アメリカの気温観測データは温暖化を過大評価

2022年08月01日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

米国海洋気象庁(NOAA、ノアと読む)の気温計測データについて最新の批判報告が出た。(報告書ビデオクリップ

気温計測する場合は、温度計を格納している通風筒を芝生の上に設置し、その周り100フィートには建物や木はあってはならない、というのが規則。他にもいくつか規則がある。

だがその条件を満たす観測所は全体の8%しかない、という。図でCRN ratingというのが観測所のランクづけ。CRN=1, 2 はまあ合格だが、CRN=3,4,5だと誤差が大きくなる。

下記の観測所では、もともとは芝生の中に気温計があったのだが、まわりが建て込んできて、いまでは舗装された駐車場に設置されている。これではアスファルトが熱を持つので気温はかつてより暑くなってしまう。

米国平均の気温上昇はNOAAの公式データだと10年あたり0.324℃とされているが、これは条件の悪い観測値が混入している。

「何年ぶりの猛暑」とか、「観測史上最高の気温」などとしばしば報じられるが、このような質の悪いデータに基づいている。

条件のよいCRN=1,2 だけであれば、気温上昇は10年あたり0.204℃となり、気温上昇のペースは6割程度になる:

米国では、地球温暖化観測所のネットワーク(US Climate Reference Network)が整備されて、そこでは理想的な気温観測をしている。2005年以降しかデータがないが、それを見ると今のところ有意な気温上昇にはなっていない。今後データが蓄積されるとどうなるか注目される。

更に詳しくは、ビデオクリップを見ると、分かり易く説明してある(英語だが、字幕が使える)。また報告書の末尾には、問題ある観測所の写真がたくさん載っていて、観測状況のひどさがよく分かる。

 

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • ベクレルという量からは、直接、健康影響を考えることはできない。放射線による健康影響を評価するのが、実効線量(シーベルト)である。この実効線量を求めることにより、放射線による影響を家庭でも考えることができるようになる。内部被ばくを評価する場合、食べた時、吸入したときでは、影響が異なるため、異なる評価となる。放射性物質の種類によっても、影響が異なり、年齢によっても評価は異なる。
  • 「電力システム改革」とはあまり聞きなれない専門用語のように思われるかもしれません。 これは、電力の完全な自由化に向けて政府とりわけ経済産業省が改革の舵取りをしています。2015年から2020年にかけて3ステップで実施され
  • G7首脳が原爆資料館を視察 G7広島サミットが開幕し、各国首脳が被爆の実相を伝える広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、人類は核兵器の惨禍を二度と繰り返してはならないとの認識共有を深めた。 しかし現実にはウクライナを侵
  • 米国のロジャー・ピールキー・ジュニアが「IPCCは非現実的なシナリオに基づいて政治的な勧告をしている」と指摘している。許可を得て翻訳をした。 非現実的なRCP8.5シナリオ (前回からの続き) さらに悪いことに、3つの研
  • 小泉進次郎環境相の発言が話題になっている。あちこちのテレビ局のインタビューに応じてプラスチック新法をPRしている。彼によると、そのねらいは「すべての使い捨てプラスチックをなくす」ことだという。 (フジテレビ)今回の国会で
  • はじめに 原子力発電は準国産エネルギーとされているが、周知のとおり日本にはウランがない。それでも「準国産」として扱われるのはなぜなのかを論ずる。 原子力発電の燃料は火力発電の100万分の1 原子力発電の燃料が準国産とされ
  • 菅首相が10月26日の所信表明演説で、「2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す」旨を宣言した。 1 なぜ宣言するに至ったか? このような「2050年ゼロ宣言」は、近年になって、西欧諸国
  • 全国知事会が「原子力発電所に対する武力攻撃に関する緊急要請」を政府に出した。これはウクライナで起こったように、原発をねらって武力攻撃が行われた場合の対策を要請するものだ。 これは困難である。原子力規制委員会の更田委員長は

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑