」というコラムを寄稿しています。
アリソン教授は冷戦構造の中で、原子力エネルギーへの過度な恐怖心が世界に広がったことを指摘した上で、理性的に事実に向き合う必要を強調しています。
3)民間のシンクタンクの日本再建イニシアティブは、「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」を公開しています。事故当日の様子などが政治家の聞き取りなどを通じて調査・提供されています。
残念ながら、同委員会は日本国民に広く事故調査書を公表していません。3月11日から有料で配布しています。
関連記事
-
AIは急速に進歩しているが、ポリコレを教え込まれている。気候変動についてもそれが酷い、という面白い論文(無料)が発表された。 Artificial Intelligence Systems (AI) Are Progra
-
トランプ政権の猛烈なスタートダッシュに世界が圧倒されている。ホワイトハウスのHPには、サインしたばかりの大統領令が、即日、続々とアップされた。下手な報道を見るよりも、こっちを見た方がよほど正確で早い。 トランプ政権はエネ
-
12月8日記事(再掲載)。14日に衆議院選挙が行われ、事前の予想通り、自民党、公明党の連立与党が安定多数を確保。エネルギー分野では問題が山積しているのに、大きな変化はなさそうだ。
-
今回は長らく議論を追ってきた「再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会」の中間整理(第三次)の内容について外観する。報告書の流れに沿って ①総論 ②主力電源化に向けた2つの電源モデル ③既認定案件の適正な導
-
福島第一原発の南方20キロにある楢葉町に出されていた避難指示が9月5日午前0時に解除することが原子力災害現地対策本部から発表された。楢葉町は自宅のある富岡町の隣町で、私にも帰還の希望が見えてきた。
-
「もしトランプ」が大統領になったら、エネルギー環境政策がどうなるか、これははっきりしている。トランプ大統領のホームページに動画が公開されている。 全47本のうち3本がエネルギー環境に関することだから、トランプ政権はこの問
-
東京都の太陽光パネルの新築住宅への義務付け条例案が6月24日までの期限で一般からの意見募集(パブコメ)を受け付けている(東京都による意見募集ホームページはこちら)。 懸念はいくつもあるが、最近気が付いた重大なことがある。
-
今年7月末に「『気候変動・脱炭素』 14のウソ」という日本語の書が出版された。著者は渡辺正博士。全体は「気候変動」編と「脱炭素」編に分かれ、それぞれ7つの「ウソ」について解説されている。前稿の「気候変動」編に続き、今回は
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間
















