今週のアップデート=「炉心溶融」「メルトダウン」の意味(2016年7月5日)
アゴラ研究所の運営するエネルギー、環境問題のバーチャルシンクタンクGEPR「グローバルエナジー・ポリシーリサーチ」はサイトを更新しました。
今週からデザインを変更し、スマホ、資料検索をよりしやすくしました。
今週のアップデート
炉心溶融という用語の使い方が混乱しています。これを「メルトダウン」とメディアが翻訳しましたが、それは誤りです。また初動での言葉の混乱が、その後の事故への不安を煽ったように思います。東電がこの言葉をめぐる発表が誤っていたことを認めましたが、今一度問題を確認しましょう。アゴラ研究所の池田信夫所長の論考です。
日本原子力研究開発機構の元理事長、原子力委員会委員長代理だった斉藤伸三氏に寄稿いただきました。もんじゅの問題について安全性ををめぐる検討が行われていました。その説明を行っています。
米カリフォルニアのディアプロ・キャニオン原発が閉鎖される予定です。その原発の閉鎖をめぐり、肯定する意見、批判する意見がニューヨーク・タイムズに掲載されています。その意見の要旨を掲載しました。典型的な原子力をめぐる議論なので、日本でも紹介する意味があるでしょう。
今週のリンク
1)総理大臣官邸は「炉心溶融」の隠ぺいを指示したのか? 元内閣審議官が明かす舞台裏と真相
ジャーナリスト、堀潤氏。ヤフーニュース7月2日。菅直人政権による、「炉心溶融」「メルトダウン」という言葉を使わないという東電への指示が、なぜか大きな問題になっています。これについて、当時官邸にいたジャーナリストの下村健一氏が、自分の見たことを解説しています。それでも隠蔽したのか、真相は不明です。
東芝7月1日掲載。東芝が米国でのABWR(改良型沸騰水型原子炉)の設計認証を、取り下げました。新規受注が認められないためのようです。先進国では、原子力ビジネスは規制などによって難しくなっていました。
英紙ガーディアン7月1日記事。仏電力公社(EDF)が建設を受注した英国のヒンクリーポイント原発の建設は、もともと巨額の投資が予想外に膨らみそうで、進捗が懸念されていました。今回の英国の離脱で、EDFの態度が不透明になっているそうです。原題は「Hinkley Point C critics try to derail it amid Brexit vote turmoil」。
ニューヨーク・タイムズ6月27日記事。米カリフォルニアのディアプロ・キャニオン原発の閉鎖で、再エネ、省エネによって代替する計画を、企業側が立てています。それを歓迎する記事です。原題は「Good News From Diablo Canyon」。今回記事で要旨を掲載しました。
ニューヨーク・タイムズ6月30日記事。環境研究者のマイケル・シェレンベルガー氏の寄稿です。ディアプロ・キャニオン原発の閉鎖で、化石燃料の消費が拡大するという指摘です。原題「How Not to Deal With Climate Change」。今回記事で要旨を掲載しました。

関連記事
-
このごろ世の中は「脱炭素」や「カーボンニュートラル」でにぎわい、再生可能エネルギーとか水素とかアンモニアとか、いろんな話が毎日のようにマスコミに出ています。それを後押ししているのがESG投資ですが、その意味がわからない人
-
東京大学公共政策大学院教授の関啓一郎氏に、「電力・通信融合:E&Cの時代へ — 通信は電力市場へ、電力は通信融合に攻め込めもう!」というコラムを寄稿いただきました。関教授は、総務官僚として日本の情報通信の自由化や政策作成にかかわったあとに、学会に転身しました。
-
台風19号の被害は、14日までに全国で死者46人だという。気象庁が今回とほぼ同じ規模で同じコースだとして警戒を呼びかけていた1958年の狩野川台風の死者・行方不明は1269人。それに比べると台風の被害は劇的に減った。 こ
-
アメリカは現実路線で石炭火力シフト、日本は脳天気に再エネ重視 アメリカの研究機関、IER(エネルギー調査研究所)の記事「石炭はエネルギー需要を満たすには重要である」によると、「ドイツでは5兆ドル(750兆円)を費やし、電
-
元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智 新しい政権が発足したが、エネルギー・環境関連では、相変わらず脱炭素・水素・アンモニア・メタネーション等、これまで筆者が散々こき下ろしてきた政策を推進する話題で持ちきりである。そ
-
IPCCの報告が昨年8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 大雨についてはこのシリーズでも何度か書いてきたが、今回は
-
アゴラ研究所の運営するエネルギーのバーチャルシンクタンク、GEPR(グローバルエナジー・ポリシーリサーチ)はサイトを更新しました。 今週のアップデート 1)日本変革の希望、メタンハイドレートへの夢(上)-青山繁晴氏 2)
-
(GEPR編集部より)この論文は、国際環境経済研究所のサイト掲載の記事から転載をさせていただいた。許可をいただいた有馬純氏、同研究所に感謝を申し上げる。(全5回)移り行く中心軸ロンドンに駐在して3年が過ぎたが、この間、欧州のエネルギー環境政策は大きく揺れ動き、現在もそれが続いている。これから数回にわたって最近数年間の欧州エネルギー環境政策の風景感を綴ってみたい。最近の動向を一言で要約すれば「地球温暖化問題偏重からエネルギー安全保障、競争力重視へのリバランシング」である。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間