英HSBC、ネットゼロ目標を撤回←日本語でも報道してください

William Barton/iStock
ESGだネットゼロだと企業を脅迫してきた大手金融機関がまた自らの目標を撤回しました。
HSBC delays net-zero emissions target by 20 years
HSBCは2030年までに事業全体で炭素排出量を実質ゼロにするという目標を断念すると発表した。世界最大の金融機関が気候変動対策の公約を撤回しているとして活動家らの間で懸念が高まっている。
多くの日本企業は2030年CO2半減、その後2050年ネットゼロを目標にしています。当然ながらあとたったの5年でCO2半減なんて不可能なので、強制労働由来の太陽光パネルやグリーンウォッシュである炭素クレジットに殺到して何とか辻褄を合わせようとしています。
ブラックロックもゴールドマン・サックスもHSBCもESG投資や脱炭素から撤退し、CA100+やGFANZやNZBAなどのネットゼロイニシアチブも崩壊中です。そもそも日本企業の2030年半減も2050年ネットゼロも金融機関に迫られて自ら行った宣言なのですから、彼らにならって撤回すべきです。
ところが、上記の記事がロイター日本語サイトで見つけられません。

出典:ロイター(検索日:2025年2月22日)
Googleの日本語ニュースにも出ていません。

出典:Google(検索日:2025年2月22日)
日本語メディアがこんな調子なので、日本国内で報じられない記事を筆者がたびたびアゴラで紹介しています。
- 世界の炭素クレジット市場の創始者が詐欺罪で告訴(2024年10月)
- ニュージーランド航空の2030年脱炭素目標撤回(2024年7月)
- 米下院司法委員会がリリースした報告書(2024年6月)
- ドイツ運輸省が被害を受けた炭素クレジット詐欺事件やSBTiの内紛(2024年4月)
- ESG投資の方がインデックス投資よりもCO2排出量が大きいという記事(2021年11月)
こんなことでは日本企業が経営判断を誤ります。ただの会社員でも簡単にアクセスできる海外記事なのですから、日本メディアの皆さんもちゃんと報道して日本企業に世界の動きを知らせてください。
■

関連記事
-
菅政権の下で「2030年CO2を46%減、2050年にCO2ゼロ」という「脱炭素」の目標が発表された。 しかしながら、日本は製造業の国である。製造業は石油、ガス、石炭などを燃やしてエネルギーを得なければ成り立たない。 特
-
地球温暖化の「科学は決着」していて「気候は危機にある」という言説が流布されている。それに少しでも疑義を差しはさむと「科学を理解していない」「科学を無視している」と批判されるので、いま多くの人が戦々恐々としている。 だが米
-
IPCCの報告が昨年8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 大雨についてはこのシリーズでも何度か書いてきたが、今回は
-
田中 雄三 前稿では、日本の炭素排出量実質ゼロ達成の5つの障害を具体例を挙げて解説しました。本稿ではゼロ達成に向けての筆者の考えを述べていきます。 (前回:日本の炭素排出量実質ゼロ達成には5つの障害がある①) 6. I
-
ウクライナ戦争以前から始まっていた世界的な脱炭素の流れで原油高になっているのに、CO2排出量の2030年46%削減を掲げている政府が補助金を出して価格抑制に走るというのは理解に苦しみます。 ガソリン価格、172円維持 岸
-
日本のすべての原発は現在、法的根拠なしに止まっている。それを確認するために、原子力規制委員会・規制庁への書面取材を行ったが、不思議でいいかげんな解答をしてきた。それを紹介する。
-
EUのEV化戦略に変化 欧州連合(EU)は、エンジン車の新車販売を2035年以降禁止する方針を見直し、合成燃料(e-fuel)を利用するエンジン車に限って、その販売を容認することを表明した。EUは、EVの基本路線は堅持す
-
このような一連の規制が、法律はおろか通達も閣議決定もなしに行なわれてきたことは印象的である。行政手続法では官庁が行政指導を行なう場合にも文書化して根拠法を明示すべきだと規定しているので、これは行政指導ともいえない「個人的お願い」である。逆にいうと、民主党政権がこういう非公式の決定を繰り返したのは、彼らも根拠法がないことを知っていたためだろう。
動画
アクセスランキング
- 24時間
- 週間
- 月間