今週のアップデート — 原発再稼動とリスク(2014年3月17日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPRはサイトを更新しました。
今週のアップデート
1)原発は、今の規制で安全になるのか【言論アリーナ・本記】
2)原発は、今の規制で安全になるのか【言論アリーナ・要旨】
アゴラ研究所は、運営するインターネット番組「言論アリーナ」で、「原発は新しい安全基準で安全になるのか」を2月25日に放送しました。原子力規制委員会が行っている諸政策には問題が多く、原発のリスクを高めかねないばかりか、法的な根拠のない対策で問題が多いと、参加者は指摘しています。その報告です。
出席者は東京大学教授(大学院新領域創成科学研究科)の岡本孝司氏、政策家の石川和男氏、アゴラ研究所所長の池田信夫氏でした。
3)原子力規制委員会の見識を疑う ― 民意で安全を決めるのか?
一般投稿で、住友金属工業に勤務していた松永一郎さんに寄稿していただきました。原子力規制委員会が、規制終了後にパブコメを集め、それに基づいて上乗せの政策を検討しようとしていることを批判しています。
今週のリンク
1) 九電「地震想定談合」破る
川内原発の優先審査、決め手は?
日経3月15日記事。九州電力川内原発が、規制委員会によって、優先審査対象になりました。その理由の検証記事ですが、九電がリスクの科学的評価よりも、規制委員会の主張に上乗せしたことで、同委員会に評価されたということのようです。規制委員会の行動には、合理性を感じられません。
日経3月3日記事。英国では、原発周囲、立地候補地でステークホルダーの会合を、政府が入り必ず行うそうです。日本では、反対派の攻撃を怖れ、推進派が消極的でした。冷静な議論の土壌をつくりたいもの。GEPRもそれを目指します。
4) 菅元首相、「原発再稼働」で異例の質問主意書 判断に「誤り」も
3)は衆議院、4)は産経新聞2月21日記事(再掲載)。今回の言論アリーナで言及の資料。
菅直人元首相が国会議員に認められている質問主意書を使い、政府に再稼動の条件について聞いています。規制委員会は、再稼動の審査ではなく、新規制基準の適合性を審査しているにすぎないことを国が認めました。再稼動は法律上今すぐできることになります。
WEDGE Infinity3月12日記事。常葉大学の山本隆三教授の論考。ウクライナ情勢は緊迫しています。しかし、当事者のロシアにEU諸国、トルコは天然ガスを依存。そのためにEU諸国は強硬策に出られないという読みです。これは、国産エネルギーのない日本の将来にも参考になります。

関連記事
-
本年5月末に欧州委員会が発表した欧州エネルギー安全保障戦略案の主要なポイントは以下のとおりである。■インフラ(特にネットワーク)の整備を含む域内エネルギー市場の整備 ■ガス供給源とルートの多角化 ■緊急時対応メカニズムの強化 ■自国エネルギー生産の増加 ■対外エネルギー政策のワンボイス化 ■技術開発の促進 ■省エネの促進 この中で注目される点をピックアップしたい。
-
CO2濃度が過去最高の420ppmに達し産業革命前(1850年ごろ)の280ppmの1.5倍に達した、というニュースが流れた: 世界のCO2濃度、産業革命前の1.5倍で過去最高に…世界気象機関「我々はいまだに間違った方向
-
先日、東京大学公共政策大学院主催の国際シンポジウムで「1.5℃目標の実現可能性」をテーマとするセッションのモデレーターを務めた。パネルディスカッションには公共政策大学院の本部客員研究員、コロラド大学のロジャー・ピルキーJ
-
ドイツ・憲法裁判所の衝撃判決 11月15日、憲法裁判所(最高裁に相当)の第2法廷で、ドーリス・ケーニヒ裁判長は判決文を読み上げた。それによれば、2021年の2度目の補正予算は違法であり、「そのため、『気候とトランスフォー
-
EUタクソノミーとは 欧州はグリーンディールの掛け声のもと、脱炭素経済つまりゼロカーボンエコノミーに今や邁進している。とりわけ投資の世界ではファイナンスの対象がグリーンでなければならないという倫理観が幅を効かせている。
-
原子力発電は「トイレの無いマンション」と言われている。核分裂で発生する放射性廃棄物の処分場所が決まっていないためだ。時間が経てば発生する放射線量が減衰するが、土壌と同じ放射線量まで減衰するには10万年という年月がかかる。
-
山梨県北杜市(ほくとし)における太陽光発電による景観と環境の破壊を、筆者は昨年7月にGEPR・アゴラで伝えた。閲覧数が合計で40万回以上となった。(写真1、写真2、北杜市内の様子。北杜市内のある場所の光景。突如森が切り開
-
米国保守系シンクタンクのハートランド研究所が「2024年大統領選の反ESGスコアカード」というレポートを発表した。大統領候補に名乗りを上げている政治家について、反ESG活動の度合いに応じてスコアを付けるというもの。 これ
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間