IPCC報告の論点62:縄文時代は欧州も暖かかった

2023年05月15日 07:00
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キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

シンクタンク「クリンテル」がIPCC報告書を批判的に精査した結果をまとめた論文を2023年4月に発表した。その中から、まだこの連載で取り上げていなかった論点を紹介しよう。

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地域的に見れば、過去に今よりも温暖な時期があったという証拠は数多くある。この連載でも何回か述べてきたが、今回は欧州の森林限界について。

日本でも登山をすれば見ることが出来るが、ある高さまで行くと、そこより上では気温が低すぎて森林が無くなる。これを森林限界という。

森林限界の例。写真中央付近で亜高山帯林からハイマツ林に入れ替わっている。
Wikipediaより

日本でいう縄文時代のころ、森林限界の高さが現在よりずっと高かったことを示す研究は、北半球の至る所で数多く行われてきた。森林の痕跡が見つかるのだ。

  • イタリアアルプスでは、8400年前から4000年前にかけて現在より400m高かった
  • スイス中央アルプスでは9000年前から2500年前にかけて150-200m高かった
  • ピレネー山脈では現在より400m高かった
  • スカンジナビアでは9500年前から6500年前の間に600-700 m高かった
  • カナダのブリティッシュコロンビアでは10600年前から7500年前には235メートル高かった

これらはいずれも、縄文時代において現在よりも気温が高かったことを示唆するものだ。

どの程度気温が高かったのかは単純ではないが、標準的な気温減率で考えると100mで0.65℃だから、200mなら1.3℃、400mなら2.6℃に相当する。

下記は中央スイスアルプスの模式図だ。氷河期が終わった後の10000年前から6000年には森林限界は高い位置にあり、その後徐々に高度を下げてきた。

縄文時代に暖かかったのは地球の傾きが今と違っていて北半球の夏の日射が多かったためだ(下図のObliquityは地球の傾き)。このときは氷河が後退していたが、その後寒くなると氷河は前進した(図中の棒グラフ。説明は省略)。その後1850年ごろまで続いた小氷期Little Ice Ageが終わると、氷河は後退を続けて、現代に至っている。この氷河の挙動も、縄文時代は暖かかったことを示唆している。

【関連記事】
・IPCC報告の論点①:不吉な被害予測はゴミ箱行きに
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・IPCC報告の論点⑬:モデルはアフリカの旱魃を再現できない
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・IPCC報告の論点⑳:人類は滅びず温暖化で寿命が伸びた
・IPCC報告の論点㉑:書きぶりは怖ろしげだが実態は違う
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・IPCC報告の論点㉓: ホッケースティックはやはり嘘だ
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・IPCC報告の論点㉕:日本の気候は大きく変化してきた
・IPCC報告の論点㉖:CO2だけで気温が決まっていた筈が無い
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・IPCC報告の論点㉘:やはりモデル予測は熱すぎた
・IPCC報告の論点㉙:縄文時代の北極海に氷はあったのか
・IPCC報告の論点㉚:脱炭素で本当にCO2は一定になるのか
・IPCC報告の論点㉛:太陽活動変化が地球の気温に影響した
・IPCC報告の論点㉜:都市熱を取除くと地球温暖化は半分になる
・IPCC報告の論点㉝:CO2に温室効果があるのは本当です
・IPCC報告の論点㉞:海氷は本当に減っているのか
・IPCC報告の論点㉟:欧州の旱魃は自然変動の範囲内
・IPCC報告の論点㊱:自然吸収が増えてCO2濃度は上がらない
・IPCC報告の論点㊲:これは酷い。海面の自然変動を隠蔽
・IPCC報告の論点㊳:ハリケーンと台風は逆・激甚化
・IPCC報告の論点㊴:大雨はむしろ減っているのではないか
・IPCC報告の論点㊵:温暖化した地球の風景も悪くない
・IPCC報告の論点㊶:CO2濃度は昔はもっと高かった
・IPCC報告の論点㊷:メタンによる温暖化はもう飽和状態
・IPCC報告の論点㊸:CO2ゼロは不要。半減で温暖化は止まる
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・IPCC報告の論点㊺:温暖化予測の捏造方法の解説
・IPCC報告の論点㊻:日本の大雨は増えているか検定
・IPCC報告の論点㊼:縄文時代には氷河が後退していた
・IPCC報告の論点㊽:環境影響は観測の統計を示すべきだ
・IPCC報告の論点㊾:要約にあった唯一のナマの観測の統計がこれ
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・IPCC報告の論点57:縄文時代はロシア沿海州も温暖だった
・IPCC報告の論点58:観測の統計ではサンゴ礁は復活している
・IPCC報告の論点60:グレートバリアリーフは更に拡大中
・IPCC報告の論点61:積雪面積は減っていない

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キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

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