また大手炭素クレジット会社の社長が逮捕

2025年04月28日 06:50

menonsstocks

また大手炭素クレジット会社の社長が逮捕されました。

気候変動ウィークリー#539 -炭素詐欺の終焉は近いのか?- ハートランド研究所

今週初め、現存する最大のカーボンオフセット/クレジット取引の新興企業のひとつであるAspiration Partners、Inc.が破産を申請したというニュースが流れた。

米国司法省が共同創業者のジョセフ・サンバーグ氏を、少なくとも1億4500万ドルの投資家資金を騙し取ったとして起訴した直後、同社は破綻した。

炭素市場における詐欺、詐称に関する警告は永年にわたり蔓延している。そもそも開発の脅威にさらされていない森林の保護や、実際には二酸化炭素の削減につながらない炭素貯留や技術転換などのクレジットを企業が購入していたことが原因である。さらに、監査の結果、排出量のオフセットが行われたプロジェクトの場合でも、実際に削減された排出量よりもはるかに多くのクレジットを販売していたことが明らかになっている。

たしかに、米国司法省のプレスリリースに出ていました。

カリフォルニア州セントラル地区 |アスピレーション・パートナーズの共同創業者ジョセフ・サンバーグ氏、投資ファンドから少なくとも1億4,500万ドルを詐取しようと共謀した容疑で逮捕 |米国司法省

金融・持続可能性サービス企業アスピレーション・パートナーズの共同創業者で筆頭株主であるジョセフ・ニール・サンバーグ容疑者(45歳)が、2つの投資ファンドから少なくとも1億4500万ドルを詐取した共謀の疑いで本日連邦刑事告発により逮捕された。

ただ、司法省のサイトを見ると逮捕容疑は(通常の?変な言い方ですが)巨額詐欺であって、炭素クレジットの売買に関連した詐欺ということではなさそうです。しかし、炭素クレジット大手企業の社長が逮捕されたことに変わりありません。

念のため、氏の名誉のために司法省の記述を引用しておきます。

刑事告訴には容疑が含まれます。被告人は、法廷で合理的な疑いを超えて有罪が立証されるまでは無罪と推定されます。

昨年10月には、世界最大のボランタリー炭素クレジット認証機関であるVerraの元取締役であるケン・ニューカム氏が告訴されています。

世界の炭素クレジット市場の創始者が詐欺罪で告訴される

いわば世界の炭素クレジット市場の創始者、カーボン・オフセットビジネスの創業社長のような人物ですが、炭素クレジットをめぐる詐欺の疑いで昨年10月に米国司法省(DOJ)と連邦捜査局(FBI)から刑事告訴され、米国証券取引委員会(SEC)と米国商品先物取引委員会(CFTC)から民事告訴をされました。

こちらの案件は炭素クレジット詐欺です。

陰謀のメンバーは、データを操作して、実際よりもはるかに炭素排出量の削減に成功しているかのように見せかけた。例えば、2021年8月頃に、CQCはマラウイの2つのプロジェクトとザンビアの2つのプロジェクトの調査データを受け取った。調査データは、CQCが予想していた排出削減の約半分だった。

約30年前に炭素クレジット市場を創った人物や、現在の炭素クレジット業界大手の社長が逮捕されているにもかかわらず、いずれも日本語メディアでの報道はありません。これでは日本企業の意思決定に偏りが生じてしまいます。

畢竟日本企業や自治体が「J-クレジットを活用して脱炭素に取り組みます」「実質CO2ゼロ製品を販売します」といった報道が相次いでいます。しかしながら、世界的に高品質だと言われている炭素クレジットであっても、後から詐欺だったと判明する事例が後を絶ちません。炭素クレジットを購入しても見かけ上相殺できるだけであって、大気中のCO2は1グラムも減らないのです。

詐欺罪に問われなくても、炭素クレジットは本質的にグリーンウォッシュであると認識する日本企業が増えることを願います。

SDGsエコバブルの終焉

This page as PDF

関連記事

  • 「インフレ抑止法」成立の米国・脱炭素の現状 8月16日、米国のバイデン大統領は、政権の看板政策である気候変動対策を具体化する「インフレ抑止法」に署名し、同法は成立した。 この政策パッケージは、政権発足当初、気候変動対策に
  • 著名なエネルギーアナリストで、電力システム改革専門委員会の委員である伊藤敏憲氏の論考です。電力自由化をめぐる議論が広がっています。その中で、ほとんど語られていないのが、電力会社に対する金融のかかわりです。これまで国の保証の下で金融の支援がうながされ、原子力、電力の設備建設が行われてきました。ところが、その優遇措置の行方が電力自由化の議論で、曖昧になっています。
  • 1.コロナ人工説への弾圧と変節 コロナウイルスが武漢研究所で人工的に作られ、それが流出したという説が俄かに有力になってきた。 かつては、コロナ人工説は「科学の否定」であり「陰謀論」だという意見がCNNなどのリベラル系が優
  • IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。 正直言ってこれまでの報告とあまり変わり映えのしない今回の
  • 今年9月に国会で可決された「安全保障関連法制」を憲法違反と喧伝する人々がいた。それよりも福島原発事故後は憲法違反や法律違反の疑いのある政策が、日本でまかり通っている。この状況を放置すれば、日本の法治主義、立憲主義が壊れることになる。
  • 米国のロジャー・ピールキー(Roger Pielke Jr.)は何時も印象的な図を書くが、また最新情報を送ってくれた。 ドイツは脱原発を進めており、今年2022年にはすべて無くなる予定。 その一方で、ドイツは脱炭素、脱石
  • 米国21州にて、金融機関を標的とする反ESG運動が始まっていることは、以下の記事で説明しました。 米国21州で金融機関を標的とする反ESG運動、さて日本は? ESG投資をめぐる米国の州と金融機関の争いは沈静化することなく
  • 6月20日のWSJに、こういう全面広告が出た。出稿したのはClimate Leadership Council。昨年の記事でも紹介した、マンキューやフェルドシュタインなどの創設した、炭素税を提唱するシンクタンクだが、注目

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑