日本は「対中人権非難声明」の皆勤国だった!国民だけが知らない政府の二面性

2026年06月22日 06:30

rudall30/iStock

ウイグル、チベット、モンゴルなどにおける人権侵害に関して、国際社会は中国を厳しく非難しているのに日本政府はほとんど声を上げていない——。多くの日本人がそう感じているのではないでしょうか。

筆者も同様の認識でした。2020年頃から2022年にかけて長尾敬衆議院議員(当時)らが奔走した「対中人権侵害非難決議案」が採択見送りを繰り返し、最終的に「人権状況決議」が採択されました。しかしながら、「中国」「非難」「人権侵害」といった文言が削除されるなど事実上の骨抜きとなり、誰に対して何を訴えているのかが曖昧な謎文書になりました。

当時、保守系の識者を中心に「これで国際社会に向けて顔向けできるだろうか。国会議員には猛省を促したい。」等の意見が噴出していたことを記憶しています。

ところが、国連が中国に対して出してきた人権侵害を非難する宣言等について調べたところ、驚愕の事実が判明しました。

筆者が国連総会第3委員会(UNGA Third Committee)および国連人権理事会(UNHRC)で提出された中国に対する非難について確認したところ、少なくとも2020年、2021年(2回)、2022年、2023年、2024年、2025年の7回にわたって、複数の国が連名で共同声明を発表していました。

2020年共同声明(エストニア国連代表部)
2021年共同声明(カナダ政府)
2021年共同声明(豪州外務省)
2022年共同声明(豪州外務省)
2023年共同声明(英国政府)
2024年共同声明(国連日本政府代表部)
2025年共同声明(国連日本政府代表部)

簡単に概要をまとめます。

続いて、参加回数の多い国を整理します。

7回の共同宣言すべてに参加しているのはわずか5か国で、その中になんと我が国が含まれているのです。しかも、2024年以降は参加国が激減した中でも名を連ねています。つまり、日本は米英豪と並んで中国の人権侵害を非難する最強硬派だと言えます。

しかし、この事実を知る日本人はほとんどいません。筆者自身も今回調べるまでまったく知りませんでした。なぜ日本政府はこの事実をきちんと日本国民へ知らせないのでしょうか。

2024年および2025年の共同声明は国連日本政府代表部のウェブサイトに掲載されています。しかし英文のままであり日本語訳は存在しないようです。他年度の共同声明について日本政府のサイトで確認することはできませんが、これは各国も同様のようで、すべての参加国が必ず掲載する類のものではないようです。

もちろん国連文書や共同宣言をすべて日本語に翻訳する必要はありません。しかし日本政府が6年間で計7回も参加している外交行動であるにもかかわらず、その内容や意義が国民に十分共有されているとは言い難い状況です。国際社会に対しては「人権問題を重視する民主主義国家」のように振る舞う一方、国内ではまったく説明がなされていないのです。

また、共同宣言に参加しているにもかかわらず実効的な措置が講じられていません。米国では2022年にウイグル強制労働防止法(UFLPA)が施行されました。新疆由来製品については強制労働との関連がないことを証明できない限り輸入できなくなっており、米国では多数の太陽光パネルや綿製品が港で差し止められています。

欧州も2024年にEU強制労働産品禁止規則(EUFLR)が採択され、2027年12月から強制労働由来製品を排除することが決定しています。英国やカナダも強制労働に対する規制や制裁を強化しています。

しかし、日本には強制労働を排除する制度が存在しません。それどころか政府は再生可能エネルギー、就中強制労働の疑いが極めて濃厚な太陽光パネルによる発電を推進しています。東京都や川崎市など一部の自治体では新築住宅への太陽光パネル設置義務化も始まりました。

日本政府が国際社会に対して強制労働や人権侵害への懸念を表明しながら、その事実を国民に知らせず国内政策にも反映していないことは大いなる矛盾と言えます。

日本政府は、なぜ2022年の人権状況決議を事実上の骨抜きにしたのか。

他方、その前後でなぜ国際社会に対しては人権侵害を非難する共同声明に参加し続けてきたのか。

なぜその事実を積極的に日本国民へ知らせないのか。

なぜ共同宣言だけでなく先進諸国のような政策を実行しないのか。

日本政府は、国際社会ではなく日本国民に対してこそ説明責任を果たすべきではないでしょうか。

■

 

 

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