今週のアップデート — エネルギーの先行き、原発利用とシェールガス(2013年5月7日)
今週のアップデート
1)核放射線 - 敵か味方か? その1 福島の被害は社会的ストレスがもたらした
核放射線 - 敵か味方か? その2 原子力への恐怖を取り除く試みを
オックスフォード大学名誉教授のウェイド・アリソン氏らでつくる「放射線についての公的な理解を促進する科学者グループ」の小論を、アリソン氏から提供いただきました。
この小論では放射線は医学治療などで使われ、利用者はリスクと効果を見極めようとしていることを紹介しています。ところがエネルギーでの利用では、放射線への恐怖が先行し、その活用が遅れています。福島についても過度の防護基準に基づいて行動することによる社会損害の大きさを指摘しています。
エネルギー・コンサルタントの小野章昌氏の論考です。アメリカを中心に「シェールガス革命」と呼ばれるガスの増産が期待され、はやされています。大量のガス、オイルが安い値段で採掘できると予想されています。ところがエネルギーや地下資源の経歴の長い小野氏によれば、安いのは条件がよいところのみ採掘されているためといいます。ブームは投資銀行のつくった一過性のものという指摘です。
「革命」が正しいのか誤りなのかは分かりませんが、さまざまな可能性を分析しながら、対応をするべきでしょう。この内容について、異論があるかもしれません。専門家の意見をGEPRは募集します。
提携する国際環境経済研究所(IEEI)の主席研究員の竹内純子さんの論考です。福島県南相馬市の東北電力原町発電所の復旧の過程を紹介しています。インフラを守ろうとする同社の人々の努力に感銘を受けます。
今週のリンク
1)除熱機能を喪失、ギリギリの復旧作業 福島第2原発で何が起きたか(上)
日本経済新聞5月3日の滝順一編集委員の記事です。「すし詰めの免震棟、異様な雰囲気 福島第2原発で何が起きたか(下)」に続きます。事故を起こさず、冷温停止に持ち込んだ第2原発については情報がかなり少ないので、参考になります。この記事によると危機的な状況に直面したことが分かります。助かった原発の分析を、原子力の利用に活かしていく必要があります。
2)世界中で広がる放射性廃棄物の不法投棄–英国、ドイツが大量に海へ、汚染拡大の懸念強まる
JBプレス5月1日、ドイツ在住の作家川口マーン恵美さんの寄稿です。放射性廃棄物について、現在は海洋への投棄は国際条約によって禁止されており、地中への放置を行う国は建前の上ではありません。ところが規制のなかった1960年代の投棄について、EU諸国では、海洋、国内土壌の汚染について懸念が出ています。
読売新聞5月3日社説。安倍晋三首相のトルコ訪問の際に、トルコ政府は原発建設で三菱重工・アレバの原発建設受注の決定を表明しました。原発4基の建設費用は2兆円で、日本経済におおきな利益となります。この社説は、福島原発事故の後の、原子力ついての不信が広がる中で、官民の実現の努力について敬意を示し、日本の原発の立て直しによる建設も主張しています。
原発について、日本国内では福島事故の後でその輸出をめぐり違和感や反対論があります。それは理解できます。しかし世界では途上国を中心に原発の建設が続いており、三菱重工、東芝、日立と建設能力を持つメーカー3社を持つ国は日本しかありません。この成功を契機に、日本の原発輸出の拡大を政府、メーカーは推進するでしょう。これについて可能な限り、国民の合意を集約する必要があります。
中日新聞連載。東京・中日新聞は福島事故、放射能の健康被害の報道で、健康被害を過度に強調する記事を流し、批判を集めました。しかし読み応えのある記事も多く、この連載も反原発の色彩が強いものの詳細な取材・調査をしています。連載は1970年代の日米の原子力交渉の内実を描いています。日本の原子力関係者の中に「国益のため」という「驕り」があったことを検証。そして原子力利用が、時には対立するものの米国との密接な関係の中で成立してきたことを取材で明らかにしています。
毎日新聞5月5日記事。経産省はこれまで抑制方針を掲げた石炭火力の増設に政策を転換しました。原発停止が長期化してコスト引き下げを余儀なくされているためです。しかし大気汚染、CO2排出問題と関係し、電力プラントは長期間かどうするため、早急な増設には注意が必要でしょう。それよりも安全を確認した原発の再稼動という容易な電力不足解決の方法があります。
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