今週のアップデート - 原発事故、福島の不安に向き合う(2014年8月25日)
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンクGEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。
今週のアップデート
福島では今、県民の健康診断、そして若者への甲状腺検査が行われています。それをめぐり、検査結果をめぐって、落ち着く傾向を示していた福島の放射線問題で、再び人々の間で動揺が広がっています。問題に向き合う、福島県伊達市の地域メディエーター、半谷輝己氏に寄稿をいただきました。
3) 「東電社員、事故原発から逃亡」? 吉田調書、朝日報道への疑問
未公表の吉田調書をめぐり、朝日、産経が入手をしたとして解説記事を掲載しています。政府も公開の構えです。吉田調書をめぐって、朝日新聞が東電社員から逃亡をしたという報道を中心に、推測情報ですが、GEPR編集者の石井孝明が意見を述べています。
4)欧州のエネルギー・環境政策をめぐる風景感(4)ウクライナ危機の衝撃
ジェトロのロンドン事務所長の有馬純氏の論考です。ウクライナは、ロシアとのガスの中継点、そして当事者のロシアは欧州にエネルギーを供給。その問題を多角的に取り上げています。
今週のリンク
1)ふくしま国際医療科学センター 放射線医学 県民健康管理センター
県立医科大学の特設ホームページ。同医大は、福島の医療について、検査と情報を集約させる機関になっています。情報公開の努力はうかがえます。しかし、その発信する情報、健康調査の意味を福島の住民が知らないことがよくあることが、今回の半谷氏のコラムで示されています。改善が必要でしょう。
読売新聞8月19日記事。東電が、汚染水対策の中で採用した凍土壁で、氷が地中で固まらないという問題が生じています。最初から難しい技術とされており、新しい方式による止水の検討が必要でしょう。
日本経済新聞8月21日記事。原発は初期投資の費用が膨大である一方、ランニングコストが放射性廃棄物を考慮しても、会計上は低くなります。電力自由化をした英国ではそのために原発の建設がなくなりました。同じ制度の導入を経産省が検討しているものの、日本国内で原発を優遇する政策に議論を呼びそうです。
4)東電とJパワー、横須賀に高効率石炭火力 2000億円投資
日本経済新聞8月24日記事。価格が安い石炭火力に、原発停止の中で各電力会社が注目しています。東電、Jパワーの2社は、石炭火力の運営の実績もあります。しかし、この取り組みは温暖化対策との間で、今後慎重な検討が必要です。
時事通信8月23日記事。原発の停止、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力網整備などのコスト増で、北電が経営危機に陥っています。同社は何の経営ミスもせず、政府の政策によって経営危機に陥りました。大変気の毒です。

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ベクレルという量からは、直接、健康影響を考えることはできない。放射線による健康影響を評価するのが、実効線量(シーベルト)である。この実効線量を求めることにより、放射線による影響を家庭でも考えることができるようになる。内部被ばくを評価する場合、食べた時、吸入したときでは、影響が異なるため、異なる評価となる。放射性物質の種類によっても、影響が異なり、年齢によっても評価は異なる。
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