中国の原発はなぜ安いのか

2025年11月12日 06:50
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

Sunshine Seeds/iStock

中国の原子力発電は米国より遥かに安い。衝撃的な図が公開された。

図は、サブスタックのEnergy Bad Boysによるものだ。わりと最近に出来たブログだが、毎回とても印象的な図を掲載してくれていて重宝する。

図の元のデータはネイチャーに発表されたLiuらの論文である。

中国における原発の建設費は減少を続けている。2030年までに完成予定の案件では、予想される初期資本費は1キロワットあたり1,600ドルから2,580ドルの間とされている。1ドル150円で換算すれば100万キロワットあたりで2400億円から3870億円となる。

これは、米国では建設費が高騰したのとは対照的である(図)。日本についても、おそらく同様だろう。

中国では政府による支援がなされている。すなわち、低利融資がなされ、送電会社には原子力発電による電力の購入が義務付けられている。

しかしそれ以上に、中国の原子力産業の合理性こそが、低コスト実現の鍵だったという。すなわち、ごく少数の原子炉タイプのみを建設し、それを繰り返し行うことで規模の経済を確立した。規制プロセスを合理化し、サプライチェーンを簡素化した。

日本も、中国に学ぶべきではなかろうか?

■

『データが語る気候変動問題のホントとウソ』

This page as PDF
アバター画像
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

関連記事

  • 昨年11月の原子力規制委員会(規制委)の「勧告」を受けて、文部科学省の「『もんじゅ』の在り方に関する検討会(有馬検討会)」をはじめとして、様々な議論がかわされている。東電福島原子力事故を経験した我が国で、将来のエネルギー供給とその中で「もんじゅ」をいかに位置付けるか、冷静、かつ、現実的視点に立って、考察することが肝要である。
  • 【概要】特重施設という耳慣れない施設がある。原発がテロリストに襲われた時に、中央操作室の機能を秘匿された室から操作して原子炉を冷却したりして事故を防止しようとするものである。この特重施設の建設が遅れているからと、原子力規
  • エネルギー・環境問題を観察すると「正しい情報が政策決定者に伝わっていない」という感想を抱く場面が多い。あらゆる問題で「政治主導」という言葉が使われ、実際に日本の行政機構が政治の意向を尊重する方向に変りつつある。しかし、それは適切に行われているのだろうか。
  • 菅首相が昨年11月の所信表明演説で2050年にCO2をゼロにする、脱炭素をする、と宣言して以来、日本中「脱炭素祭り」になってしまった。 日本の同調圧力というのはかくも強いものなのかと、ほとほと嫌になる。政府が首相に従うの
  • 経済産業省は1月14日、資源・エネルギー関係予算案を公表した。2015年度(平成27年度)当初予算案は15年度7965億円と前年度当初予算比で8.8%の大幅減となる。しかし14年度補正予算案は3284億円と、13年度の965億円から大幅増とし、総額では増加となる。安倍政権のアベノミクスによる積極的な財政運営を背景に、総額での予算拡大は認められる方向だ。
  • 2030年の最適な電源構成(エネルギーミックス)を決める議論が経産省で1月30日に始まった。委員らの意見は原子力の一定維持が必要で一致。さらに意見では、割合では原発15%論を述べる識者が多かった。しかし、この状況に筆者は奇妙さを感じる。
  • 米国のロジャー・ピールキー(Roger Pielke Jr.)は何時も印象的な図を書くが、また最新情報を送ってくれた。 ドイツは脱原発を進めており、今年2022年にはすべて無くなる予定。 その一方で、ドイツは脱炭素、脱石
  • 「たぶんトランプ」に備えて米国の共和党系シンクタンクは政策提言に忙しい。何しろ政治任命で高級官僚が何千人も入れ替わるから、みな自分事として具体的な政策を考えている。 彼らと議論していると、トランプ大統領になれば、パリ気候

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑