政府経済対策をしても来年の電力コストは10兆円増

Daniele Mezzadri/iStock
日本の国全体のエネルギーコストを毎月公表する慶応大学 野村教授のエネルギーコストモニタリング。
下図で、「電力コスト」とは家庭や企業の支払う電気代の合計。補助金などがあればその分下がる。(より詳しい説明はこちら)
その電力コストが2022年には急騰する見通しであることが図から分かる。2021年に比べると6兆円もの増加だ。
さていま電力各社が相次いで規制料金の値上げを発表しているが、来年2023年の電力コストはどうなるのか? 野村教授に聞いてみた。
来年は、9月までは政府経済対策による補助金があるので、2.5兆円ほど電力コストは軽減されます。
補助金が来年10月以降には継続されないとすれば、電力がまだ安価だった2016年に比べると、電力コストは10兆円増になるでしょう。
もしも来年の補助金が全く無いと仮定すれば、総額30兆円に近づくはずではないでしょうか。
いま消費税は税率10%で税収は約20%だから、電力コスト10兆円増といえば消費税の5%増税に相当する訳だ。経済の重荷になることは間違いない。
■
『キヤノングローバル戦略研究所_杉山 大志』のチャンネル登録をお願いします。

関連記事
-
今回は長らく議論を追ってきた「再生可能エネルギー大量導入・次世代ネットワーク小委員会」の中間整理(第三次)の内容について外観する。報告書の流れに沿って ①総論 ②主力電源化に向けた2つの電源モデル ③既認定案件の適正な導
-
水素が「筋の悪い」エネルギーであり、経済性が成立する見込みはないことは、この連載でも松田智氏が何度も説得的に述べていた。 水素は失敗すると分かっているのに… 水素先進国が直面する種々の現実的困難と対応 vs. 日本の脳天
-
(前回:温暖化問題に関するG7、G20、BRICSのメッセージ①) 新興国・途上国の本音が盛り込まれたBRICS共同声明 新興国の本音がはっきりわかるのは10月23日にロシア・カザンで開催されたBRICS首脳声明である。
-
今週、ドイツ最大の週刊紙であるDie Zeit(以下、ツァイトとする。発行部数は100万部をはるかに超える)はBjorn Stevens(以下、スティーブンス)へのインタビューを掲載した。ツァイトは、高学歴の読者を抱えて
-
チリの暴動が大変な事態になっている。首都サンチアゴの地下鉄運賃引き上げをきっかけにした反政府デモが全国に波及し、デモ隊と警官との衝突等により、24日までに死者が18人に上っている。燃えるバスや催涙ガス、警官に投石するデモ
-
日経エネルギーNextが6月5日に掲載した「グローバル本社から突然の再エネ100%指示、コスト削減も実現した手法とは」という記事。 タイトルと中身が矛盾しています。 まず、見出しで「脱炭素の第一歩、再エネ電力へはこう切り
-
G7気候・エネルギー・環境大臣会合がイタリアで開催された。 そこで成果文書を読んでみた。 ところが驚くことに、「気候・エネルギー・環境大臣会合」と銘打ってあるが、気候が8、環境が2、エネルギー安全保障についてはほぼゼロ、
-
日米原子力協定が自動延長されたが、「プルトニウムを削減する」という日本政府の目標は達成できる見通しが立たない。青森県六ヶ所村の再処理工場で生産されるプルトニウムは年間最大8トン。プルサーマル原子炉で消費できるのは年間5ト
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間