衆議院選で脱炭素の経済負担は課さないと公約せよ

2021年09月04日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

米ホワイトハウスは、中国などCO2規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税を課す「国境炭素税」について、支持を見合わせている(ロイター英文記事同抄訳記事)。(国境炭素税について詳しくは手塚氏記事を参照

Tinnakorn Jorruang/iStock

バイデン大統領は、手段としての国境炭素税について一般論としては支持している。しかし、現在の民主党が提示している国境炭素税案については支持を表明していない。同案は、民主党が単独可決を目指す3兆5000億ドルの経済政策案に盛り込まれたものだ。

支持しない理由であるが、自動車や家電製品など多くの消費財の価格上昇につながりインフレを引き起こす懸念があること、そして「年収40万ドル以下の米国人に新規の課税をしない」というバイデン氏の公約に反するからだ、という。

年収40万ドルというと4千万円だから、日本なら新入社員から社長まで大抵はこの範囲に入る。

さて日本ではいま脱炭素を掲げたエネルギー基本政策案が8月4日に政府から提示され、パブリックコメントを経て今秋の総選挙後に閣議決定される予定だ。

この案では大幅なCO2削減を掲げており、本コラムで書いてきたように、強行すれば消費税倍増に匹敵する莫大な経済負担が生じると筆者は(多くの識者も同様と思うが)みている。

政府は「グリーン成長によって環境と経済を両立してこれを実現する」と綺麗ごとを言っている。だがこれだけではいつ反故にされるかわからない。

生活を守るため、地域経済を守るために、しっかり言質を取っておこう。

今般の総選挙にあたり、議員には公約として「脱炭素を名目として有権者の経済負担を増やすことはしない」と明言するよう、迫るべきだ。

それを公約しない議員には、どの程度の経済負担を要求するのか、国民に詳しく説明してもらおう。

クリックするとリンクに飛びます。

「脱炭素」は嘘だらけ

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 脱炭素要請による下請けいじめを指摘する面白い記事を目にしました。「脱炭素要請は世界の潮流!」といった煽り記事ではなく、現場・現実を取り上げた記事が増えるのはとてもよいことだと思います。 「よく分かんないけど数字出して」脱
  • 2023年1月20日、世界経済フォーラム(World Economic Forum。以下、WEF)による2023年の年次総会(通称「ダボス会議」)が閉幕した。「世界のリーダー」を自認する層がどのような未来を描こうとしてい
  • かつて、1970年代後半から80年代にかけて、コンピュータと通信が融合すると言われていた。1977年に日本電気(NEC)の小林宏治会長(当時)が「コンピュータ技術とコミュニケーション技術の融合」を意味する「C&C」という新しい概念を提示し、当時の流行語になったのを覚えている人も多いだろう。
  • 1.はじめに 雑誌「選択」の2019年11月号の巻頭インタビューで、田中俊一氏(前原子力規制委員会(NRA)委員長)は『日本の原発はこのまま「消滅」へ』と題した見解を示した。そのなかで、日本の原子力政策について以下のよう
  • 昨今、日本でもあちこちで耳にするようになったESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉である。端的にいうならば、二酸化炭素(CO2)排
  • 金融庁、ESG投信普及の協議会 新NISAの柱に育成 金融庁はESG(環境・社会・企業統治)投資信託やグリーンボンド(環境債)の普及に向けて、運用会社や販売会社、企業、投資家が課題や改善策を話し合う協議会を立ち上げた。
  • 11月15日~22日、ブラジルのベレンで開催されたCOP30に参加してきた。筆者にとって20回目のCOPにあたる。以下にCOP30の経過と評価につき、私見を述べたい。 COP30の位置づけ COP30で採択された「グロー
  • 女児の健やかな成長を願う桃の節句に、いささか衝撃的な報道があった。甲府地方法務局によれば、福島県から山梨県内に避難した女性が昨年6月、原発事故の風評被害により県内保育園に子の入園を拒否されたとして救済を申し立てたという。保育園側から「ほかの保護者から原発に対する不安の声が出た場合、保育園として対応できない」というのが入園拒否理由である。また女性が避難先近くの公園で子を遊ばせていた際に、「子を公園で遊ばせるのを自粛してほしい」と要請されたという。結果、女性は山梨県外で生活している(詳細は、『山梨日日新聞』、小菅信子@nobuko_kosuge氏のツイートによる)。

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑