野党が脱炭素の国民経済負担で政権を追及 ― 英国
英国ではボリス・ジョンソン保守党政権が脱炭素(ネット・ゼロ)政策を進めている。だが、家庭用のガス使用禁止やガソリン自動車の禁止等の具体的な政策が明らかになるにつれ、その莫大な経済負担を巡って、与党内からも異論が噴出している。
野党労働党も黙ってはいない。英国の大衆紙サンが報じた。
すなわち英国下院のビジネス委員会は、2050年までに脱炭素化するための「真の経済負担を政権は国民に説明していない」と非難した。

ダレン・ジョーンズ下院議員 公式HPより
委員長のダレン・ジョーンズ議員は、「全国の無数の低所得の人々に、生活が苦しい中、脱炭素のための支払いを強いるわけにはいかない。そのようなことでは、ネット・ゼロを達成するために必要な変化は何も起こらない」と述べた。
これに先立って、英国財務省は、29年後にネット・ゼロを達成するための経済負担は累積で1.4兆ポンド(=210兆円)という試算を示している。
議員たちは、政府ができるだけ早く計画を発表し、ネット・ゼロのコストを心配する一般家庭にとっての意味を説明しなければ反発を招く、とした。
特に、ガソリン車の廃止やガスボイラーの禁止などの対策にかかる費用は、社会全体に公平に分配されるべきだと警告した。
ジョンソン首相はネット・ゼロを達成することは「非常に難しい」と述べている。その一方で、「わが政権は家庭の料金支払いが増えることはしない、それは最優先事項だ」と述べている。
日本の野党も、脱炭素の経済負担について政権に問い糾して、国民の生活を守る義務があるのではないか?
■

関連記事
-
2月の百貨店の売上高が11ヶ月振りにプラスになり、前年同期比1.1%増の4457億円になった。春節で来日した中国人を中心に外国人観光客の購入額が初めて150億円を超えたと報道されている。「爆買い」と呼ばれる中国人観光客の購入がなければ、売上高はプラスになっていなかったかもしれない。
-
政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、「2030年CO2排出46%削減」という目標を決めましたが、それにはたくさんお金がかかります。なぜこんな目標を決めたんでしょうか。 Q1. カーボンニュートラルって何です
-
新年ドイツの風物詩 ドイツでは、色とりどりの花火で明るく染まる夜空が新年の風物詩だ。日本のような除夜の鐘の静寂さとは無縁。あっちでドカン、こっちでシュルシュルの “往く年、来る年”だ。 零時の時報と共にロケット花火を打ち
-
今年7月からはじまる再生可能エネルギーの振興策である買取制度(FIT)が批判を集めています。太陽光などで発電された電気を電力会社に強制的に買い取らせ、それを国民が負担するものです。政府案では、太陽光発電の買取額が1kWh当たり42円と高額で、国民の負担が増加することが懸念されています。
-
6月の公開前後にニューヨーク・タイムス、ワシントンポストなど主要紙の他、NEI(原子力エネルギー協会)、サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American:著名な科学雑誌)、原子力支持および反原子力の団体や個人などが、この映画を記事にした。
-
「たぶんトランプ」に備えて米国の共和党系シンクタンクは政策提言に忙しい。何しろ政治任命で高級官僚が何千人も入れ替わるから、みな自分事として具体的な政策を考えている。 彼らと議論していると、トランプ大統領になれば、パリ気候
-
小泉環境相が悩んでいる。COP25で「日本が石炭火力を増やすのはおかしい」と批判され、政府内でも「石炭を減らせないか」と根回ししたが、相手にされなかったようだ。 彼の目標は正しい。石炭は大気汚染でもCO2排出でも最悪の燃
-
政府エネルギー・環境会議から9月14日に発表された「革新的エネルギー・環境戦略」は2030年代に原子力発電ゼロを目指すものであるが、その中味は矛盾に満ちた、現実からかけ離れたものであり、国家のエネルギー計画と呼ぶには余りに未熟である。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間