地球温暖化の科学:実体は「枯れ野のススキ」?

2021年10月28日 07:00
松田 智
元静岡大学工学部化学バイオ工学科

元静岡大学工学部化学バイオ工学科 松田 智

「地球温暖化が想定を上回るスピードで進んでいる。」と言った前振りが、何の断りもなく書かれることが多くなった。筆者などの感覚では、一体何を見てそんなことが言えるのだろうと不思議に思える。前稿でも触れたが、これからCOP26開幕にかけて「気候危機」が迫っている、もはや時間がないと言った「脅かし」がマスコミを中心に世の中にばらまかれると予想する。実際の地球気温大気中CO2濃度変化を見れば、そんな異常事態に陥っているとは全く見えないにも拘わらず、あまりにも世の中全体が「脱炭素=CO2排出削減=気候変動対策」という図式に乗っかりすぎていて、その他のことに目を向ける余裕も必要性も感じていないかのようだ。すべての前提条件になってしまっている。

Angkana Kittayachaweng/iStock

最近のマスコミ報道では、何が起こっても「温暖化の影響」にされてしまう。熱波が襲えば、もちろん温暖化の影響と言うし、今年のフランスワインは歴史的不作になりそうとのことだが、この原因は春先(4月上旬)に低温が続いて、遅霜の被害を受けたためであるのに、その低温・遅霜さえ「温暖化の影響との見方が支配的」と報道される。

局地的に暑い寒いが起こることと、地球全体が温暖化することは違う次元の現象なのに、全てを一緒くたにしてしまう。この、何の断りもない断言や極端な単純化こそ、大衆を扇動し「集団催眠」に導く大きな要因である。

世界の平均気温分布を見ると、月平均でも季節平均でも同じように、平均より暖かい地域と寒い地域がある。気温はこのように不規則にまばらに分布するのだし、時間的にも不規則に変化する。決して、どこもかしこも一様に温暖化することなどは観測されていない。

今年の日本でも、8月は雨が多く低温の冷夏だったが、その後9〜10月は暖かい日が多く、しかし10月下旬になったら今度は急に寒くなり、いきなり12月下旬並みの寒さだとか。マスコミは気温の高い時だけ暑い暑いと強調し、温暖化のせいだと大騒ぎする。寒い時はダンマリなのに。全く、短絡的としか言いようがない。

氷河がなくなる、温暖化による破滅が近いと言った報道もあるが、氷河は氷期の名残だから、氷期が終われば消えるのが自然の姿である(南極やグリーンランドの氷床は、約1万年前に終わった氷期の名残。地球は現在、間氷期にあるとされる)。別に破局でも何でもない。南極の氷河が崩落する映像を繰り返し見せられると、いかにも「この世の終わり」、温暖化って恐ろしいよなあ・・と思わせられるが、実体は怖くも何ともない自然現象の一つに過ぎない。枯れ野のススキが幽霊に見えるのと、ほとんど同じである。幽霊、怖いよう〜、でも良く見ると、何だ、ただのススキか。あそこに毒ヘビがいるぞ・・、でも良く見ると、何だ、ただの古い縄じゃん!

強い台風が生じると、その理由は海水温が高いからとされる。それはその通りなのだが、南方洋上で非常に強かった台風が、いざ日本に上陸となるとかなり弱くなる場合が多い。以前にも示したが、日本への上陸時気圧が940 hPa以下だった台風は1993年が最後で、それ以後30年近く来ていない。その間、大気中CO2濃度は上がり続けたのであるが。去年も今年も、南方洋上では中心気圧910 hPaとかの猛烈に強い台風が現れたが、日本に近づくと急速に勢力が衰えた。それは、日本沿岸海域の水温が南方洋上よりかなり低いからである。気象報道では、スーパー台風が来るぞお・・と脅かすだけでなく、それらも正確に伝えて欲しいものだ。

また、漁業関係で例年と違う現象が現れると、その原因の多くが海水温の変化、特に海水温上昇によるとされ、これも「温暖化の影響」だと。しかし、海水温と言うのは、複雑怪奇な挙動をするもので、暖水渦や冷水渦が現れたり、海流の変動その他、非常に複雑な現象の現れであり、単純に「温暖化の影響」などとは言えないはずなのに、何でも温暖化のせいにする。これも思考停止と極端な単純化だろう。そもそも、海水と大気では同じ体積の熱容量が1000倍以上違うから、大気温が少々変わっても、海水温は容易に変化しないのだ。

COP26で集まる関係者に常に注目していただきたいのは、やはり地球平均気温大気中CO2濃度変化の実データ、特に後者である。脱炭素=CO2排出削減が功を奏するなら、大気中CO2濃度変化に効果が現れるはずである。現にオゾン層破壊問題では、1995年のモントリオール議定書以後、大気中オゾン濃度は緩やかながら増加傾向に転じ、改善に向かっている。もし、大気中CO2濃度が人間活動の影響を顕著に受けているのなら、脱炭素=CO2排出削減で何らかの効果が現れるはずだろう。

オゾン層破壊が、地球環境問題の中で、唯一と言って良い成功を収めたのは、この問題の解明と対策立案が科学的に行われたからである。精密な各種測定・分析、室内ラボ実験での再現、正確な再現シミュレーションなどが功を奏し、原因物質がフロンその他であると確定され、対策が立案された。この科学的成果にはどの国も反対できなかったので、オゾン層対策の国際条約はかなりスムーズに世界中で批准され実行に移された。温暖化問題も、是非これに倣うべきだろう。

すなわち、現象の科学的な解明が、まず先決のはずである。本当に、人類発のCO2が「温暖化」の原因なのか?(IPCCは「疑問の余地なし」と言ったが、確たる科学的根拠が示されていない。)

ここからは筆者の予想になるが、脱炭素=CO2排出削減を行っても、残念ながら大気中CO2濃度変化には顕著な変化は現れないだろう。その理由は以前書いた(「メルケルよお前もか」)通りで、人類が、今すぐ全てのCO2排出を止めても、年間約2 ppmずつ増えているCO2濃度の5%弱、つまり0.1 ppmしか変化しない計算になる。大気中CO2濃度約400 ppmのうちの0.1 ppmである。これでは、たとえ温暖化の主因が大気中CO2であるとしても(実際は大気温とCO2濃度変化は相関性が低いけれど)、対策はほぼ効果ナシとしか言えない。筆者の計算ではそうなるし、現に観測されている大気中CO2濃度には、人類活動の影響などほとんど見られない。石炭火力廃止などと大騒ぎしても、何の効果も無さそうである。

地球温暖化のシミュレーションモデルは、基本的に天気予報と同じであるが、現状の天気予報では一週間後の天気でもかなり外れる。三ヶ月後ともなると、もはや「当たるも八卦」に近い。また、台風1個の発生から消滅までを予測できていない。発生後の進路予測さえ完璧ではないし、勢力を弱める等の制御技術も、まだ夢物語である(氷やドライアイスを蒔いて冷やすとの構想もあるが、必要な氷やドライアイス製造エネルギーだけで、とんでもない値になる)。

短期の天気予報や台風1個でさえこうなのに、なぜ、もっと巨大で複雑かつ長期的な「気候変動」が人間の手で予知・制御できると考えられるのか、筆者には容易に理解できない。しかも、議論しているのが主に政治家・官僚等である(事務レベル協議だの首脳級協議だの・・)。

思うに、英国の地にCOP26で多数の人間が集まって「気候変動問題」をワーワー議論する様子を天空の大気中CO2が見ても、不思議な気がするのではないだろうか?地球上で毎年出入りするCO2の高々5%しか出していない人間どもが、減らすの減らさないの、カネを出せの出さないのと議論したって、オレたちCO2濃度はちっとも変わらないのになあ・・と。故に、筆者としてはこう言うしかない、「それでも大気中CO2濃度変化速度は変わらない」と。

筆者にとって、現実的に恐ろしい自然現象は、地震・雷・噴火・台風などである。先日も首都直下で震度5強が起きたし、阿蘇も噴火した。富士山が噴火すれば、まさに現実的な脅威である。何が「枯れ野のススキ」に過ぎないハリボテで、何が本当に恐ろしいものなのかを、とくと見なければならない。

松田 智
2020年3月まで静岡大学工学部勤務、同月定年退官。専門は化学環境工学。主な研究分野は、応用微生物工学(生ゴミ処理など)、バイオマスなど再生可能エネルギー利用関連。

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松田 智
元静岡大学工学部化学バイオ工学科

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